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“普段通り”を貫いた真っ向勝負はアタランタに軍配。ついにシーズン初黒星を喫したレバークーゼンの誤算とは? EL決勝分析

2024.05.26

アタランタレバークーゼンによる対戦となったEL決勝は、アタランタが3-0で勝利し初の欧州タイトルを掲げた。シーズン無敗を続けていたレバークーゼンが初黒星を喫した要因はどこにあったのか。戦術的には好対照な両雄がピッチ上で繰り広げた攻防を、らいかーると氏が分析する。

 スポルティング、リバプール、ローマ、マルセイユとビッククラブから曲者までを退けてファイナルにたどり着いたアタランタ。そのスタイルは現代では異端のようで、相手のビルドアップではマンマークがスタンダードになりつつある現代において時代とリンクする運命となった。位置的優位をいかにして得ようか?という時代にあって全員に守備の基準点を準備し、どこまでも追いかけていくスタイルはまさに脅威であった。選手が入れ替わる中でもセリエで一定の成績を残し続けているガスペリーニ・アタランタのスタイルは、サッカーの普遍性へのチャレンジとも言えるかもしれない。

 国内と欧州で無敗を継続するだけでなく、称賛されるべきは勝率とサッカーのスタイルだろう。ボール保持によって試合の主導権を握るというのは、言うは易く行うは難し。シャビ・アロンソに率いられたレバークーゼンは圧倒的なボール保持とデザインされたセットプレーによって国内で初優勝、残すは国内カップ戦とこのEL決勝となった。ボール保持者を中心とするレバークーゼンのサッカーは、その他のポジショナルプレーとは一線を画している。そんなレバークーゼンのスタイルに対して、アタランタのど根性マンマーク大作戦がどこまで通用するのかが注目の一戦となった。

普段着のレバークーゼンに襲いかかる、普段着のアタランタのプレッシング

 アミン・アドリ、ジェレミー・フリンポン、フロリアン・ビルツを前線に並べるスモールラインナップで試合に臨んだレバークーゼン。アドリ、フリンポンの機動力とウイング適正に期待をし、前線の3枚がレーンを横断し孤立したとしても、それぞれの選手でどうにかできることを期待した采配だろう。5分過ぎにGKからビルドアップする展開を迎えたレバークーゼンはマンマークの洗礼に遭うものの、エドモンド・タプソバがアデモラ・ルックマンを剥がした瞬間に中盤に下りてきたビルツが裏に走るプレーを見せ、この試合の策を徐々に披露していく。

 一方で、10分までにタプソバ、グラニト・ジャカとレバークーゼン側に普段では信じられないようなパスミスが連発する。信じられないようなパスミスは周りを疑心暗鬼にさせ、相手に流れを与えてしまうことはサッカーオカルトの1つであり、サッカー経験者なら納得できるのではないだろうか。

 [3-2]ビルドアップを基調とするレバークーゼンに対して、数合わせを行うアタランタ。ジローナやリバプールだったらGKを第4のCBとして使うことで、相手のプレッシングを牽制する策を取るだろうが、レバークーゼンは真っ向からアタランタのプレッシングと向き合う道を選んだ。同数なら前線に蹴っ飛ばす原則を行っても、前線はスモールラインナップとなっている。なので、蹴っ飛ばすなら裏まで大きくがアタランタ対策としては真っ当なのだが、そのためにはどこから誰が蹴っ飛ばすか?までデザインしておく必要がある。……

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UEFAヨーロッパリーグアタランタレバークーゼン

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らいかーると

昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』(小学館)。

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