“スーパー王者”を決める戦いだが……
先日のコパ・デルレイのフォーマット変更に続いて、今季からスペインスーパーカップのフォーマットも変更される。
リーガの優勝チームとコパ・デルレイの優勝チームの間で“スーパー王者”を決める戦いとして始まったスーパーカップだが、近年は迷走していた。
ひとつは、コンペティションの意義の問題。たとえば昨季は、一昨季のコパ・デルレイの王者とリーグ王者がいずれもバルセロナだったので、コパ・デルレイ決勝で敗れたセビージャがバルセロナの対戦相手として選ばれた。リーガとコパ・デルレイの王者が同じチームならスーパー王者は戦う前から決まっているのに、無理にセビージャを対戦相手に仕立て上げて試合を成立させる形となったのだった。しかも、そのセビージャはコパ・デルレイ決勝で手も足も出ずこてんぱんにやられていた(5-0)ので、人工的なコンペティション臭が鼻についた(結果は2-1でバルセロナの順当勝利)。
ふたつ目は、カレンダーの問題。リーガ開幕前の8月上旬にホーム&アウェイで開催されてきたが、近年、より金が儲かる親善試合を組み込むチームが多くなり、日程調整が難しくなっていた。昨季はバルセロナの親善試合を優先したせいで一発勝負にするしかなくなり、中立地を模索したあげくどちらのクラブにとってもメリットもゆかりもないモロッコのタンジェ開催となった経緯がある。
4チーム参加、一発勝負のトーナメントに
新フォーマットでは、4チーム参加の一発勝負でのトーナメント制となる。チーム選択の基準は以下の通り。①リーグ王者、②コパ・デルレイ王者、③リーグ2位、④コパ・デルレイ決勝進出者。今回のバルセロナのように①と④が両方とも同じチームの場合は、④にコパ・デルレイ決勝に出ていないチームでリーグ最高位のチームが選ばれる。同様に、①と②が同じチームの場合も④にコパ・デルレイ決勝に出ていないチームでリーグ最高位のチームが選ばれる仕組み。要は、リーガとコパ・デルレイでその年最強だった4チームを戦わせよう、というものだ。組み合わせは、①対④、②対③となり、勝ち上がった者が優勝を争う。
日程は1月上旬の開催となる。例年コパ・デルレイが開催されていた時期だが、前述のフォーマット変更でカレンダーに余裕ができたので、そこに組み込んだ格好。今回は1月8日にバレンシア(コパ・デルレイ王者)対アトレティコ・マドリー(リーグ2位)、同9日にバルセロナ(リーグ王者)対レアル・マドリー(リーグ3位)が行われる。
開催地は未定だが、一発勝負で中立地開催だと販売しやすいので海外開催が有力。海外でスペインスーパーカップもないものだが、まあ何にしても商売第一なのでしょうがない。
Photo: Getty Images
Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。