10月16日、UEFA EURO 2024予選のベルギーvsスウェーデンが、ブリュッセル市内の銃殺事件により、前半終了後に試合中止になった。
わずか5km付近で事件が発生
事件は、ブリュッセル北駅近くのスクワート・サンクレット広場で発生した。応援に駆けつけていたスウェーデン人サポーター2人が、イスラム過激派を名乗るチュニジア国籍の男の銃撃を受けて死亡した。
銃撃事件が発生した現場から、試合が行われていたボードワン国王競技場までは、わずか5km。試合が行われていた時間帯は犯人が逃走している状況であったことから、前半終了後に試合中止が決定。事件を知ったスウェーデンの選手は試合再開を望まず、ベルギー側も同意し、主催のUEFAに要請して試合は中止された。
安全面を考慮し、試合中止後も両チームのサポーターは会場から出ることができず、スタジアムから出たのは日付をまたいでからだった。スウェーデン代表は警察の付き添いでブリュッセル空港へ直行、サポーターも厳重警備の中、ブリュッセル市内まで脱出した。
翌10月17日、ベルギー警察は、犯人のチュニジア人男性を射殺した。欧州ではイスラエルとイスラム組織ハマスの紛争により警戒は高まっているが、スウェーデンでのイスラム教教典コーランの焼却が動機とされており、この試合が狙われる形となった。
ベルギーリーグ全試合で黙祷
悲惨な銃撃事件により、ベルギーサッカー協会は10月19日、亡くなられたスウェーデン人サポーターに向けて、全試合で1分間の黙祷を実施することを発表した。
ベルギーリーグのロリン・パリスCEOは「2人のスウェーデン人サポーターがエキサイティングな試合を体験する前に亡くなられたのは、私たちも悲しみに暮れている。私たちのスポーツは、たとえ激動の時代であっても、世界の人々を団結させるべきである。ベルギーとスウェーデンのサッカー場では、犠牲者への連帯を表すために、試合前に1分間の黙祷を捧げる」と発表している。
この発表を受けて、ベルギーの1部、2部の全16試合では、試合前に黙祷が捧げられた。
Photo: Getty Images
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シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。