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セリエA、5月末のリーグ戦再開を目指して段階的な準備を検討

2020.04.13

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため3月9日を最後に中断しているセリエAだが、再開に向けての検討ができる状態になってきた。『ラ・レプブリカ』を始めとしたイタリアの地元紙各紙は4月11日、「セリエA各クラブの練習が来月(5月)4日から許可される」と報じた。

5月末にリーグ再開の見通しが浮上

 イタリアは現在、首相令により外出制限や生活必需品の流通・販売などを除いた経済活動の停止などが科せられている。スポーツを行うこともプロやアマ、個人競技や団体競技を問わず禁止となっており、ご存知のようにセリエAを始めとしたプロスポーツリーグも中断のさなかだ。

 しかし、最近1週間で感染のペースが弱まり、「市民生活を元に戻すための”フェイズ2”が検討される段階になった」と政府関係者が口にするようになった。

 そして4月10日、ジュセッペ・コンテ首相は現在の制限を来月3日まで延長することを宣言した一方、段階的に経済・商業活動を再開させていくことも明言した。そして、それを受けてイタリアサッカー連盟(FIGC)でもビデオ会議で協議を行い、各クラブの練習を5月4日から許可することを確認した。

 練習を開始して実戦ができる状態にするには3、4週間程度が必要と見られており、したがって5月末にもリーグが再開されるという見通しが浮上している。『ラ・レプッブリカ』によれば、コンテ首相はスポーツチームの練習を4月27日から可能にすることも提案したが、専門家グループやスポーツ医師連盟の助言により提案を引っ込めたという。

段階を踏んで5月4日の練習解禁を目指す

 実施の形態についてはこれから議論されることになるが、4月12日の『コリエレ・デッロ・スポルト』によれば、以下のよう流れになる。

 まず、FIGCはウイルス感染検査を申請中で、認可されれば4月15日から選手に対して順次、PCR検査や抗体検査、血液検査を施して感染の有無を確認。一方で、すでに感染した選手については、スクリーニング検査によって呼吸器系や心臓脈菅系に問題が残っていないかどうかを検査する方針だという。

 そして4月24日以降の週では、シーズン前や契約時に行うメディカルチェックを順次行い、5月4日の練習解禁に備える。練習が解禁された後にはグループに細分化して調整を行い、コンディションアップを図る。また、感染防止のため各クラブは外部と隔離された状態での合宿を張ることになるという。

 一方、試合は原則的に非公開(無観客)、そして基本的には代替地での開催は行わない方針だと見られている。

 イタリアではバスケットボールをはじめ、中断されたプロスポーツリーグの中には再開を諦めて終了を宣言したところが多く出てきている。その中でサッカーは再開を目指す。

 「規模も、参加している人数も、また経済上のインパクトも大きい。もし前もっての終了となれば、経営面はもとより社会面でも大きな損害が出てしまう」とFIGCのガブリエレ・グラビーナ会長は語っている。選手の感染を避けて安全を確保し、50日程度の期間で再開までこぎつけられるかどうか注目される。


Photo: Getty Images

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新型コロナウイルス

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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