6月の2026年W杯アジア2次予選ミャンマー戦、シリア戦に臨む日本代表で2023-24シーズン、評価を高めたメンバーの一人が、モナコの中心選手として本領を発揮し、ファン投票によるリーグ1ベストイレブンにも選出された南野拓実だ。ホームで行われた最終節後、自身のフランス挑戦2年目を振り返ったインタビューをお届けしよう。
ASモナコは、2023-24シーズンのリーグ1を王者パリ・サンジェルマンに次ぐ2位で終え、目標としていた来季のCL出場権を手に入れた(勝ち点67、20勝7分7敗、68得点42失点)。
南野拓実は、開幕4試合で3ゴール3アシストという快調なスタートを切ると、8月のリーグ1月間MVPに選出。主砲のウィサム・ベン・イェデル(16得点)に次ぐチーム2番手の9得点、そしてチームトップの6アシストという活躍で2年目の挑戦を終えた。
2位を確定して迎えた最終節ナント戦では、アディ・ヒュッター監督は来季を見据えて新人を試したい意向を明かしていて、おまけに腿裏の違和感でトレーニングも減らしていた状態にあった南野については、無理に出場させる必要はないとコーチ陣は考えていたが、南野自身が「どうしても出たい」と直訴。
77分にピッチに送り出された時にはモナコは4-0と大量リードを奪っていたが、南野は今季を通して披露してきた姿そのままに、限られた時間の中でも必死にゴールを狙いに行った。
最後の瞬間まで戦う姿勢を見せた南野が、試合後の囲み取材で、今季の手ごたえや来季の展望について語ってくれた。
「9点取れたっていうよりも、9点しか取れなかった」「一番は監督が変わったこと」
――まず、シーズンを終えての感想を。
「2位で終えるのは僕らの目指していたところだったので、チームとしてはすごく満足しているというのが一つと、チャンピオンズリーグに繋がったことは自分の目標でもあったので、それは達成できてすごくよかったなって。あとはもっと数字の部分でこだわって、来シーズンもやっていければいいかなと思っています」
――今日は出場が15分間ほどだったが、監督からは事前に話が?
「そうですね。先週もケガ(左の腿裏。試合の時点では快癒)をしていて、トレーニングも3日ぐらいしかやれていなかったので、そういうのもあって。勝っても負けても順位は変動しないから、今日はいろんな選手にチャンスがありましたけど、監督には『絶対に試合に出たい』、『自分がプレーできる状態なんやったら絶対その選択肢の中に入れてくれ』っていう話は常にしていて、監督は『わかった』と言って出してくれた。でもその中で点を取りたかったなっていうのが正直な気持ちです」
――シーズンでリーグ戦30試合出場はイングランド、フランスに来てから最多。ゴールは今日取れていれば2桁の数字だったが、そのあたりを振り返ると?
「まあ、物足りなかったなっていうのが正直なところで。(2桁得点は)たぶん少し運が良ければ絶対に達成できた数字だと思うし、それは来シーズンに繋げられればなと。数字で(どのくらい狙っていきたいか)はわからないですけど、感覚的にそう思っているというのが今の率直な気持ちで。9点取れたっていうよりも、9点しか取れなかった。もっと取れるように改善はできると思っています」
――来シーズンはチャンピオンズリーグ参戦があり週2試合ペースになるが、その点で体調の管理など意識していることは?
「リバプール時代にそのリズムは1シーズン通して体験していたし、そのタフさはわかっているので。まずはケガをしないことと、コンスタントにハイレベルなプレーを毎試合見せることが重要っていうのは理解しています。なのでこのオフとプレシーズンは、自分にとってはまた新しい体作りの期間になると思っています」
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。