どこまで続くのかと思われた無敗記録を45試合(38勝7分)まで伸ばし、ライバルたちを寄せ付けず悲願のブンデスリーガ初制覇を果たしたレバークーゼン。偉業を成し遂げられた大きな要因の1つに、チームを率いるシャビ・アロンソ監督の指導があることは間違いないだろう。スペイン人指揮官がチームに植えつけたサッカースタイルの正体、“アロンソ・コード”の真髄に迫る。
レバークーゼンの「負の歴史」を終結させたのは、世界中から称賛される新時代のポゼッションフットボールだった。
4月14日、シャビ・アロンソ監督率いるレバークーゼンはブレーメンに5-0で勝利し、クラブ史上初のブンデスリーガ優勝を達成した。11連覇していたバイエルンに勝ち点差16をつけての圧巻の戴冠だ。ブンデスリーガだけでなく、ELとDFBポカールでも無敗を続けている。
過去にレバークーゼンはブンデスリーガで5度準優勝していたものの、優勝は1度もなかった。2001-02シーズンにはブンデスリーガ・DFBポカール・CLの3大会で準優勝に終わったことから「Vizekusen」(Vizeはドイツ語で「準」の意味)と揶揄(やゆ)され続けてきた。永遠に準優勝どまりという意味である。
今回もドイツの多くの人が「どうせ最後に失速するだろう」と考えていたが、選手としてあらゆるタイトルを手にしてきたスペイン人指揮官は「迷信」とは無縁だった。
42歳の戦術家の信念がよくわかるエピソードがある。第18節のRBライプツィヒ戦で1点リードされてハーフタイムを迎えたときの時だ。アロンソは選手たちにこう伝えた。
「この試合に勝とうが負けようがどうでもいい。でも自分たちのサッカーをできないことは我慢できない。さあ今からレバークーゼンのサッカーをするぞ!」
レバークーゼンは後半に3点を叩き込んで敵地で逆転勝利した。どんな時も自分たちのサッカーを貫く勇気が、歴史を覆したのである。
では、アロンソ流「自分たちのサッカー」とはどんなサッカーなのだろう?
デ・セルビとの類似性
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Profile
木崎 伸也
1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。