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南野拓実、完全復活の舞台裏。モナコで常に意識してきた「それだけで展開が変わる」ターンとポジショニング

2024.01.15

114日のアジアカップ初戦で窮地を救う2ゴール1アシスト。日本の白星発進に貢献し、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されたのが、16日に29歳の誕生日を迎える南野拓実だ(代表通算53試合20得点)。開幕から充実のシーズンを過ごすモナコ2年目の前半戦を現地フランスで取材を続けてきた小川由紀子さんが本人の談話とともに振り返る。

Photo: Yukiko Ogawa

「そのターンだけで展開が変わるシチュエーションというのはけっこう多い」

 フランス・リーグ1のASモナコでプレーする南野拓実は、23-24シーズンの前半戦を16試合出場、5得点4アシストという好成績で終えた。

 全17試合中、欠場したのは第7節のマルセイユ戦のみで(内転筋痛)、その他の試合はすべてメンバー入りし、13試合に先発出場。ここまでのプレータイムは、入団初年度の昨シーズンにフランスカップやELなど全公式戦を合わせてピッチに立った時間をすでに超えている。そして、チームでただ一人、得点、アシストの両方でリーグのトップ10入りを果たしていることも、CL出場圏内の3位(10勝3分4敗・33得点22失点)という、モナコの前半戦の好成績への貢献を象徴している。

 しかしこうした「数字」以上に南野が今シーズン積み上げているのは、「試合勘」や「自信」だろう。ピッチ上で躍動する南野の姿は、昨シーズンとは別物である。それは、進歩したというより、本来持っていた力を発揮する場を与えられ、存分にそれを享受しているといった感じだ。

 南野には「静」と「動」、2つの持ち味がある。攻撃展開に絡む「動」の動きと、ボールホルダーに対して良い形で受け手となったり相手DFを引きつけて仲間にスペースを作る、知的な「静」の動きだ。

 出番が限られていた昨シーズン、より目立っていたのは後者だった。仲間にとってはありがたい働きだが、アピールには欠ける。コンスタントに出場していなかったことで、キレもいま一つでリズムに乗れていない印象も受けた。加えて、メンバーに定着していなかった彼には、決定的なボールが回ってくることも少なかった。

 しかしプレシーズンから積極的にゴールに絡み、開幕4試合で3得点3アシストを記録した今シーズンの状況はまったく違う。昨年7月に着任したアディ・ヒュッターは、ザルツブルク時代(14-15シーズン)に共闘した南野のかつての指揮官であり、彼の特性を知る新監督は、南野が一番持ち味を発揮できるシャドー、あるいはFWの後ろの真ん中の位置で起用。コンビを組むロシア代表のアレクサンドル・ゴロビンとうまい具合に絡みながら南野がゴールに向かっていくプレーは、モナコのオフェンスの核の一部となっている。

 とりわけ効いているのは、彼の“シグネチャー”とも言える、相手DFが密集するゴール前に切り込んでいく超強気のプレーだ。時には敵に四方を囲まれる中でターンをするという荒技も見せるが、奪われれば即カウンターというリスクの高いプレーに挑むことについて南野は、……

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アジアカップアディ・ヒュッターフランスモナコリーグ1南野拓実日本代表

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小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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