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「国民の一員になりたい」イニエスタ加入会見全文公開

2018.05.24

ヴィッセル神戸は24日、FCバルセロナからアンドレス・イニエスタを完全移籍で獲得したと発表した。都内で行われた記者会見には、楽天の代表取締役会長兼社長三木谷浩史氏とイニエスタの2人が登壇。本原稿では、会見中に2人が話した全内容を掲載する。

211社348人の報道陣が集結した会見場は開始前から熱気に包まれた


三木谷氏挨拶

 「本日は本当にお忙しい中、お集まりいただき誠にありがとうございます。今日はアンドレス・イニエスタ選手がFCバルセロナから神戸に移籍することになったことをご報告、発表させていただきます。アンドレス・イニエスタ選手と言えば2010年南アフリカのワールドカップで、スペイン代表が初優勝を決めた時の奇跡的なゴールを鮮明に覚えていらっしゃる方が多いんじゃないでしょうか。そして2015年からはFCバルセロナでキャプテンを務め、昨年はクラブ史上初の生涯契約を結んだ世界的なトッププレーヤーでございます。バルサはカンテラと呼ばれる下部組織を持ち、そこで若手を手厚く育成してきた伝統があります。イニエスタ選手はカンテラ出身で、そこから世界トッププレーヤーになりました。飛行機の中で話しておりますと、今カンテラの中でもラ・マシアという寮出身のプレーヤーはイニエスタ選手のみということで、まさしくバルセロナの保守本流と言えるのではないでしょうか。

 ヴィッセル神戸にとっては、彼のキャプテンとしてチームを率いてきた哲学や、バルサの持つDNAが注入され、大きな刺激になると思っています。イニエスタ選手には単にチームの力の向上ではなくユース年代向けのアカデミーのメソッド導入を含め、次世代への育成にも大変大きく期待をしております。また、世界最高峰のプレースタイルと技術を日々目の前で実際に見ることができる。それはヴィッセル神戸にとどまらず日本サッカーに大きなインパクトを与えてくれると思っています。また、アジア全体のサッカーにも影響を与えるものではないかと思っております。

 新ヴィッセル神戸としてアジアナンバーワンクラブになることを本気で目指していこうと思っております。そして彼はサッカープレーヤーとしてだけではなく、現在7400万人のSNSのフォロワー数を誇り、世界的にも大変強い発信力、影響力があります。世界から日本サッカーが注目を集めることになっていくのではないでしょうか。Jリーグ全体が世界から注目を浴びることができるような仕掛けもどんどん作れればと思っております。スポーツには人々や社会を元気にする力があると信じています。立場や国を越えて感動を分かち合えたり、また心を勇気づけたりする原動力。だからこそFCバルセロナやNBAのゴールデンステイト・ウォーリアーズ、また楽天・ジャパン・オープン、楽天イーグルス、そしてヴィッセル神戸と、スポーツを応援しております。今回はイニエスタ選手が日本の社会や人々をエンパワーすると信じ、交渉してまいりました。今日のこの日を迎えることができまして、本当に感動しております。イニエスタ選手が、思い切り楽しんでプレーしてもらえるよう、また美しい感動的なプレーを披露してくれるよう全力でサポートしていこうと思っております。そして何より彼が日本に馴染んでいけるよう、僕はここにいる皆様のご協力を得られればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。それではイニエスタ選手に登壇していただきたいと思います」

登壇後、報道陣の前で契約書にサインするイニエスタ


イニエスタ挨拶

 「こんにちは、イニエスタです(日本語で)。

 私にとって本当に特別な日です。自分にとってはとても重要な、チャレンジです。これは私のキャリアにとってもそうです。あと私の家族も今回日本に来られることをとても喜んでいます。三木谷さん、三浦さん、そしてみなさんのご信頼に心から感謝申し上げたいと思っております。我われはこのプロジェクトの中で、ぜひもう一歩前進したいと思っています。そしてこのクラブ、そしてJリーグがアジア全体に広まるように私の力を貸したいと思っております。私のチームメイトの人たちと知り合いになって、一緒にプレーすることを心から楽しみにしています。そしてこの素晴らしい国にいることをうれしく思っています。私の大好きな国です。私も私の家族も少しでも早く日本の文化に慣れ、日本で過ごしていきたいと思っています。(日本語で)ありがとう」


質疑応答


――現在の日本サッカーについてどう思っているか、今後どうしていきたいと思っているか。

イニエスタ「自分は日本のサッカーに対してとてもリスペクトしています。日本のプレーヤーにしてもそうです。日本の選手は技術が高くてよく考えてプレーしています。日本の選手はコンビネーションをよく使います。Jリーグについてもよく知っていますし、あと日本代表についてもよく知っています。非情に高いレベルの選手が多いと思っています。私は自分のチームを助けるためにそして自分のサッカーをお見せするために、日本に参りました。そうすることによって、クラブ、そして日本のサッカーが発展することを祈っています」

三木谷「今回アンドレス・イニエスタという世界で最も尊敬されているサッカープレーヤーがJリーグでプレーするということは、いちプレーヤーが入るということではなくて、このイニエスタという一滴はJリーグ全体に大きな影響を与えて、そしてそれは翻って日本サッカーにも大きな影響になるのではないかと思っています。これによってJリーグが世界の人達が見たいようなリーグになっていく。またイニエスタ以外のですね、現役の有名選手が日本でプレーしてみたいということも起こると思いますし、若い選手が刺激をされるだけではなくて、子どもたちがサッカーをやってみたいという憧れや夢、こういうものが出てくると期待して今回は我々も思い切ってやらせていただきました」


――いろいろな選択肢がある中でなぜ日本という地、ヴィッセル神戸というクラブを選んだのか。

イニエスタ「幸運なことにいろんなオファーがありました。私に関心を持ってくれた他のクラブにも感謝を申し上げたいと思います。私がヴィッセル神戸に決めた理由は、提示されたプロジェクトが興味深いものだったからです。私に対して人として、プレーヤーとして、信頼を持ってくれた。それが大きかったです。申し上げましたが、日本は素晴らしい国だと思います。日本の文化というのは、素晴らしいです。できるだけ早く日本に慣れて活躍したいと思っています。日本の生活を楽しみながらプレーも楽しみ、そして早くチームの一員になりたいと思います」


――日本の好きなところはどんなところですか?

イニエスタ「全部です。日本人の方たちもとっても好きです。とにかく一番重要なことは文化に溶け込むことだと思います。ですから、みなさんと同じように国民の一員になりたいと思っています。私のファミリーもそう思っています。私たちの祖国の文化とは違いますが、できるだけこの文化の一部になりたい思っています」

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Profile

池田 タツ

1980年、ニューヨーク生まれ。株式会社スクワッド、株式会社フロムワンを経て2016年に独立する。スポーツの文字コンテンツの編集、ライティング、生放送番組のプロデュース、制作、司会もする。湘南ベルマーレの水谷尚人社長との共著に『たのしめてるか。2016フロントの戦い』がある。

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