12月18日、アルビレックス新潟は松橋力蔵前監督の後任として、樹森大介新監督の就任を発表した。長年水戸のユース監督を務めた経験はあるが、トップチームでの監督経験はない指導者をJ1の監督に抜擢するという驚きの人選。果たして、樹森大介とは何者なのか? 水戸の番記者として彼を見てきた佐藤拓也記者に教えてもらおう。
水戸サイドからも「驚きのオファー」
「樹森大介コーチがJ1新潟の監督に就任する」
その情報を聞いた時、耳を疑わずにはいられなかった。
なぜなら、樹森コーチはこれまでトップチームの監督を務めた経験はなく、2006年に指導者の道に進んでからは育成の道を歩み続け、水戸のトップチームのコーチに就任したのは2023年のこと。いまだトップチームでの監督経験もない樹森コーチに対して、J1チームから監督のオファーが届くなんて、誰が予想できるだろうか。チーム関係者と話をしても、誰もが驚きを隠せないような反応を見せていた。
ただ、指導者としての能力を考えると、十分納得できる人選だと言える。
2012年から11年間のユース監督時代には[4-3-3]システムを採用し、ボールを大切にしながら、両ウイングの縦への推進力を活かした攻撃的なサッカーを展開。2度チームをプリンスリーグに導き、5人の選手をトップチームに昇格させた。
2023年にトップチームのコーチに就任。特に指導者としての能力を発揮したのは24年シーズン。現役時代のチームメイトであり、同い年の“盟友”森直樹が監督に就任してから、指揮官の右腕としてチームを支え、J2残留に大きく貢献した。
「守備の森」「攻撃の樹森」体制が噛み合う
現役時代、DFとして活躍した森監督はもともと守備の指導を得意としており、濱崎芳己前監督時代もチーム作りにおける守備を担当していた。一方、樹森コーチは現役時代、10番を背負ってアイディア豊富なプレーでチャンスを作り出した攻撃的な選手であり、ユース監督時代も攻撃的なチームを作ったこともあって、今季から「攻撃」を担当していた。……