ロッベン「CL優勝がキャリアのハイライト」
今夏に引退を表明したばかりの元オランダ代表のアリエン・ロッベンが、ドイツのスポーツ誌『ソクラテス』のなかで、バイエルン時代を振り返っている。2013年のチャンピオンズリーグ決勝でバイエルンを優勝に導いたゴールは、決して忘れられないようだ。「キャリアのハイライトですか?」という記者の問いに「それは確実だね」と話し、続けた。
「あの場面は、決して忘れないだろうね。フランク(・リベリー)のアシストはまさに本能的なものだった。あとは、純粋なエクスタシーだったよ。ついに欧州王者になったんだ! あれは、僕のキャリア全体の中でも最高の瞬間だったね」
10年のミュンヘン生活、最高の監督は……
2009年の夏にバイエルンにやって来て以来、ロッベンは多くの名監督の下でプレーしてきた。先のCL優勝をともに果たしたユップ・ハインケス、カルロ・アンチェロッティ、ルイス・ファン・ハール、ニコ・コバチ、そしてペップ・グアルディオラ……いずれも、それぞれ異なるジェネレーションで欧州で実績を残した名前が並ぶ。
2000年、16歳でオランダのフローニンゲンでデビューを果たし、PSV、イングランドのチェルシー、スペインのレアル・マドリーと10年かけて名門クラブでの経験を経てミュンヘンにたどり着いたロッベンは「ペップ・グアルディオラがダントツだね」と自身の見解を示した。「僕はサッカーを愛している。とりわけ、攻撃的なサッカーをね。ペップは、攻撃的なサッカーをするうえでの“マイスター”なんだ」
ロッベンがペップから学んだもの
すでに「キャリアのハイライト」となるCL優勝を果たした後にもかかわらず、「最も学ぶことが多かった」とロッベン自身は振り返る。「全てのトレーニングメニューでボールを使っていたんだ。これは、特に気に入ったね。僕らは、本当にお互いの波長が合ったんだ」とペップと過ごしたシーズンについて話している。「ペップがミュンヘンに来たとき、僕はちょうど30歳になったんだ。まさか、その歳になっても、選手としてさらに成長できるなんて、思ってもみなかったよ」
とりわけ、どんな部分が成長したのだろうか?
「言うなれば、予測の部分だね。もっとうまく“ゲームを読む”方法を学んだのさ。敵のペナルティエリアの前での判断力の部分。もっと言えば、シュートを打つタイミングをより良く判断できるようになったんだ。あるいは、いつ横パスを出せば良いのか、といった部分さ。ペップは、僕がより“完全な”選手に近づけるように指導してくれた。個人的には、ペップが世界最高の監督だね。ペップとミュンヘンで過ごせた3年間は信じられないほど素晴らしいものだった」
バイエルン・ミュンヘンでは、数多くのタイトルを獲得し、欧州王者にもなった。そして、「世界最高の監督」と表するペップ・グアルディオラとも出会えた。だが、そもそも、どのようにしてロッベンはバイエルンにやって来たのだろうか? 後編では、その経緯を振り返る。
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Profile
鈴木 達朗
宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。