U-21イタリア代表「アズリーニ」が混乱中
現在、イタリアで開催中のU-21欧州選手権で、A組のイタリアは22日にベルギーと対戦。3-1で勝利したもののスペインに得失点差で一歩及ばず、グループ2位に回ることになった。ポーランド戦での敗戦が響き、2位チームの最上位チームに与えられる準決勝進出ならびに東京五輪出場権はフランスに奪われた。「歴代最強のチームの一つ」と言われた今回のU-21イタリア代表の結果に、ファンは落胆している。しかし今回は別の理由でも、『アズリーニ(アズーリの弟分)』は世間を騒がせている。
22日のベルギー戦を前に、モイゼ・ケーンとニコロ・ザニオーロが謹慎処分を食らっていたのだ。理由は、試合当日のテクニカルミーティングにそろって遅刻したこと。ザニオーロは警告累積で出場停止となっていたため元々試合に出られなかったが、ケーンは前日会見でルイジ・ディ・ビアージョ監督から予告先発もされていた立場だった。何より両者ともユベントスやローマで頭角を現し、フル代表にも招集されている選手たちである。そんな彼らがなぜ外れることになったのか、ディ・ビアージョ監督はベルギー戦後の記者会見で説明した。
「どんなチームにも規則というものがある。それが何度も破られるようだと、監督は処分を決めなければならない」
「第2のバロテッリが誕生した」と問題児扱い
具体的にどんなルールを破ったかについて細かく言及はされなかったが、一度や二度の間違いで処分が下されたというわけではなかったということだ。ケーンとザニオーロは、同い年でU-19代表時代からとても仲が良いもの同士。「モイゼは冗談も言う普通の子だよ」とザニオーロは地元メディアに言っていたのだが、遊びたい盛り仲良し同士が同室になれば際限なく盛り上がってしまう。合宿中にケーンが部屋の様子を撮った写真をSNSにアップ、ベッドの上ではザニオーロがパンツ一丁で横になっており、ファンの間で女性と間違われると後日にザニオーロがSNS上でネタとするというように、はたから見れば緊張感に欠けると言わざるを得ないやりとりが続いていた。両者は3月にフル代表へ招集された時にも、度々時間にルーズな点が目立っていたのだという。
イタリアサッカー界の各関係者は「チームの規律には問答無用。ディ・ビアージョの選択を支持する」と、ケーンやザニオーロを批判。ネット上でも「たかが2、3試合で周りが彼らを祭り上げるから、第2のバロテッリが誕生した」などと問題児扱いだ。
両者は監督やチームに謝罪し、チームへの復帰を許可された。ただA代表のロベルト・マンチーニ監督は、2人を次回の招集から外すことも検討しているとイタリアの地元紙各紙は報じている。
せっかく将来を嘱望されるタレントを見つけたイタリアだが、彼らをどう育てるべきなのかという課題に直面している。
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Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。