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創造性あるプレーの鍵は「勇気」。来日シャビ・アロンソ氏が語る

2018.01.31

シャビ・アロンソ氏×森保一U-21日本代表監督 トークイベント

 元スペイン代表MFシャビ・アロンソ氏が30日、「サッカーショップKAMO 原宿店」で開催された「アディダスフットボール」主催のトークイベントに登場。U-21日本代表監督の森保一監督とクリエイティビティ(創造性)をテーマに対談を行った。

 ピッチ全体を俯瞰しているかのような視野の広さと長短の精確なキックを武器にCLやW杯など数々の栄光を手にし、16-17シーズンを最後にスパイクを脱いだ当代屈指のゲームメイカーは現在、アディダスが東京のほかロンドン、ベルリン、パリ、ミラノで開催しているフットボールリーグ『TANGO LEAGUE』(タンゴリーグ)で監督を務めている。

 初めにプレーヤーと指導者との違いについて聞かれたX.アロンソ氏は、「選手時代はまず自分のベストを尽くして、そのあとチームのことを考えていました。ですが指導者はチーム全体のことを考えないといけません。自分のアイディアをどうやってチームに理解させて伝えていくか、そういうチャレンジもあります」と回答。

 続けて、どこか率いたいチームや代表監督になりたいといった希望があるかを問われると、「まだ現役を引退して日が浅く、指導者になって数カ月しか経っていませんので偉そうなことは言えませんが、大好きなサッカーに関わっていきたいという気持ちがあります。ただ、そのためには自分のサッカー観をいかに伝えるか、そのチャレンジが始まっています。それがうまくいけば、何らかの形で監督をやっていきたいと思っています。とはいえ責任が重くプレッシャーも大きいと思います」と明言こそ避けたものの監督業への意欲を示した。

 次の話題は、今回のイベントのテーマでありX.アロンソ氏のプレースタイルの代名詞でもあるクリエイティビティについて。

 「自身とってクリエイティビティとは?」との質問に対し、「才能の一つだと思います。ただそれを生かすには、チームプレーなので周りの選手がどれくらい(自分がやりたいことを)理解してくれるかが大事になってきます」と語ったX.アロンソ氏は、創造性あふれるプレーでファンを魅了した自らの特長について「精度が高く、周囲が予測していないところに出すパス」と分析。さらに、「ピッチの中央でプレーしていたので、流れを見ながら試合展開をどうやって変えられるか、常に考えながらパスを出していました」とプレー時の思考の一端を明かしてくれた。

 印象的だったのが、クリエイティブなプレーの例として05-06シーズンのプレミアリーグ・ニューカッスル戦で決めた超ロングシュートについての話と、クリエイティビティを高めるためのトレーニングはあるのかについて聞かれたX.アロンソ氏が、技術面ではなく「勇気」をキーワードとして挙げたこと。

 前者に関しては「確かにクリエイティブなプレーでした」と認めつつ、「それ以上に大事なのは勇気を持つことでした。同じようなプレーにチャレンジして何度も失敗しています。あの時はたまたま成功して、みんな大喜びでしてくれましたけどね。ただ、付きまとうリスク、失敗の可能性を恐れてはいけない」、後者については「組織的にプレーするとかプレー精度はもちろん大事です。ただバランスの問題なのですが、選手というのは組織的にプレーするだけじゃなく勇気が必要、やんちゃでなければならないと思います。チャンスの時には(チームの)約束事と違ったとしても、クリエイティビティを発揮して、自分を信じてチャレンジしていかないとサッカーは成り立ちません。あまりいい子でも良くないかもしれません」と強調した。

左から森保一監督とX.アロンソ氏

 このあとは、森保監督と特別招待された観客の方からの質問にシャビ・アロンソ氏が回答していった。

 まず、森保監督からの「偉大な監督たちとともに仕事してきたが、印象に残っている監督は? また、どういったことを学んだか?」という質問に対しては、「どの監督も共通点として説得力があり、選手たちが(指示に)納得できました。学んだのは、(チームというのは)一番いいピースばかり選んでもパズルが組み立たない日もあります。ベストメンバーにこだわるだけではなく、なぜ組み合わせなのか、言葉にしなくても選手たちが感じれるようにするのがいいこと」と答え、2つ目の「ユース時代に、モチベーションの上がった言葉や指導は?」には「個人差があると思いますが、自分は注意されるのが好きなタイプでした。監督から注意されるほど期待されているんだ、(自分を)よく見てくれているんだと感じてモチベーションアップに繋がっていました」と自身の経験を語った。

 続いて、観客からも2つの疑問がぶつけられた。

 1つ目は「試合に臨む前、自分に自信が持てなかったりどこかに不安な気持ちがあった時にはどうやってメンタルをポジティブにしていくのですか?」

 質問を聞いて「凄くいい質問です」とうなずいたシャビ・アロンソ氏は、「大事な試合を前にして自信がない時、自分との戦いになります。自分がこなしてきた練習や力を信じて、『大丈夫だ』『絶対にうまくやれる』と言い聞かせて自分との戦いに勝たなければいけません。これが自己説得というメンタルワークです。自信がないままピッチに入ってもロクなことになりません」と自らが用いていた手法を伝授。

 2つ目の「イスタンブールの奇跡の時、どんなクリエイティビティを発揮して逆転を成し遂げたのか?」には、「先ほどの答えとも似てくるのですが、そういうシチュエーションになった時にも、自分との戦いが始まります。あの(0-3で前半を終えた)段階で、チームには当然フラストレーションが溜まっていましたし、何人かの選手は『もうダメだ』と思っていました。でも、何人かの選手は『まだいける、何とかしよう』という気持ちでいた。そこからはそれぞれが自己説得をして、この状況を何とかするんだ、と結束できた。そういう気持ちが奇跡を起こすんだということをみなさん目の当たりにして、多くの方の記憶に残る試合になったと思います」と、奇跡の舞台裏に言及した。

 最後に、イベントの感想として森保監督は東京五輪に向けた意気込みを、X.アロンソ氏は来日できた喜びと感謝を口にし、最後は日本語での「アリガトウ!」の言葉でイベントを締めくくった。

 なお、同日夜には「アディダス ブランドコアストア 渋谷」で開催されたトークイベントに出席。参加した高校生や大学生ら育成年代の選手たちへと直接エールを送った。

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フットボリスタ 編集部

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