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バイエルン史そのもの。殿堂入り名手が集結し、無骨な盟主再び

2018.11.22

至高のチームをWCCFで再現!私のベストイレブン


15周年の節目を迎えたWCCF。醍醐味である国やクラブ、時代を超えた自分だけの“ドリームチーム”作りはもちろんのこと、自分が好きな国やクラブの選手を集めて最高のチームを作る“○○縛り”も楽しみ方の一つとして定着している。その長い歴史の間に積み重ねられてきた百花繚乱のカードを使って、一家言あるフットボリスタ執筆陣が選ぶ最高の○○チームを、ここに再現する。

#10 遠藤孝輔さんが選ぶ至高のバイエルン

 バイエルンには18人の殿堂入りプレイヤーが存在する。古くは1928年入団のコンラート・ハイドカンプ、チャンピオンズカップ(現CL)3連覇の立役者であるフランツ・ベッケンバウアー、ゲルト・ミュラー、ウリ・ヘーネス、ゼップ・マイヤー、新しいところではフィリップ・ラームとバスティアン・シュバインシュタイガーなど錚々たる顔ぶれだ。

クラブOBを集めた式典の最中、マタドールの真似事をするゼップ・マイヤーとパウル・ブライトナー

 基本的にはこのリストからベストイレブンを選出した。もっとも、全員がWCCFに登場しているわけではなく、泣く泣く選外としたレジェンドもいる。例えば、ゲルト・ミュラー。クラブ史上最多の公式戦508得点の金字塔を打ち立てた点取り屋は、現CEOのカール・ハインツ・ルンメニゲらとともにWCCFファンの間でカード化が待望されている。

 “爆撃機”の異名を取ったその英雄に代わり、最前線に据えたのはエウベルだ。華麗なバイシクルやバックヒール、強烈なダイビングヘッドなど多彩なフィニッシュワークを誇ったブラジリアンは、2000-01にクラブ史上4度目となるCL制覇に貢献。公式戦通算140得点は現チームのエースであるロベルト・レバンドフスキに抜かれたものの、このポーランド人FWに欠ける大舞台での勝負強さも魅力だった。特に00-01のCL、準々決勝第2レグ(対マンチェスター・ユナイテッド)、準決勝の2試合(対レアル・マドリー)で記録した3戦連発は今なおファンの間で語り草だ。

00-01CL準決勝レアル・マドリー戦でゴールを決め喜びを爆発させるエウベル

 クロスに抜群の反応を見せたエウベルにチャンスを供給するウインガーは、“ロベリー”を置いて他にいない。クラブの外国人選手最多出場記録を更新し続けているフランク・リベリーは、文字通りの“生ける伝説”。2007年夏の加入直後から傑出した局面打開力でドイツ人の度肝を抜き、35歳になった今もレギュラーの座を守り続けている。この盟友とともに、2012-13のCL制覇の立役者となったアリエン・ロッベンも外せない。オフのテニス中にケガをしたり、息子を同じ市内のライバルである1860ミュンヘンのサッカースクールに参加させたり、何かと話題を振りまいてきたが、ピッチ上での存在感はやはり絶大。同シーズンのCLファイナルにおける決勝点を直に見られたのは一生の思い出だ。

2000年代後半からバイエルンの攻撃を牽引し続けてきたロッベンとリベリー


スペクタクルなし、ノスタルジック満載

 外国人で固めた3トップとは対照的に、中盤はドイツ人オンリー。テクニックと運動量をハイレベルに兼備した“ハイブリッド型”のシュバインシュタイガーとローター・マテウスは、CL決勝での忘れがたき敗北(前者は地元ミュンヘンでの決勝でPK失敗、後者は“カンプノウの悲劇”の当事者だ)を経験した苦労人でもある。常に栄光に彩られていたわけではなく、周囲からの大きな期待や批判と戦いながら、最終的に殿堂入りした紆余曲折のキャリアにシンパシーを感じるファンは少なくない。もう一人は、“エッフェ”ことシュテファン・エッフェンベルク。パウル・ブライトナーやリベリー、オリバー・カーンらクセの強いレジェンドが多いバイエルンの中でも屈指の強面で、強烈きわまりないキャプテンシーといかつい顔に似合わない崇高なボールスキルでチームを牽引。エウベルらとともに、00-01のビッグイヤー獲得に大きく寄与した。破天荒な性格だったこの鬼才にハードワークは期待できないので、シュバインシュタイガーとマテウスには存分に走り回ってもらう。

今年ホール・オブ・フェイム入りしたシュバインシュタイガー。8月には授与式と記念試合が開催された

 最終ラインはラームとベッケンバウアーが文句なし。どちらも絶対的なリーダーとして、それぞれ2010年代、1970年代の黄金期を支えた。悩んだのはベッケンバウアーと組むCBだ。記録だけを考えれば、7度のブンデスリーガ制覇をはじめ数々の栄光を経験したクラウス・アウゲンターラーがふさわしいだろう。ただ、残念ながら筆者は彼のをリアルタイムで観たわけではない(ベッケンバウアーは話が別)。というわけで、規格外の攻撃センスを備えたルシオを選出し、左SBにはドイツ代表のベストイレブンにも選んだブライトナーを配した。

引退直後に殿堂入りを果たしたラーム。右のヘーネス会長、左のルンメニゲCEOもやはりメンバーに名を連ねている

 ジャン・マリー・パフ、マヌエル・ノイアーなど他にも選択肢はあるが、最後尾はクラブ史上最多の632試合に出場したカーンで決まり。大雑把なパントキックによるロングボールにエウベルが抜け出してゴールを決める――。そこにスペクタクル性は一切ないが、相手に致命傷を負わせる威力は十分。今のポゼッションスタイルもいいけれど、かつての無骨なバイエルンにノスタルジーを覚えるファンは僕だけではないだろう。

元チームメイトのパウロ・セルジオ、マスコットのベルニと写真に収まるカーン


■『WCCF』 基本情報

商品名 WORLD CLUB Champion Football 2017-2018 Ver.3.0
ジャンル スポーツカードゲーム
公式サイト http://www.wccf.jp/


全国のゲームセンター等で絶賛稼働中!


■WCCFで再現!私のベストイレブン
#1 頂点を極めた歴代ラ・ロハ以上!華麗なる”最光”スペイン代表
#2 取られた以上に取ればいい。破壊力なら宇宙一のセレソン
#3 「ポゼッション下手」よさらば。PK戦も心配無用のイングランド
#4 「10番が多いほど美しい」。「個」>「組織」がアルゼンチン
#5 W杯優勝98年組と現代表+α 華麗な“おたわむれ”レ・ブルー
#6 とにかく「1対1で勝つ」。懐かしの“ゲルマン”なドイツ代表
#7 ポゼッション100%も夢じゃない。ドリームチーム+ペップ・バルサ
#8 名門の黄金世代が詰まった“ゴールデン・ユベントス”
#9 妄想爆発!ボスイズムあふれるロマン派アーセナルイレブン


Photos: Bongarts/Getty Images, Getty Images

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WCCFバイエルン

Profile

遠藤 孝輔

1984年3月17日、東京都生まれ。2005年より海外サッカー専門誌の編集者を務め、14年ブラジルW杯後からフリーランスとして活動を開始。ドイツを中心に海外サッカー事情に明るく、『footballista』をはじめ『ブンデスリーガ公式サイト』『ワールドサッカーダイジェスト』など各種媒体に寄稿している。過去には『DAZN』や『ニコニコ生放送』のブンデスリーガ配信で解説者も務めた。

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