ラツィオのチーロ・インモービレが、恐ろしいペースでゴールを量産している。21試合でなんと25ゴール。このペースを保つことができれば、40ゴールにさえ届きそうな勢いだ。いったいこれはどこに理由があるのか。その答えは、月並みながら彼にボールを集めて取ろうというチームの連係が成熟の域に達している、ということだ。
「みんなのプレーが全部僕のゴールに結びついているような気がするし、何より信用されていると感じる」と本人は地元メディアに語っている。確かに現在のラツィオのサッカーは、あまりにもインモービレにフィットしている。アグレッシブな守備から、手数をかけず縦方向へと展開していく速攻型。DFの視野を逃れ、スペースへと鋭く飛び込むインモービレ目がけて、グサリとパスが入る。
アシスト最多は、スルーパスの達人ルイス・アルベルト。俊足ドリブラーのホアキン・コレアやフェリペ・カイセド、そしてセナド・ルリッチとマヌエル・ラッザリの両ウイングバックも、必ず彼を見て躊躇(ちゅうちょ)なくラストパスを放つ。彼らがそうするのは、インモービレがゴールを決めてくれることを知っているからだ。エリアの中でボールを受けたら最後、振り幅がコンパクトで鋭いシュートを放って外さない。マークの外し方も優れており、DFの視界からいったん消えてファーポストに飛び込みヘディングシュートを放つのも得意技だ。
昨年11月にはラツィオ通算100ゴールに到達し、ロティート会長から表彰を受けた。「この表彰はみんなで分け合うものだと考えている」とは本人の弁。代表でもCFの座を勝ち獲り、オリンピコで開催されるEURO2020に臨む。
Photos: Getty Images
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神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。