もしリーガがこのまま再開されないと、来季の欧州カップ戦出場権はどうなるか? この仮定の問いに対するスペインサッカー連盟の正式回答が4月16日に出された。
中断時の順位で出場権が決まる
「中断時の順位を尊重すること」。つまり、UEFAチャンピオンズリーグ出場権は1位バルセロナ、2位レアル・マドリー、3位セビージャ、4位レアル・ソシエダに与えられ、UEFAヨーロッパリーグ出場権は5位ヘタフェ、6位アトレティコ・マドリーに与えられる。以上は確定で、EL最後の出場枠はコパ・デルレイの決勝が行われなかった場合はアスレティック・ビルバオに、行われてソシエダが優勝した場合は7位のバレンシアに与えられることになる。
もっとも、これは対UEFA向け、欧州カップ戦向けの決定であり、リーガが終了できなかった場合、どの時点の順位を採用するか、という話ではない。だが、欧州全体で中断時の順位を採用するなら、スペインも同じタイミングと考えるのが自然だろう。つまり、再開が不可能な場合のリーグ優勝はバルセロナということだ。
実際、連盟はアマチュアリーグ(2部B以下)については再開不可能だった場合のプランを提示したのだが、その中でも中断時の順位を最終順位として採用し、昇格は認めながらも降格はない、とした。
もし、この同じ基準がプロにも適用された場合、現時点で18位マジョルカ、19位レガネス、20位エスパニョールは降格せず、2部1位カディスと2位サラゴサは昇格。残り1枠は、3位アルメリアから6位エルチェまでの4チームの中から中立地での一発勝負など最短の方法で決められることになる。
ただ、そうなれば1部も2部も来季は23チーム制となり、別のカレンダーの問題が起こるのだが、それはまた先に考えれば良い、ということで、現時点では議題に上げられていない。
再開不可能時の対策も必要に
スペインでは3月14日に非常事態宣言が出され、その期間が一度4月11日まで延長され、さらに25日まで再延長されたばかり。感染者数と死亡者数のピークは超えたと見られるものの収束にはほど遠く、5月10日まで再々延長される公算が大きくなっている。
今週、コロナ禍の被害が少ないサン・セバスティアンにあるソシエダが練習場を使った個人練習を再開しようとしたが、政府がスポーツ施設の閉鎖を理由にストップを掛けたばかり。ソシエダは「一般への施設公開ではない」と主張したものの、最終的には従うしかなかった。
最も楽観的な見方をすれば、6月末にはリーガが再開できるかもしれない。だが、同時に再開不可能な場合の対策を決めておくべき時に来ていることも事実だ。
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。