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[5-3-2]への完全移行は挑戦者の証。シメオネ・アトレティコのハイプレスがはらむ矛盾

2024.04.01

昨季のCLファイナリストであるインテルをPK戦の末に下して、8強入りを果たしたアトレティコ・マドリー。しかしリーガでは本調子からほど遠く、29節を終えて5位とCL出場圏内にすら入れていない。ホームでの無敗記録も前節バルセロナに敗れて途絶えてしまったもがくアトレティコの現在地と未来図を、自身のnoteで毎試合レビューを行っているがーすけ氏とたどってみよう。

昨季から最大の変更点はカラスコ退団の左WB

 2シーズンぶりにCLベスト8に帰ってきたシメオネ・アトレティコ。ディエゴ・シメオネ監督就任後のアトレティコ・マドリーと言えば「堅守」と「4-4-2」であるが、ここ数年はその印象が大きく異なる。特に12年目を迎えた2023-24シーズン、ここまで全試合のシステムで採用されているのは[5-3-2]だ。

 昨シーズンからの最大の変更点は、単独突破で攻撃の中心を担っていたヤニック・カラスコの退団(→アル・シャバブ)。この左ウイングバック(WB)のポジションをそれぞれレンタル先でブレイクしたサムエウ・リーノ(←バレンシア)、ロドリゴ・リケルメ(←ジローナ)で補完している。逆サイドでは快速で知られる本職中盤のマルコス・ジョレンテが健在だ。

 一方、シメオネのサッカーで要となるCBには崩しにまで参加するマリオ・エルモソ、それを逆サイドから支える全方向へのカバーと自陣ゴール前での仕事ができるステファン・サビッチが3バックの両脇、ハーフDF(HV)に立つ。中央に陣取るのはビルドアップでリーダー役を担うアクセル・ビツェル。この昨季加入した35歳のベルギー代表DFに続き、夏にセサル・アスピリクエタ(34歳)、冬にはガブリエウ・パウリスタ(33歳)と経験値の高いベテランを積極補強しているCB陣は、日に日に平均年齢が上がっている。

 中盤はキャプテンのコケを底にロドリゴ・デ・パウル、サウル・ニゲスが両インサイドハーフ(IH)のレギュラーを務める。このガッツとファイトを全面に押し出すメンバーに20歳のカンテラーノ、パブロ・バリオスがアクセントを加えている陣容だ。

 最前線の2トップではチームの顔であるアントワーヌ・グリーズマンの控えにボールの循環を変化させる切り札のアンヘル・コレアが潜み、その相棒として好調のアルバロ・モラタとゴラッソメイカーのメンフィス・デパイがポジションを争っている。

グリーズマンを前提にしたシンプルな仕組みを確立

 この布陣による攻撃パターンに目を向けると、まずビルドアップでは3CBにアンカーのコケが参加して相手のファーストプレスを外していく。

 このビルドアップ部隊4人に対して相手は主に3枚を当ててくる傾向にある。その場合はアトレティコの強みであるエルモソからの配球が止められるが、代わりに3バック中央のビツェルとアンカーのコケのどちらかがプレッシャーから逃れてボールを前進させるのが基本だ。

 相手が4人(同数)ならロングボールやウイングバック(WB)を中心に敵陣への侵入を目指すが、2人であればフリーになるHVの運ぶドリブルによる前進で解決していく。アスピリクエタの得意技だ。

……

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アトレティコ・マドリーディエゴ・シメオネリーガエスパニョーラ

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がーすけ

シメオネのサッカーを深く知るべくアトレティコ・マドリーのマッチレビューを書く一般人。カッコいい音楽と走るのが速いお馬さんと可愛いシベリアンハスキーと可愛い柴犬が大好き。最近はシーズーに興味がある。本当は川崎フロンターレのファン。

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