プレミアリーグ第12節チェルシー戦、第13節リバプール戦、第14節トッテナム戦と3試合連続ドロー、第15節アストンビラ戦では1-0というスコア以上の完敗で4位後退と、ペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティが苦しんでいる。常勝軍団だったシティに今何が起こっているのか? ペップのチームを追い続ける山口遼氏(エリース東京FC監督)に分析してもらおう。
初めはほんの偶然、あるいはひと時の不調だと思っていたことが、想像以上に悪化し、長引いてしまうことがある。マンチェスター・シティが現在直面しているのは、まさにそのような状況と言えるだろう。
チェルシー、リバプール、トッテナムと、それぞれ難敵ではあるものの、勝利を寸前で取り逃がしたような印象もあるこれらの3試合までは「少し運が悪かった」、「守備の集中が少し緩んだ」、「得点は奪えている」など、ポジティブな見方もできなくはなかった。しかし、先日行われたアストンビラ戦ではシティがシュート2本、ビラがシュート22本というペップ就任以来ワーストとなる記録を叩き出された上での1-0の敗戦。この敗戦を受けてシティは4位に後退、さらにリーグ戦4戦連続未勝利もペップ就任以来ワーストの記録となり、一気に懐疑的な声が多く見られる状況となってしまった。
12月10日に行われたルートンタウンとの対戦ではなんとか勝利したものの、やはり内容は芳しくなく、チームを取り巻く雰囲気は非常に厳しい。ペップが率いるチームがこのような状況に陥ることはなかなか見られるものではないので、この記事ではシティが置かれているこの状況について簡単に分析してみよう。
前提として「クライシス」ではない
このような状況になると、周囲はあまりにも過敏に反応してしまうものだが、よくよくこの期間の対戦を振り返ってみれば、いささか騒ぎが過熱し一人歩きしてしまっている印象もある。
先ほども述べた通り、この数週間にシティが対戦したのはチェルシー、リバプール、トッテナムといずれもビッグ6であり、どの試合も勝利が確約できるようなものではない。内容面を見ても、いずれの試合も最終的なリードはシティが奪っており、勝利を期待した試合終盤のタイミングでいずれも同点ゴールを決められてしまっているため必要以上にイメージが悪くなってしまっている感は否めない。
つまり、これらの4試合の間に行われたCLのRBライプツィヒとの対戦を含めても、この期間で真の意味で「不味かった」敗戦というのはアストンビラとの試合だけだ。ただし、アストンビラ戦は内容・結果ともに完敗というにふさわしく、ポジティブな要素を見つけるのが困難な試合だったことも確かである。しかし、この試合はこれらの期間の中で唯一ロドリがメンバーに入っていなかった試合だった。……
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Profile
山口 遼
1995年11月23日、茨城県つくば市出身。東京大学工学部化学システム工学科中退。鹿島アントラーズつくばJY、鹿島アントラーズユースを経て、東京大学ア式蹴球部へ。2020年シーズンから同部監督および東京ユナイテッドFCコーチを兼任。2022年シーズンはY.S.C.C.セカンド監督、2023年シーズンからはエリース東京FC監督を務める。twitter: @ryo14afd