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「忘れ去られた選手たち」の厳しいシーズンがスタートした

2019.09.11

移籍先が見つからなかった男たち

 9月3日零時、夏の移籍市場が閉まり、戦力外選手たちの厳しいシーズンがスタートすることになった。監督の構想外となって本格移籍先やレンタル先を探していたが、ついに見つからなかった者たちである。

 今夏、監督の発言とプレシーズンの采配、補強ポジションを追っていると、ある選手が戦力外となっていくプロセスがよくわかった。ある者はプレシーズンマッチに招集すらされず最初から監督の頭の中になく、ある者は獲得したもののプレシーズンマッチで試された後に失格の烙印を押される。クラブは彼ら戦力外を何とか放出しようする。残してもクラブにとってはスポーツ的な負担(ロッカールームの雰囲気悪化や大人数での練習)と経済的な負担(戦力外でも給料は当然全額支払い)になるし、選手本人にとってもキャリアの中断になるだけ、と良いことはひとつもないからだ。

 よって、移籍できなかった戦力外選手たちのたどる道は、普通は次の2つしかない。

 1つは、契約解除。

 本人とクラブの合意の上、自由契約となって移籍先を探す。たとえば、ルーカス・シウバ(前レアル・マドリー)、アルバロ・メドラン(前バレンシア)、ロドリ(前グラナダ)である。それぞれ一時は将来を期待された選手だが、放出先が見つからないまま今は自由契約となって所属チームを探している状態。

 2つ目は、我慢して冬の移籍市場か、監督の翻意を待つ。

 控えの控え扱いでケガ人が一ポジションに集中するようなことがなければ、出番のない選手たちだ(以下、これまでの使われ方を見ての私の判断)。

アトレティコ・マドリー:ブルサリコ
バレンシア:ルベン・ソブリーノ
セビージャ:セルジ・ゴメス、ダブール
ソシエダ:ルベン・パルド
ベティス:フランシス
レガネス:クラベツ
セルタ:クラウディオ・ボービュ

 ブルサリコは負傷中だが、復帰しても第3の右SBでは出番があるかどうか。第5のFWソブリーノは監督が戦力外を公言している。ダブールはゴールゲッターとして獲得しながら突然使われなくなった。セルジ・ゴメス、パルド、フランシス、クラベツ、ボービュは夏の初めから閉幕日まで放出先を探しながら、移籍が成立しなかったケースである。

 親善試合でろくろくチャンスを与えられず、監督に「なるべく早く出て行って欲しい」と言われたにもかかわらず、さらっと開幕戦に使われて、しかも活躍したりするのは、レアル・マドリーという特殊なクラブでジダンとベイルという特殊なキャラクターだから起こるのであって、普通は起こらない。心情的には彼ら戦力外たちの逆転を期待したいが……。

Photo: Getty Images

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木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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