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リーガで急増するレッドカード。「アキレス腱ルール」とVARが影響

2019.09.17

リーガ、ここまで1節平均3枚のレッド

 リーガでレッドカードが急増している。第4節終了時で計12枚(うち一発レッド8)、1節あたり3枚は、昨季の38節で78枚、1節あたり2枚を大幅に上回るペースだ。先週末のセルタ対グラナダでは25分までにセルタのホルヘ・サエンス、ベルトランの2人が退場になり、試合の行方がほぼ決まってしまった(0-2でグラナダ勝利)。

 この急造の理由のひとつは、リーガで今季から採用された独自ルールにある。開幕節でモドリッチがキャリア初の一発レッドとなって有名になったルールだが、あらためて説明しておこう。

 これは「アキレス腱を後ろから踏みつける行為はレッドカードで罰する」というもので、スペインの審判委員会の提唱で行われているもの。サッカーをプレーした人ならご存知だと思うが、アキレス腱を踏まれると大変痛い。痛いだけでなく、腱を傷付けたり足首を捻ったりすることにより選手キャリアに悪影響を与える重大なケガになりかねない、ということで選手保護のために設けられた。

 この新ルールでの退場者は、モドリッチ(レアル・マドリー/第1節対セルタ)、ホルヘ・モリーナ(ヘタフェ/第1節対アトレティコ・マドリー)、サエンス(セルタ/第4節対グラナダ)の3人。レッドカードか否かに踏みつける意図があったかどうかは考慮されない。モドリッチのようにアクシデントで踏んでしまった場合でも一発退場。踏み込みの強さも考慮されず、モリーナのように強く踏んでも、サエンスのようにかすった程度でもレッドである。

新ルール適用にVARの影響も

 そうして、この新ルールの厳格な適用に決定的な役割を果たしているのがVARだ。モドリッチとサエンスのケースでは、審判が笛を吹いた時点では単なるファウルだったのがVARによってレッドとなり、モリーナの場合はイエローだったのがVARによってレッドになった。

 VARは他の退場劇でも活躍している。アキレス腱踏み付け以外の5枚の一発レッドのうち、審判がVARの助けを借りずに出したものは、3枚で、2枚が初見ではイエローだったのが、VARのチェックによって一発退場に修正されたもの。つまり、アキレス腱踏み付けの新ルールがない昨季までならレッドカードは9枚に、VAR導入以前の一昨季であれば7枚だけになっていたはずなのだ。

 選手の保護が進むのは間違いなく良いことだ。そのためにVARが使われるのも良いことだ。が、その一方で今季はさらにVARによる中断が増え、サッカーが別のものになりつつある印象を受ける。

Photo: Getty Images

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木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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