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小森飛絢が決めればジェフ千葉は負けない。2年目の進化のキーワードは「知性」と「意欲」

2024.10.07

大卒2年目の小森飛絢が文字通り、ジェフ千葉を牽引している。第28節からの7試合で計12得点、自身はJ2得点ランキング首位、チームも4位まで浮上してきた。鮮烈な活躍を見せた昨季からさらに進化した24歳を、ジェフ千葉を追い続ける西部謙司が徹底解剖!

点を取れば勝率「76%」、取らなければ「24%」

 小森飛絢に2年目のジンクスなどなかった。昨季は大卒ルーキーながら13得点。2年目の今季は第34節時点で22得点、J2得点ランキングのトップにいる。

 第28節の仙台戦から3試合連続の2得点、第32節の山口戦でハットトリック、続く愛媛戦は2得点。第34節の群馬戦では決勝点の1点。7試合で12得点である。

 ゴールラッシュの始まりだった仙台戦以前、小森は7試合ノーゴールだった。その間、チームも1勝1分5敗と不振を極めていた。しかしエースの復活とともにチームも6勝1敗と復調、4位まで順位を上げた。

 小森の得点とチームの成績ははっきりとリンクしている。小森が得点した試合は13勝2分2敗。一方、得点しなかった場合は4勝2分11敗。小森が得点すれば勝率は約76%だが、無得点だと勝率は約24%でさらに言えば約65%の確率で負けている。エースの得点は結果を左右するものとはいえ、こうまで極端な差が出るものだろうか。

 チームの調子が良いから小森が点を取れた試合もあったと思う。ただ、直近の愛媛戦と群馬戦は、チームの調子は良くなかったにもかかわらず、小森の得点のおかげで勝てた試合だった。一方、チームが8得点した栃木戦(第8節)と7得点の愛媛戦(第16節)で、小森は1点ずつしか取っていない。チームが好調だから小森が点を取れるのか、小森が点を取るから勝てるのかといえば、印象としては後者になる。

 チームを勝利に導く頼もしいエースに成長している。

「絶対的な形がない」万能型のメリット

 小森の特徴は万能性だ。

 利き足は右だが、両利きと言っていいくらい左足も上手い。ハーフウェイラインの手前からGKが前に出ているのを把握して、瞬時に左足で超ロングシュートを狙ったこともある。ボールを右足に持ち替えることなく、その時に最小限の時間で蹴れる左足のキックに迷いがなかった。

 第5節の清水戦は小森が得点しながら負けた2試合の1つだが、この時のゴールも左足。左足のシュートフェイントを入れてDFをずらし、ファーへ低いシュートを決めていて、このシーンだけ見れば完全に左利きである。

……

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Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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