アタランタが偉業を成し遂げた。12月11日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ、グループステージ第6節の試合において、アウェイの地でシャフタールを3-0と撃破した。これで勝ち点を7とし、最下位から2位までジャンプアップ。初のCL参戦で、奇跡のグループステージ突破を果たしたのである。
後半に反撃し3ゴールを奪う
アタランタの入るグループCは、すでに突破を決めたマンチェスター・シティを別とし、2位から4位までが勝ち点2差の間にひしめき合う接戦状態だった。同グループ3位のディナモ・ザグレブがマンチェスター・Cに負けるか引き分けるという条件付きながら、アタランタは勝ちさえすれば逆転が狙える状況だった。
前半はスピードと技術を兼備するシャフタールの攻撃陣に手を焼いたが、プレスで捉えて徐々に試合をコントロールし、後半に入るとサイド攻撃を軸に試合を支配した。そして66分、エリア内までドリブルで突破したアレハンドロ・ゴメスがクロス。これをティモシー・カスターニュが押し込み、VAR判定ののちにゴールが認められて先制に成功する。
77分にシャフタールのドドが退場となると、その3分後にはCKをマリオ・パシャリッチが押し込んで追加点。アディショナルタイムには相手のバックパスミスを拾ってロビン・ゴセンスが追加点を挙げ、試合を決めた。
ベルガモの街はお祭り騒ぎに
グループステージの序盤3試合で3連敗を喫しながら決勝トーナメントに駒を進めたクラブは、CLが現行の大会方式になってからは史上初(グループステージが2ステージ制だった02-03シーズンには、ニューカッスルが第1ステージ開幕3連敗から第2ステージ進出を決めている)。尻上がりに調子を上げたきっかけについて、MFマルティン・デ・ローンは地元メディアに対して「(第4節の)シティ戦の後半にいいサッカーができたことが自信となり、続いてディナモ・ザグレブに対してもいい試合ができた。もちろんディナモとシャフタールが引き分けたこともラッキーだった」と分析した。
試合中から感極まった様子だったジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督はイタリア衛星テレビ『スカイ・スポーツ』のインタビューに対して「偉大な結果だ。(ホームタウンである)ベルガモのすべての人々、そしてクラブのことを思って、非常に満足している。もちろんイタリアのサッカー界にとっても大きな勝利だ。我われは国際的な信用を勝ち取ることができた」と喜んだ。
試合後、人口12万人のベルガモの街の中心部はアタランタのサポーターであふれ返り、深夜までお祭り騒ぎが続いたという。ジョルジョ・ゴーリ市長は自身のSNS上で「諦めずに全力を尽くすアタランタのプレースタイルは、街の気質を反映するものだ。それにしても欧州大陸の16強に我が街のチームが入るとは、数年前には考えられなかったことだ」と喜んだ。
選手の育成を経営の主眼としながら、リーグ戦では上位の常連になるまで力を付けた中での快挙。ルカ・ペルカッシCEOは「この結果はこれまでの仕事の成果だ。アタランタの歴史の中で最も重要な夜になった」と胸を張った。
Photo: Getty Images
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神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。