バロテッリがブレシア加入か?クラブは“誤報”にクギを刺すが…
バロテッリ、故郷のクラブでセリエA復帰か
「ブレシアがバロテッリと契約する」
14日、ブレシアローカルの地元紙『ジョルナーレ・ディ・ブレシア』は、セリエAに昇格したブレシアがニースとの契約が切れてフリーとなっているマリオ・バロテッリと個人合意に達したと報じた。
バロテッリはブレシアで育った。パレルモでガーナ人移民の子供として生まれたが、乳幼児の頃に消化器系の問題に直面し、治療費の捻出が難しくなった理由から裁判所の仲介で里親へと出される。そして空手、陸上競技、柔道、バスケットなどをやったのちにサッカーの道に進むこととなるのだが、意外なことにブレシア・カルチョとの縁はなかった。スカウトはチェックしていたようだが、地元のルメッツァーネの下部組織で育てられたのちにインテルへ行ったからだ。
ブレシアは報道を否定するが……
しかし今夏、バロテッリはイタリア代表への復帰をにらんで国内でプレーすることを望んだ。フィオレンティーナ、エラス・ベローナなどの噂も出るなか、家族のそばでプレーすることを希望しブレシアに興味を持つ。選手側からは特に法外な年俸の要求もしてこなかったということもあって、マッシモ・チェッリーノ会長は乗り気になった。そして13日、バロテッリと代理人のミーノ・ライオラは秘密裏にブレシアと接触し、年俸300万ユーロ(約3億5000万円)の3年契約で合意に至ったーー『ジョルナーレ・ディ・ブレシア』は、このように詳細を記していた。
もっともこのスクープ報道は、クラブにとってはありがたくなかったことのようだ。ブレシアは同日にプレスリリースを出し、「ジョルナーレ・ディ・ブレシアで報道された移籍市場に関する報道内容を否定するとともに、来週までの間、チェッリーノ会長以下クラブ所属者の取材対応自粛を表明する」と発表した。「不適切な報道は移籍市場での活動を阻害し、クラブにとっての成功を阻害する恐れのあるものだ」と“誤報”にクギを刺したのだが、当該の『ジョルナーレ・ディ・ブレシア』は記事を撤回する様子を見せなかった。むしろ「バロテッリは事実上ブレシアの選手になったと考えうる状況である。仮契約を結んだのは事実」と、当初のトーンを変えなかったのである。
バロテッリには同時並行して、ブラジル1部のフラメンゴからも高額年俸でのオファーが来ていた。ブレシアが慎重になったのはこれが理由だが、15日にフラメンゴの使節団がモナコでライオラと会談を持った結果、交渉は決裂したという。これを受けて『ガゼッタ・デロ・スポルト』は「金曜日にもブレシアは幹部会議を行い、バロテッリ獲得の最終決断をする模様だ」と報じた。果たして、ピッチ内外でカルチョの世界を騒がせ続けた男のセリエA復帰はあるのか?
Photo : Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。