SPECIAL

勝つのはAIか、識者か。Jリーグガチ予想対決に西部謙司さん登場

2018.05.11


AIを用いてサッカーの戦況を予測し、Jリーグの試合結果を予想する世界初のAIサッカーシミュレーションメディア「WARP」。その革新的な取り組みでにわかに注目を集めているが、実際その予想精度はどれほどなのか。豊富な知識と取材経験を誇る『footballista』ジャーナリスト陣との予想対決を通して、AIサッカー戦況予測の実力に迫る。


第2回は、本誌連載『戦術リストランテ』でお馴染み西部謙司さんが登場!

挑戦者:西部謙司さん(サッカージャーナリスト)

 冒頭、「直接関わってはいなかったんですが、昔コンピュータでtoto予想を行おうという試みがあったんです。1000万円を投じて、天気や審判といった要素も加味して予想するものだったんですが……気づいたら終わっていました(笑)」とコンピュータによるサッカー予測の難しさがわかるエピソードを披露してくれた西部さん。

 今回対決する「WARP」の予測システムについてレクチャーを受け、率直な感想を求められると、「情報を入れれば入れるほど、(totoのように)10数試合の結果を当てる形式の確度は上がると思います。ただ、特定の1試合の結果を当てるとなると、不確定要素が多過ぎるので(難しい)」との見解を示した。

【↓「WARP」の詳しい仕組みはこちらをチェック!↓】
サッカー予想もAIの時代に!?戦況予測サービス「WARP」とは?

 自身の予想については「私は本当に予想が下手なんです。真面目に予想すればするほど当たらないんですよ(苦笑)」とやる前から白旗宣言!?が飛び出したが……いざ、予測対決へ。

 今回はJ1とJ2の5カードをピックアップして予測を行った(※現状WARPのAIはtotoを予測するために、13試合中5試合でダブル買いを選択するように作られている)。


■長崎対名古屋

名古屋はリーグ戦8連敗後に2引き分けと苦しい戦いが続いている。不振の主因は何なのか。風間監督のサッカーに精通している西部さんの見立ては「コンディション」。チームに蔓延したインフルエンザの影響でメンバーがそろわない状態が続いたことが最も大きかったという。だが、主力が戻った現在は良くなってきていることに加え、「今までは風間サッカーの中で何とか個性を出させようとしていたんですが、前節では浮き球のパスを多用していた」得点源ジョーの使い方がはっきりしてきており、ここから調子は上向くと見ているとのこと。

一方、開幕6戦勝利なし→4連勝→3連敗と浮き沈みの激しい長崎の注目ポイントとして西部さんが挙げたのは「鈴木武蔵の使い方」。ファンマを先発させてキープさせるか、それとも鈴木のスピードを生かしてスペースを突くのか。ポゼッションされるのはわかり切っているため、西部さんであれば最初から鈴木を起用するという。

このように両者の戦い方を展望した西部さんの結論は2-2のドロー。対する「WARP」は長崎の勝利とした。AIシミュレーションでは、西部さんもキーマンに指名した鈴木の2ゴールで名古屋を下すと予測している。

◯予測
「WARP」:長崎の勝利
西部さん:引き分け


■横浜FM対G大阪

「WARP」AIによるシミュレーションを見ると、攻防の中心となるのは横浜FMの左、G大阪の右サイド。この差し合いを制した横浜FMは、FW大津が前半だけでハットトリックを達成。ファン・ウィジョと藤本のゴールで食い下がるG大阪を振り切っている。ただ、totoでのベットとしては横浜FMの勝利と引き分けのダブルを選択している。

対照的に、西部さんは0-2でG大阪の勝利と予想した。15位と低迷する横浜FMの“ポジショナルプレー”に対する評価は「今のところは絵に描いた餅」。理由として、「空いている選手はいるのに、そこを使う技術が足りない」「SBを中に入らせてウイングをワイドに張らせる形を取っているが、ウイングがそこまで強くない」ことの2点を指摘している。

16位と同じく厳しい位置にいるG大阪については、実際にキャンプで見た時点で「時間がかかるな」と感じていたという。「出遅れの原因は、ベストのメンバーと組み合わせを見極めるのに時間を要した」から。ただ、「今ようやく落ち着いてきました。ここからは強くなるでしょうし、現時点で強くなっていると思います」とのこと。試合自体の主導権は横浜FMが握るも、三浦のファビオの堅陣を崩せないうちに逆襲されるという流れを思い描いている。

◯予測
「WARP」:横浜FMの勝利 or 引き分け
西部さん:G大阪の勝利


■FC東京対札幌

2位対3位の上位対決。両チームの好調ぶりは、西部さんの目にどう映っているのか。

FC東京は、「“つまらないサッカー”に徹しています。[4-4-2]でインテンシティ高くプレーし、攻撃は2トップと両SBのスピードを生かす速攻中心。硬派で、わかりやすいのが良い方に出ていると思います」とのコメント。

札幌については「正直、もっと時間がかかると思っていた」という西部さん。続けて「ミシャ式のスタイルは、Jリーグでは対策が確立されています。ただ、今の札幌はミシャ式の可変システムをやり切れておらず、そこまで攻めれていない。それによって、逆に弱点が表面化していないように思います」とのこと。

結果予測は両者ともに一致した。「WARP」によるシミュレーションでは、ボールを保持する札幌が宮吉→都倉のホットラインで2点を先行。カウンターで応戦するFC東京は大森のクロスにディエゴ・オリベイラが合わせて1点を返すも反撃及ばずという展開となった。西部さんは、スコアは0-1か1-1ながら、形勢としてはAIと同じ流れを予想している。

◯予測
「WARP」:引き分け or 札幌の勝利
西部さん:引き分け or 札幌の勝利


■徳島対京都

◯予測
「WARP」:徳島の勝利 or 引き分け
西部さん:京都の勝利

下馬評は徳島優位の一戦だが、「WARP」の戦況シミュレーションで先制するのは京都。序盤から徳島陣内でプレーを続け、最後は闘莉王がネットを揺らした。しかし、ここから流れは一変。徳島が圧倒的に押し込むと、後半にマティアスの2ゴールで逆転に成功する。

西部さんの見立ても、「普通にやれば徳島が勝つでしょう」。ただ、監督交代後の初戦となる京都の“ブースト”を予想して「ここは逆張りで」あえて京都の勝利をチョイスした。


■千葉対新潟

千葉を追い続けている西部さんのチーム評はずばり「もうちょっと上げないといけませんが、実力的には10位くらい」。対する新潟は「オーソドックスなやり方で、技術的にも悪くない」ものの、「パワー型の2トップがあまり速攻に向いていない」ことが順位を上げ切れない原因だという。試合としては「新潟はボールを奪ってから繋ごうとする傾向が強いので、千葉のハイプレスにハマってしまう可能性が高い」という相性から、3-2で千葉の勝利と予想した。

「WARP」のAIによるシミュレーションを見てみると、3-2で千葉とスコアまで一致。ラリベイとターレス、両チームのエースが躍動している。ただし、チーム状態や相性等も踏まえた最終的な予想も千葉の勝利となり、再び両者の見解が一致している。

◯予測
「WARP」:千葉の勝利
西部さん:千葉の勝利


WARP公式サイト
では上記以外のJ1/J2全試合の予測を公開中!

 

<WARP紹介>

◯サービス概要
正式名称 WARP
利用料金
無料会員 無料
有料会員 月額500円+税
提供会社 株式会社Sports AI
サイトURL https://warp-football.jp/
問い合わせ先 info@sports-ai.jp

footballista MEMBERSHIP

TAG

AIJ1リーグJ2リーグtotoWARP

Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。

関連記事

RANKING

関連記事