5月28日、ベルギー代表を率いるドメニコ・テデスコ監督は、UEFA EURO2024に出場する25名の代表選手を発表した。2022年のFIFAワールドカップ後に代表引退していたアクセル・ビツェルが復帰するなどのサプライズはあったが、クルブ・ブルッヘに所属する左SBマクシム・デ・カイペルが初招集され、ベルギーメディアを沸かせた。
8歳からクルブ・ブルッヘ一筋
8歳からクルブ・ブルッヘでプレーし、各年代別代表を経験している23歳のSBは、19歳でトップチームに昇格後、セカンドチームのクルブNXTを経て、2021年から2年間、ウェステルローへ期限付き移籍していた。2023年、3年ぶりにクルブ・ブルッヘに復帰するとレギュラーに定着し、37試合3得点10アシストの活躍で、2年ぶりの優勝に貢献している。
期限付き移籍先のウェステルローに所属している頃から、評価は高かった。攻撃性能が非常に高く、最終ラインからのビルドアップからゴール前への飛び出しまで縦横無尽にピッチを動き回り、アシストやゴールを量産。2022-23シーズンに昇格したばかりのウェステルローの躍進を支えていた。
ベルギーリーグでも指折りのSBとして評価は高かったが、テデスコからの招集レターが来ることはなく、同じポジションのライバルである当時セルクル・ブルッヘに所属していたオリビエ・デマン(現ブレーメン)が招集されていた。デ・カイペルが招集されないことに対し、懐疑的な意見はベルギー国内から上がっていたが、2024年になっても呼ばれることはなかった。
人材難の左サイドのカギを握る
EURO大会前の代表メンバー発表では、未招集だったデ・カイペルの落選は濃厚と見られていたが、これまで招集され続けてきたライバルのデマンが落選し、デ・カイペルが招集された。
大会直前のモンテネグロ戦ではフル出場し、ルクセンブルク戦でも途中出場している。同じ左サイドでプレーしたヤニック・カラスコとの連携がスムーズだ。デ・カイペルは「クラブより質の高い選手はそろっているが、差はほとんどない。何よりも楽しかった」と充実感を語った。
テデスコ就任後のベルギーの左SBは、アルトゥール・テアテがプレーしているが、テアテの本職は左CBで、攻撃面での貢献は多くない。タレント大国と呼ばれながらも、左SBの人材難は長年懸念材料となっていたベルギーでは、デ・カイペルは待望の人材だ。直前でのサプライズ招集でいきなり本番になったが、ベルギー躍進のカギを握る選手と期待がかかる。
Photo: Getty Images
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シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。