フランス・リーグ1の第11節ナント戦(11月5日)で、スタッド・ランスの伊東純也が、開幕戦のマルセイユ戦から10試合ぶりとなる今季2点目をマークした。これが決勝点となって、チームは0-1で勝利。敵地で価値ある勝ち点3を手に入れた。
「10試合決めてないのやばいなって思いながらやってたんで…」
「モウ(モハメド・ダラミー)がうまく抜け出して、まあ当てるだけだったんで、ふかさないようにしようと思って。久々に点が決められてよかったです。あんまり良くないゲームの方がなんか点取れたりする感じがするので(笑)、点取れてよかったっす」
試合後にそう語った伊東に、晴れ晴れとした笑みがこぼれた。
キックオフ直後にも、ゴール右寄りからシュートを放っている。これは相手GKに止められたが、「積極的に狙っていた」というこの日の伊東は、得点シーンの前にも相手ゴール前の密集地でターンしながらシュートに持ち込むなど、気合いがプレーに表れていた。
「個人の調子は悪くなってはいなくて。いや、なんかもうそろそろ点決めないと、10試合決めてないのやばいなって思いながらやってたんで、逆に変な気負いみたいなのがあって……」
“彼がいなければスタッド・ランスの攻撃は成り立たない”というほど、毎試合、チャンスに絡む絶対的な働きをしている伊東ではあるが、「前(攻撃)の選手なので、やっぱりゴールや数字にはこだわりたい」というのは、彼が常々口にしていることだ。
しかし、チャンスメイクをしてくれるオフェンス勢がいる中で点を取るのと、そのチャンスメイク自体も伊東自身が担っている、という状況では、得点を生み出す難しさは大きく違う。実際、日本代表では国際マッチウィークのたびに点を決めている彼のゴール感覚は研ぎ澄まされている。
「代表ではずっと点を決めてるんですけど(笑)、チームでなかなか決められなかったんで。ちょっと役割とかも違ったり、難しい部分はありますが、それでももうちょい数字を残さなきゃいけないなと思っていた」
「やっと決められたんで、こっからちょっと楽になって臨めるかなっていうのはあります(笑)」
「なんだかんだ左足の方がいつもゴールしてるなって(笑)」
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。