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Jリーガーが語るCL第2回 大久保嘉人

2015.10.18

欧州サッカー好きのJリーガーに、UEFAチャンピオンズリーグの“自分流”観戦ポイントを指南してもらうスカパー!とfootballistaとのコラボレーション連載。第2回は前人未到のJリーグ3年連続得点王を狙う日本人FWの第一人者、大久保嘉人が登場!

――普段ヨーロッパのサッカーはどのくらい見ていますか?

 「毎日見ていますよ。一番は(自分がプレーした)スペインですけど、プレミアやイタリアも見ますし、テレビでやっている時間で変わりますね。チームで言えばバルサ、レアルですかね」

――夏にドルトムントと試合をしましたが、トップクラスの感触はどうでした?

 「前に行くスピードが凄く速い。あとサッカーを知っているなと感じました。ボールを取ってから行く時は行く、行かない時は回す。スイッチが入った時はSBもそうでしたけど、上がって行くスピードが速かった。ボールをつける正確さがあり、スピードを落とさずにセンタリングまで行く。あの試合では真司も点が取れたので良かったんじゃないですか。最近のプレーはあまり見れていないのですが、点を取ったシーンは見ています。今年は調子が良さそうですから楽しみですね」

――今回はUEFAチャンピオンズリーグを技術面から語ってください。第1節の注目試合は、マンチェスター・シティ対ユベントス戦でした(スカパー!サッカーサイトでハイライトが視聴可能)。ブッフォンの2度のスーパーセーブが光りましたが、大久保選手ならどう攻略しますか?

 「(2分のスターリングのシュートコースは)あそこしかないと思います。トラップしてもDFが戻って来ますし、これはGKの勝ちですね。僕も同じコースを狙うと思います。ユーベはDFとGKの連係がいいんですよ。両者の位置関係だったり、DFの戻って来るコースでFWは狙いを決めるので。DFの戻りが甘ければ、トラップしてシュートアングルを作ってファーに打つとか。そうすれば絶対入っていましたね。ただ、これだけ戻りが早いとこのシーンみたいにダイレクトで逆サイドという選択になります。(59分のスターリングのシュートシーンは)ちょっと余裕があったのでニアに打つか、もう一回トラップして中に行っても良かったかもしれない。ただ、ブッフォンは全然動きませんね。動かないで最後まで見る。大概のGKは先に飛んじゃうので、その逆を突けるんですけど……。GKを抜く時も簡単に飛び込んでこなくて、ずっとボールを見るGKは手強いです」

――次はユーベの1点目、マンジュキッチのゴールシーンです。左サイドにいたポグバの右足クロスをゴール前でマンジュキッチが合わせました。

 「ポグバのDFラインとGKの間に入れるボールで決まりましたね。FWがCBのマークを外したこともそうなんですが、その瞬間にパスを出すか出さないかで決まる。あの場面でもマンジュキッチが一回裏に飛び出して戻った後、相手DFと並んだ時にポグバが出したのでマークを外したってなりますけど、出てこなければ意味ないですからね。FWは蹴る瞬間にDFの前に入るか、DFラインとGKの間にパスを出してもらって飛び込むかのどっちかを常に準備しています。このシーンでは左SBのコラロフがボールウォッチャーになっているじゃないですか。まさか出てくるとは思わなかったんじゃないですかね。SBはFWからしたら結構嫌な存在なんですよ。SBはFWの動きを全部見ているから。クロスが入ったら、カバーリングに入ってきますし。ポグバのクロスはまさかっていうタイミングだったから、動けなかったんだと思います」

――最後はモラタの決勝点のシーン。ロングボールのこぼれ球を拾っての左足シュートでした。

 「このシュートはレベル高いですよ。モラタの技術ですね。利き足とは逆だったので歩幅を合わせるのも難しいし、バランスも崩していたんで、GKもまさかああいうシュートが来るとは予測していなかったんでしょう。自分だったら打っていない。もうちょっとドリブルするかもしれないですね。このシーンではロングボールが相手選手の背中に当たってコースが変わっていましたけど、自分もそういうことを想定しながら走りますね。何が起きてもDFより先に動き出せるよう準備をしています」

現地で感じた影響力

「テレビ中継で欧州中が見ている」

――第3節の注目カードは何でしょう?

 「アーセナル対バイエルンは面白そうですね。バイエルンは守備にかける人数が少ないので、アーセナルのカウンターでやられる可能性がある。逆にバイエルンが先に点を取れば3、4点取ってしまうかもしれない。先制点が試合を左右すると思います」

――大久保選手は間近でバイエルンの強さを感じられたと思いますが、当時はどんなチームでしたか?

 「僕がボルフスブルクにいた頃は4-1で負けたりしていましたから、今みたいに絶対的に強いという感じではなかったですけど、ペップに監督が代わって面白いサッカーをするようになりましたよね。ちょっとドイツっぽくない感じですけど」

――パリSG対レアル・マドリーという対戦もあります。

 「このカードもいいですね。何と言ってもイブラヒモビッチとロナウドのエース対決が見どころじゃないですか」

――実際にレアル・マドリーと対戦した印象はどうでした?

 「マドリーはやっぱり凄かった。自分がいた時は銀河系と呼ばれていた頃だったんで、ジダンとかとにかく凄い選手がいっぱいいました。強さの秘密ですか? あれだけお金をかけていい選手を獲っていますからね(笑)。本当に個の力が凄い。DFも強くて1対1は負けない。それプラス球際が激しい。だからバルサとはちょっと違いますね。バルサはパスを回して支配する組織のサッカー、レアルは個のサッカーというイメージです」

――この大会の魅力は何でしょう?

 「ヨーロッパでは凄く注目されていますよね。海外でプレーしている時、みんなでご飯を食べに行っても、絶対そこでテレビ中継をやっていますし、本当にみんなが見ています。だから選手は全員その舞台に出たい。欧州中に見てもらえるから。そこで活躍すれば、他の国の人たちも見ているからスカウトされるかもしれないですし。ちなみに、Jリーガー同士でも優勝予想とかやっています(笑)」

――最後に、サッカーが好きな子供たちにUEFAチャンピオンズリーグのどこを見ればいいか、アドバイスをお願いします。

 「ワールドカップよりレベルが高いと思いますし、お互いの意地のぶつかり合いで単純に見ていて楽しいですね。この大会に出てくるチームは各国の代表クラスの選手が集まっている世界選抜チームですから代表よりも個の力が強い。誰がボールを持ってもワクワクするので、そこを見てほしいです。僕はどんなプレーをしたのか巻き戻しながら見るので録画が多いんですけど、今はみんなフェイスブックなどで結果を載せるので困りますね(笑)。同じシーンを1回じゃなくて何度も見ることもあります。やっぱりプレーが頭に入りますし、参考になります。こういう場面でこういうことができるんだ、今度やってみようと思いますね」

このインタビューの動画版をこちらのスカパー! サッカーサイトで配信中!

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Profile

浅野 賀一

1980年、北海道釧路市生まれ。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランス活動を開始。2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。

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