海外サッカーマニア、エンジン全開。林陵平注目のクラブ&選手はここ!
「フットボリスタ・ラボ」林陵平選手トークイベントレポート 中編
去る9月上旬、「フットボリスタ・ラボ」で開催したイベントに、現役Jリーガーの林陵平選手が登場。本誌に掲載したインタビューで本人いわく「JリーグNo.1の海外サッカーマニア」に違わぬマニアっぷりを披露してくれた林選手が、ポジショナルプレーにはじまり今季の欧州サッカー注目クラブ&選手、そして参加者の疑問・質問にたっぷりと答えてくれた。今回は、そんなイベントの模様を3回に分けてレポート。中編は、相当なサッカー好きが集うラボメンバーも唖然!? メジャーからマニアまで、林選手が今季注目する欧州4大リーグのクラブ&選手を熱く語ります。
文 フットボリスタ・ラボ
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ウォルバーハンプトンもけっこう気になる
有名じゃないですか? アルナウトビッチ
浅野「次のテーマは『18-19シーズン欧州サッカーの注目クラブと選手』です。こっちの方が語りやすいかもしれませんね。僕は前回、いきなり度肝を抜かれたんですけど(笑)。さっそく挙げてもらいましょうか」
林 「じゃあ、まずプレミアリーグから。優勝に関わってくるチームはシティとリバプールだと思っています。中でも、今季リバプールは本気出してきたなと。レスター戦ではちょっとやらかしてしまいましたけどGKのアリソンを獲ったり、ナビ・ケイタを獲ったり。シティと唯一、真正面から戦えるチームかなって思いますよね」
浅野「やっぱり、シティが優勝候補最右翼ですか?」
林 「はい。そこにどのチームが絡んでいけるかというところで、一番近いところにいるのがリバプールかなと」
浅野「林選手はペップ的な、まさしくポジショナルプレーでボールを支配して戦うシティのようなサッカーと、クロップのリバプールのようにゲーゲンプレッシングを軸にしたテンポの速いサッカーとではどちらが好みですか?」
林 「僕はヴェルディに入る前、ポジショナルプレーを自分たちが始めるまでは、あんまりグアルディオラのことは好きじゃなかったんですよ(笑)。どちらかと言うと勝つことを優先しているモウリーニョが好きだったんですけど、今はもうグアルディオラが好きになってきてます。やっていることが似ているなと。『モダンサッカーの教科書』にグアルディオラの言葉がよく出てくるんですけど、けっこう言っていることが似てるんですよね。だから、すごく面白いなというのも感じるし。今季のシティはCLも狙えると思っています」
浅野「では、リバプールとシティですかね」
林 「固いと思います。チェルシーはサッリを新監督に迎えて、やりたいことは出てきているけど時間は多少かかるかなという印象です。あと、CFのモラタとジルーはちょっとサッリの中では違うなと感じている部分があると思いますね」
浅野「やっぱり、CFを見ちゃいますか?」
林 「それはもちろん。試合見る時、CFの選手はよく見ます。チェルシーに関してはもう一つ、CBがダビド・ルイスなので僕はあんまり信頼していないというか(笑)。大事な場面でやらかすんじゃないかなという心配があるのと、裏を取られた時に戻るスピードがかなり遅いんです。なんかジョギングしているみたいで(笑)。そういうのがちょっと怖いなと。もちろん、繋ぐのはめちゃくちゃ巧いのでサッリは使っているんだと思いますけど」
浅野「今名前が挙がった3チームのCF、シティがアグエロとガブリエウ・ジェズス、リバプールがフィルミーノ、チェルシーがモラタとジルー、この中だと誰が一番ですか?」
林 「僕、フィルミーノがすごく好きなんです。いちおう、ゴールパフォーマンスもやってます(笑)。見ていない人はぜひ見てほしいです。フィルミーノのボールの引き出し方とか、足の裏を使ったプレーがすごくいい。それと話は変わるんですが、リバプールはジョー・ゴメスがいいですね。今はCBで出ているけどSBもできるし。ロブレンあたりがフィットしてきたらどこで出るんだろう。両SBにはアーノルドとロバートソンがいるので。でもジョー・ゴメスを使ってほしいなと。若いし、すごくポテンシャルが高いなと思いました」
浅野「そうだ、思い出したんですけど、Twitterでオドイ(チェルシー)を推していましたよね」
林 「プレシーズンに見て、びっくりするほどポテンシャルが高いなと思って。来るかなと思ったんですけど、メンバーにすら入ってないんですよね。メンバーどんだけすごいんだよ、って思いました」
浅野「まだ17歳ですからね」
林 「なので、まだこれからだと思うんですけど」
浅野「アンダーの大会(昨年のU-17W杯ラウンド16)で日本も戦っていて、一番目立ってましたよね。サイドにいた速い奴って印象が残っています。それにしても、いきなりオドイとかマニアックなところからくるなって(笑)」
林 「いやいや、もちろん(笑)。あとチームでは、ウォルバーハンプトンもけっこう気になる存在です。今年昇格してきたんですけど、彼らは大物代理人メンデスのチームでもあると思うんで。中国資本を連れて来て橋渡ししたのもメンデスですからね。メンバーの中にもルイ・パトリシオだったり、メンデスの顧客がたくさんいますし」
浅野「だから、あのクラスのチームにしてはやけに戦力が充実しているんですよね。やっぱり、一番見るのはプレミアですか?」
林 「そうですね。でも、最近はセリエAもけっこう面白くなってきたなと思っていて」
浅野「僕、セリエA担当なんですよ。セリエを見てくれる人がいるだけでうれしいです(笑)」
林 「(イベントに)参加してくれている人たちはサッカーを見ている人たちだと思うので、たぶん全部見ているんじゃないかと思いますけど、セリエAけっこう面白くなってきたなと思いますよ。それはあとでお話するとして、プレミアの注目選手を挙げてもいいですか」
浅野「お願いします!」
林 「まず、エバートンに移籍したリシャーリソン。最初から点を取ってますけど、ワトフォード時代から推してたんですよ」
浅野「大丈夫かな? もうみんなついてきてないかもしれない(笑)」
林 「うそ(笑)! みんな知っている人たちじゃないんですか?」
浅野「大丈夫です、突っ走ってください(笑)」
林 「本当ですか(笑)? じゃあ次はイングス。前十字を2度ケガしちゃってリバプールでは試合に出ていませんでしたけど、サウサンプトンに復帰して昨日(クリスタルパレス戦)も点を決めてました。彼の復活っていうのはすごく楽しみですね。あとはウェストハムのアルナウトビッチとか。もう有名ですけど」
浅野「その基準がすごいですよね」
林 「有名じゃないですか? アルナウトビッチ」
レバンテのモラレスは点を取った後のパフォーマンスを今度やりたいなと思っている選手
浅野「有名と言えば有名かもしれませんけど……いやすごいですね、本当に(笑)。じゃあ、次はリーガいきましょうか」
林 「リーガはやっぱり、バルサ、アトレティコ(・マドリー)、レアル(・マドリー)の3チームの中でどこが優勝するかっていう構図になっているのが面白味に欠けるところかなっていうのはありますよね、正直。飛び抜けちゃってるんで」
浅野「そうですね。ただ、一時期は完全にレアルとバルサの2強だけだったのに、そこにアトレティコが絡んできただけでもすごいかなというのはあります」
林 「昨日(セルタ戦)は負けちゃいましたけどね」
浅野「シメオネも言ってましたけど、これで目覚めてくれればってところですね。アトレティコはけっこう行けると思うんですけどね、今季は」
林 「そうですね。固いチームですし、戦術的にも、(選手の)質も量もそろった感じがします。GKもいいですしね。守備が固いチームはリーグ戦でいい順位にいけると思うので、その部分はすごくいいと思います」
浅野「ロナウドがいなくなったレアルはどうですか?」
林 「まだ強い相手とはやってないですけど、試合を見る限り今年もいけそうな雰囲気がありますよね。ロペテギになって、彼はどちらかというとチームで戦うスタイルなので、ロナウドがいなくなって逆にチームとしてやりたいことができているのかなって感じますし、その中でベンゼマが得点力を発揮し始めてますし。ベンゼマ楽しみですよ」
浅野「やっぱり、ロナウドみたいな超大物がいると、周りがちょっとプレーしにくかったりとかあるんですかね?」
林 「まあ、きっとパスはしちゃいますよね(笑)。決めてくれるだろうと思ってパスすると思いますよ」
浅野「難しいですよね。大エースがいると、一番実力があって結果を出すのもわかるけど、周りはちょっと気を遣っちゃうという難しさが」
林 「ベンゼマとか特に気を使ってましたからね(笑)」
浅野「明らかにそうでしたね(笑)。今はベイルが点を取っていますね」
林 「そうですね、ベイルは仕事しますね。でも、やっぱりケガすると思うんですよね。ケガがちな部分が……」
浅野「さすがに今ベイルがケガしたら、代わりがいないですからね」
林 「そうですね。でもいい選手はたくさんいます。アセンシオやイスコなら代わりができますしね。ただうまくやり繰りできたとしても、CLの大事な試合とかでは間違いなくベイルが必要になってくると思います」
浅野「レアルはそんなに落ちてないと言いますか、まあ今季もやるんじゃないかと」
林 「そうですね」
浅野「バルサはどうですか?」
林 「バルサも順調に勝つでしょうって感じだと思います。大物を補強したかと言われればそこまでしていないですけど、まあメッシがいるんで。メッシとあのサッカーをやっている限り、彼がいれば大丈夫かなっていう部分はありますね。あと、新加入のCBラングレはけっこういい選手だと思います」
浅野「昨季はついに[4-4-2]になっちゃいましたからね」
林 「そうですね。ヴェルディのスペイン人コーチのイバンは『[4-4-2]はないだろ』って言っていました。[4-3-3]の方が面白いですよ、バルサは」
浅野「もともとは[4-3-3]で、いろいろ変遷していく中で派生システムとして[3-4-3]を試したりしましたけど、ついに[4-4-2]になっちゃった(笑)」
林 「バランスはいいんですけど、攻撃力の部分が。リーグ戦ではいいと思うんですけど、CLになった時にどうなるのかなっていうのはあります」
浅野「メッシがいて、それを生かすバランスを模索していった結果ああなってしまったというか」
林 「でも[4-3-3]でも勝ててましたからね」
浅野「もったいないと言えばもったいないかもしれないですけど。イニエスタがいなくなっても強さは保てるでしょうか?」
林 「全然保てますよ。リーガでは飛び抜けてます」
浅野「3チームの中でどこが優勝候補ですか?」
林 「やっぱり、なんだかんだバルサだと思いますけどね」
浅野「昨シーズンも14ポイント差で圧勝でしたからね。その他の注目チームは?」
林 「ベティスですね」
浅野「日本人でも見る人が多くなっていますね」
林 「乾選手が行って見る人も多くなったでしょうからね。キケ・セティエン監督がポジショナルプレーを採用しているので、見ててすごく面白い。中でも、トップ下気味の位置でプレーするFWのブデブズは左利きですごくいい選手なので見てほしいです。それから、FWのロレンっていうユースから上がった選手がいて、彼もけっこう面白い。あと、マーケット最終日にパリ・サンジェルマンから獲ったロ・チェルソ。彼が巧いんですよ。ベティスのサッカーに合う選手を獲ったなと思います」
浅野「ベティスは楽しみですよね。昨季も良かったですし、乾も含めてどうなっていくのかなと」
林 「ただ、今の[3-5-2]だとちょっと乾選手のやる場所がないかもしれないですよね。シャドーの選手でもないし、2トップの選手でもないし。もしかしたらちょっとシステムには合ってないかなっていう部分はあります」
浅野「最初は2シャドーか[4-2-3-1]かと予想されていたんですけど、ああなるとなかなか難しいですよね。セティエンは(乾を)評価しているみたいなんですけど」
林 「ホアキンも評価してましたよね」
浅野「ただ、タレントがそろっていますからね」
林 「ボランチにウィリアム・カルバーリョを連れてきたり、いい選手が多くなりましたよね」
浅野「セティエン監督には『フットボリスタ』で前編集長の木村さんにインタビューしてもらいました」
林 「読みましたよ」
浅野「ありがとうございます。面白い人ですよね」
林 「面白いですね。攻撃サッカーですもんね」
浅野「『選手たちにボールを与えたら守ったりしない、みんなボールを蹴って遊ぶだろう、選手は絶対そっちの方がいいんだよ』って話をしていたり、GKのミスで負けた時の話では『お前のそのミスは絶対に間違ってない、こういうサッカーをしている俺の責任だ』って力説したりしていました。筋が通っていて、自分がやろうと思っているサッカーがブレてないのがいいなと思いました」
林 「GKのパウ・ロペスもスペイン代表に入りましたしね」
浅野「林さん好きそうですよね、ベティス(笑)」
林 「ポジショナルプレーを採用しているチームは見ちゃいます。見てて面白い部分がたくさんあるので」
浅野「では、リーガの注目選手を教えてください」
林 「ビジャレアルに移籍したジェラール・モレノ。昨季エスパニョールで活躍したんですけど、利き足の左が巧みで得点を取る形が豊富な選手なので、すごく楽しみです。あとはレバンテのモラレス。スピードに乗ったドリブルが売りなんですけど、点を取った後のパフォーマンスを今度やりたいなと思っている選手なんです」
浅野「ここ限定でちょっと見せてもらっていいですか」
林 「いやいやいや(笑)。見てもらえればわかると思うんで」
浅野「残念……(笑)」
林 「あと、ビルバオのGKウナイ・シモンもくるんじゃないかと僕は思っています。チェルシーに移籍したケパの後釜の選手です。ユースから上がってきたのかな。去年の若手ベスト11に入っていた選手で、ちらっと見た時に反応がすごく早いなと」
浅野「ビルバオはどんどん若い選手が出てきますよね」
林 「そうですよね。イニャキ・ウイリアムスとか、いい選手は多いと思います」
セリエAの注目チームはサッスオーロ。
ラングニックの考え方は、勉強になる部分がたくさんあります
浅野「さすが林さんらしい、マニアックな人選が出てきてうれしい限りです。じゃあ、次はセリエAにいきましょうか」
林 「注目チームはサッスオーロ。『フットボリスタ』でも取り上げられてましたね」
浅野「さすがポジショナルプレーマニアですね」
林 「気になっちゃいますよね」
浅野「デ・ゼルビのチームは面白いですよね」
林 「(今季の第2節)カリアリ戦の最初の1分間を見るだけで面白さを感じましたからね」
浅野「デ・ゼルビは不遇で、セリエCのフォッジャでブレイクしてすぐセリエAに抜擢されたところまでは良かったんですが、途中就任したパレルモでは落とし込む時間的余裕が全然なくてすぐに解任されてしまい、その次に引き受けたのがやはり途中就任で昨シーズンのベネベント。けっこうな貧乏くじを引いた感じでした。ようやく今季、プレシーズンからセリエAのチームを率いることができたので勝負の年なんですけど、すごく楽しいサッカーですよね」
林 「CFに(ケビン・プリンス・)ボアテンクがいて、ベラルディに復調してほしいし、ローマの監督の息子フェデリコ・ディ・フランチェスコもいますしね。中盤では、昨季ミランで活躍してレンタルで加入したロカテッリはすごく巧いなって感じました。シンプルに見てて面白いチームだなと思います」
浅野「セティエンのベティスとかデ・ゼルビのサッスオーロとか、中堅チームにポジショナルプレーというか、かなり攻撃思考の強いチームが出てきていて面白いですよね」
林 「そうですね」
浅野「セリエAの優勝争いはどうですか?」
林 「それはもうユベントスの1強ですよね、どうしても」
浅野「サッリがナポリに残っていれば対抗できたかもしれないんですけど……ちょっと難しいですよね。もちろん、ナポリはまだアンチェロッティになってどうなるかって段階ではありますが。どうですか、ロナウドが入ったユベントスは?」
林 「3試合終えてまだ点を決めてないので、だいぶイラついてるなって感じはします。わかるんですよね、気持ちは。FWで新しく入ったチームで早めに取れないと、メンタル的に辛い部分があります。特に、ロナウドの場合はずっとゴールを取ってきた選手ですしね。1点入ればポンポン取ると思うんですけど、昨日の試合(パルマ戦)のハイライトを見てても、今はまだちょっと力みが出てるなと(編注:自身4試合目のサッスオーロ戦で初ゴール)」
浅野「FW特有の心理ってありますか?」
林 「それはありますよ、やっぱり。最初の1点っていうのはすごく大事で、その1点が取れないと『自分はいつまで点を取れないんだろう』っていう変なスパイラルに入る部分もありますし、逆に乗っていれば『オレにボールをくれれば取れるよ』って時もある。そういうものだと思います」
浅野「それは、点が入り始めると自然とそうなっていくのか、それとも『今日はなんかボールタッチ(の感触が)いいぞ』みたいな感覚なんでしょうか?」
林 「アップしている最中に『今日はなんか体軽いな』とか『今日はちょっと体重いな、やばいな』みたいなものは、選手であれば誰でも感じることです。けど、それとは別で点を取るっていう部分に関しては、一度取り出すと集中して自分のところにボールがこぼれてきたりするんですよね。FWの場合はそういう部分があると思います」
浅野「選手としてプレーしていく中で、自然とそういう流れに持っていくテクニックみたいなものがあるんでしょうか?」
林 「やっぱり結果が重要で、点が入り出すとメンタル的にも『自分のところにボールが来る』っていう気持ちになるんです。サッカーって戦術とかいろいろありますけど、メンタルのスポーツでもあると思うんですよ。だからメンタル面が充実している選手が多いチームほど、試合に勝てると思います」
浅野「最近、ヨーロッパのサッカー界ではメンタルコーチやカウンセラーを常駐させるチームが増えてきています。それだけメンタル面が重視されてきているってことだと思うんですけど、うまくトレーニングすればメンタルが安定して結果が出せるということはあるんでしょうか?」
林 「個人的な部分で多少はあると思います。けど、チームとしては1週間に1度試合があって結果が出るので、そこで勝つか負けるかっていうのがすごく重要な部分ですよね。負けが続いてしまうと、どうしてもチームの雰囲気も落ち込んでしまう。連勝し始めるとみんなに覇気が出てくるっていう部分はあると思います」
浅野「あと、やっぱりチーム内のリーダーの存在は大きいものなんでしょうか?」
林 「キャプテンシーを発揮できる選手がいるっていうのは大事ですし、そういう意味ではベテランの選手がどういう気持ちでトレーニングに向かっているかっていうのは、チームにすごく影響を与えると思います。ベテランの選手っていうのは背中で見せていかないといけない部分はあると思います」
浅野「林選手も意識しているんですか?」
林 「僕は意識しているというより、もともとストイックにサッカーに打ち込んできたので、日々変わらず集中してやるって感じですね」
浅野「なるほど。じゃあ、最後にブンデスの気になるチームと選手を聞かせてください」
林 「監督だとやっぱりナーゲルスマンは気になるし、あとはRBライプツィヒのラングニック。今季また監督になってどういうサッカー見せるのかっていうのはすごく楽しみですね」
浅野「ラングニックやナーゲルスマンは、厳密に言うとやっているサッカーはちょっと違うのかもしれませんが、ただもともと繋がっている部分もある2人で独特のサッカーをするじゃないですか。林さんはどう評価されていますか?」
林 「気になりますよね。今ポジショナルプレーが注目されてますけど、サッカーってそれだけじゃない。あくまで方法論の一つで、それが絶対に試合に勝てる戦い方というわけではないですからね。ショートカウンターを採用するチームとかいろいろな戦い方がある中で、RBライプツィヒが志向する縦への速さっていうのはサッカーにおいて重要な部分です。リトリートされてから攻撃するのって、W杯でもそうだったようになかなか難しくなっている。引かれる前に攻撃しちゃおうというラングニックの考え方は、勉強になる部分がたくさんありますね」
浅野「すごくテンポが早いじゃないですか。やってる選手は大変そうだなと思いますけどね」
林 「あれは大変だと思いますよ」
浅野「試合のテンポをどんどん上げていくと、選手はかなりキツいものがあるんじゃないかと思うんですが」
林 「でも、ああいうやり方っていうのを選手がわかっていれば慣れてきます。外から見た印象に比べて、やっている選手にとっては全然問題ないと思いますよ」
浅野「あらためて、注目の選手はいかがでしょうか? 言い残しがあればブンデス以外でも大丈夫です」
林 「さっきイタリアで言えなかった、パルマのFWイングレーゼ。去年ナポリからキエーボにレンタルされて活躍して戻ったんですが、ナポリは選手層が厚いので今度はパルマにレンタルされたんですけどけっこう好きな選手ですね。なんでもできるタイプの選手です。あとビックリしたのは、パルマにジェルビーニョいたのかって。イタリアに3年ぶりかな? 戻って来て、ユベントスとの試合でも活躍していてやっぱりドリブルスピードが速いなと思いながら見てました」
浅野「彼と言えば独特な髪型ですよね」
林 「変わってなかったですね(笑)。それからブンデスでは、ホッフェンハイムからシャルケに移籍したウートです」
浅野「マニアックな選手がたくさん出てきて、いい感じだったと思います(笑)。ありがとうございました。最後にせっかくなので、CLの予想で締めましょうか」
林 「僕はシティだと思っています」
浅野「シティ、いけますか? スペインの2強やバイエルンもいますけど」
林 「いやもう、そのあたりは予想するのが難しいですね。難しいけど、やっぱりシティはなんでもできると思います。今年は後ろも選手を獲ったし、誰がケガしてもっていうのはおかしいけど、いけるような感じがします」
浅野「そろそろ、シティが勝つんじゃないかっていうのもありますね。グアルディオラはこのところCLを獲れていないので、そろそろ順番が回ってきそうな気がしますし」
林 「獲りたいと思ってるでしょうね。あとはユーベも、今季は絶対に獲りたいと思っているでしょう」
浅野「ロナウドを獲ってこれでCLを制覇できれば、クラブとしての格がまた一つ上がりますよね」
林 「そのためにわざわざボヌッチも取りましたからね」
浅野「楽しみです。イタリア担当としても、ユーベには頑張ってほしいです」
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Ryohei HAYASHI
林 陵平(東京ヴェルディ)
1986.9.8(32歳) 186cm / 80kg FW JAPAN
東京都八王子市生まれ。東京ヴェルディの下部組織でジュニアからユースまで過ごした。05年に明治大へ進学して頭角を現し、大学3年の07年関東大学サッカーリーグで43年ぶりの優勝に貢献した。その年の天皇杯では4回戦まで勝ち進み、京都サンガから1得点、清水エスパルスから2得点を挙げる快挙を達成した。大学卒業後、09年に古巣の東京ヴェルディに加入したが、翌年に柏へ移籍する。12年7月からはレンタル、翌13年シーズンより完全移籍でモンテディオ山形に加入。17年に水戸へ活躍の場を移し、チーム最多の14得点を記録した。プロ10年目となる節目の今季、東京ヴェルディへ復帰を果たした。
Twitter:@Ryohei_h11 Instagram:@ryohei_hayashi
Photos: Getty Images, Bongarts/Getty Images
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フットボリスタ・ラボ
フットボリスタ主催のコミュニティ。目的は2つ。1つは編集部、プロの書き手、読者が垣根なく議論できる「サロン空間を作ること」、もう1つはそこで生まれた知見で「新しい発想のコンテンツを作ること」。日常的な意見交換はもちろん、ゲストを招いてのラボメン限定リアルイベント開催などを通して海外と日本、ネット空間と現場、サッカー界と他分野の専門家――断絶している2つを繋ぐ架け橋を目指す。