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アフリカネーションズカップ初出場のマダガスカル。長い名前の由来とは?

2019.06.26

 6月21日にエジプトで開幕したアフリカネーションズカップ2019。本大会では、アフリカ南東部、インド洋の島国マダガスカルが初出場しています。日本の国土面積の1.6倍ほどの広さを持つ、世界で4番目に大きな島で、樹齢1000年を超えるバオバブの木や、ワオキツネザル、ホウシャガメといった島内特有の固有種が知られていますが、サッカーでは初の国際大会出場ということで、マダガスカル代表について触れてみます。

初の国際主要大会でいきなり勝ち点1ゲット

 マダガスカルは17年6月から行われたアフリカネーションズカップ予選では、セネガル、赤道ギニア、スーダンと同組になりました。最も実績が乏しいマダガスカルでしたが、フランス人のニコラ・デュピュイ監督が率いるチームは、第4戦までで3勝1分けで勝ち点10を稼ぎ、2試合を残して本大会出場を決めました。

 そして迎えた本大会。グループリーグ第1戦のギニア戦では、前半に先制点を決められるも、49分にルドゴレツ・ラズグラドに所属するMFアニセト・アベル・アンドリアナンテナイナのゴールで同点に。59分には、キャプテンのFWカロルス・アンドリアマツィノロのゴールで逆転。66分にPKで追いつかれるものの、実績で上回るギニア相手に2-2のドロー決着でまずまずのスタートを切った。

マダガスカルはやたらと姓が長い

<マダガスカル代表・本大会の登録メンバー>
GK:
1 イブラヒマ・ダボ
16 ジャン・デュー=ドンネ・ランドリアナソロ
23 メルバン・アドリアン
DF:
4 ジェルベ・ランドリアナリソア
5 パスカル・ラザカナンテナイナ
14 ジェレミー・モレル
17 トアビナ・ランベロソン
20 ロマン・メタニル
21 トマ・フォンテーヌ
22 ジェローム・モンブリ・ラザナピエラ
MF:
3 ロマーリオ・バッジョ・ラコトアリソア
6 マルコ・イライマハリトラ
7 ディミトリ・カロワン
8 アロハシナ・アンドリアナリマナナ
13 アニセト・アベル・アンドリアナンテナイナ
15 イブラヒム・アーマダ
18 ラヤン・ラベロソン
FW:
2 カロルス・アンドリアマツィノロ
9 ファネバ・イマー・アンドリアツィマ
10 ンジバ・ラコトハリマララ
11 ポーラン・ボアビ
12 ラライナ・ノメンジャナハリー
19 ビリアン・グロス

 今大会の登録メンバー23人を書き出してみましたが、選手名がとても長いです。「アンドリアナンテナイナ」「ラザカナンテナイナ」「アンドリアマツィノロ」など、どうにもアナウンサー泣かせです。

 全島の間で用いられる「マダガスカル語」はオーストロネシア語族マレー・ポリネシア語派に属しています。祖先がインドネシアやマレーシアなど東南アジアから来ており、マダガスカル語はボルネオ島の言葉に最も近いと言われています。食文化も東南アジアから稲作を持ち込んだと言われ、米が主食として食べられることもあり、マダガスカルは「アフリカの中のアジア」「アフリカに最も近いアジア」など言われることもあります。

 マダガスカルは旧宗主国のフランスの占領下になるまで、先祖から子孫に受け継がれる「姓」が存在しなかったと言われています。子供が生まれると、両親の姓の一部を取って、新しい姓を作っています。これは16〜18世紀に存在したメリナ王国の頃にも存在した伝統文化で、最も長い名前は「アドリアナンポイニメリナトンポコインドリンドラ(Adriananmpoinimerinatompokoindrindra)」と言われており、「メリナ王国に生まれた現存する首長の王子」を意味します。名字に「アドリアナン」とついた選手は、メリナ王国にルーツがあると考えられるでしょう。

 現代では旧宗主国のフランスの影響により、短めの姓を持つ人も増えていますが、伝統文化の習わしとして長い名前を用いる人も多くいます。主にファーストネームで呼びあうのが一般的ですが、名字を呼ぶ場合は、一部だけを切り取って呼びあうのが一般的だそうです。

マルセイユやリヨンで活躍したモレルが代表入り

リヨンでプレーするDFモレルは昨年にマダガスカル代表入り

 マダガスカル代表は、他のアフリカのナショナルチーム同様、積極的にルーツがある選手に代表招集を要請しています。フランス生まれの選手が多く、元U-20フランス代表DFトマ・フォンテーヌ、MFマルコ・イライマハリトラなど、A代表はマダガスカルを選択する選手も増えています。

 アフリカネーションズカップ本大会出場を決めた後も積極的に“補強”。昨年11月には、ロリアン、マルセイユ、リヨンで、リーグ・アン400試合超の出場を誇るDFジェレミー・モレルが、34歳で代表初キャップを記録しました。父がマダガスカル出身のモレルは、第1戦こそ出場はしなかったものの、フランス下部リーグやアフリカのクラブ所属が多いチームにとっては、経験が豊富なモレルの存在は大きく、今後の試合での活躍に期待がかかります。

Photos : Getty Images

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マダガスカル代表文化

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シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

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