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コロナ禍で中断中のブンデスリーガ、コンディションの維持はどうする?

2020.04.04

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で、中断期間が延長されたドイツ・ブンデスリーガ。対人の接触自体が禁止されているため、基本的には自宅やトレーニングルームでのトレーニングが主として行われている。

 いつ再開されるかも不確かなため、選手たちのコンディショニングの調整も難しくなる。その中でブンデスリーガの各クラブは、どのよう部分に気を付けているのだろうか?

 3月24日の『キッカー』オンライン版で、レバークーゼンのアスレティックトレーナーを務めるシャーリアル・ビグデリ氏は「(2011年に)レバークーゼンに来てから、最も難しい仕事になるかもしれない」と説明している。

「今は通常より少し長いウインターブレイクのようなもの」

 ピッチ上での全体練習ができないことは、アスレティックトレーナーの仕事をさらに難しくする。「サッカーの専門的な負荷をかけることができず、選手は家や自宅近所をランニングするぐらいしかできない。重要なのは、フィットネスコンディションの低下を、できるだけゆっくり遅らせることだ」

 ビグデリ氏によると、今回の中断はウインターブレイクに近い状況だという。「選手たちはとてもフィットした状態だった。シーズンの真っ只中で、かなりインテンシブな密度の濃い時期にオフに入った。今は現状のフィットネスコンディションを維持することが目標となる」

 さらに具体的に説明すると「現在の中断期間は、通常より少し長いウインターブレイクといったところだ。最初の数日はオフにした。その後、目標とするフィットネスレベルにコンディションを持っていくためには、2週間から3週間ほど必要になる」

「ホームオフィス」の難しさ

 万が一、新型コロナウイルスの感染者が出て選手やスタッフたちが外出禁止となった場合に備えて、トップチームの全選手にトレッドミルが配送された。また、GPSと心拍数を測るための機械が搭載されたアンダーウェアも準備され、コーチングスタッフたちはデータを通じて選手たちのコンディションを把握する。

 トレーニングはおよそ50分程度。トレーニングメニューの強度は、それまでの試合の出場数や負荷を計算して、各選手それぞれ個別に組まれている。だが、自宅でトレーニングを行う“ホームオフィス”には、独自の難しさもつきまとう。トレーニング環境が選手によって異なることに加えて、サッカーの動きに特化した負荷をかけることが難しいのだ。

 「持久力や身体の安定性は、自宅でのトレーニングでも十分に効果を得られる。しかし、瞬発力や俊敏性については課題が残る。この2つを鍛えるトレーニングは、練習場が最も行いやすいからだ」

 ブンデスリーガは3月13日に中断が決定した。4月5日までだった中断期間は、4月末まで延長された。ビグデリ氏は「2週間まではフィットネスの状態をうまく維持できる。その後はできるだけ早く、通常の試合やトレーニングのリズムと強度に戻ることが重要になる」と語る。中断期間は6週間になり、仕事はさらに難しくなる。

 「6週間の場合でもどうにかなる。しかし、選手たちのコンディション作りを進めるのが早すぎてはいけない。これを成功させるのはとても難しいチャレンジだ」

 5月にリーグが再開したとしても、レバークーゼンには現状で17試合を戦う可能性が残っている。リーグが9試合、勝ち抜けばカップ戦が2試合、そしてUEFAヨーロッパリーグが6試合。おそらく、数週間わたって中2日、あるいは中3日で試合が続く日程が進められる。コンディショニングの調整失敗はそのままケガにもつながるため、重圧も大きい。

 新型コロナウイルスの中断期間、欧州各クラブのアスレティックトレーナーたちは、前代未聞の難題に挑んでいる。


Photo: Getty Images

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コンディショニングトレーニングフィジカルブンデスリーガレバークーゼン

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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