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モウリーニョ体制、勝負の3年目。ECL制覇にディバラ獲得…過去2季からローマの23-24を展望する

2023.08.24

ついに火ぶたが切って落とされた2023-24シーズンのセリエA。CL出場圏外の6位、ELでは準優勝に終わった昨季の雪辱を晴らすべく、ローマが迎えた勝負のジョゼ・モウリーニョ体制3年目を、『ASローマ速報』管理人の如月たくみ氏が過去2季を振り返りながら展望する。

 2000年代に入り、ローマはCLにコンスタントに出場、セリエAでは9度の準優勝という好成績を収めた。2017年にバンディエラ、フランチェスコ・トッティが引退、2019年にもう一人の求心力、ダニエレ・デ・ロッシが退団、さらには同時期に新スタジアム構想がとん挫すると、当時のオーナーは新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るう2020年の夏にクラブの売却を決めた。

 新オーナーに就任したのは、アメリカでトヨタ自動車の販売代理店を経営する資産家、ダン・フリードキン。その彼が2021年5月4日、我われロマニスタに最初にプレゼントしてくれたのがジョゼ・モウリーニョ監督だ。この時点でローマはすでに3シーズン連続でCL出場を逃しており、“スペシャル・ワン”に課せられた急務は、ローマを元の場所であるセリエA4位以内に戻し、CL出場権を獲得することだった。タイムリミットは契約満了の2024年6月末までの3年間。すなわち今季はポルトガル人指揮官にとってラストシーズンとなる。今回はその過去2シーズンの振り返りと、8月20日からスタートした新シーズンの展望を述べたい。

2021-22:「ここにタイトルは来る」を早くも有言実行

 2021年5月4日。前触れもなく突然モウリーニョ監督就任が発表された。この情報を知っていたのは、ローマでも一部の役員だけで、キャプテンを務めるロレンツォ・ペッレグリーニをはじめとした選手たちもニュースでその事実を知ったのだという。

 7月8日、就任発表から2カ月後、モウリーニョ監督就任記者会見が行われた。新監督はミケランジェロが設計したカンピドーリョ広場の近くの美術館を歩き、登壇する館内のレストランに到着すると、そこからはいくつかの史跡とテベレ川が展望できる。その左岸にあるのがテスタッチョで、ASローマの歴史が始まった地区だ。新オーナーは、このクラブの源流とも呼べる場所で、モウリーニョ監督と紡ぐ新時代の始まりを世界に向けて発信したのである。

 この歴史的な記者会見で、「ここ(ローマ)にタイトルは来る」とモウリーニョ節は冴えた。「3年後のローマを想像してください」という質問には「祝っている。それがどのようなものかはわからないが祝っている」とタイトル獲得に自信を見せた。だが、この3年後を予見した発言は、ECL制覇という形でこのシーズン、早々に実現した。

 2022年5月26日、ローマはフェイエノールトを1-0で破り、ECL初代王者に輝いた。だがしかし、このシーズンが最高の結果だったとは一概には言い難い。このタイトルのために、チームは大きな犠牲を強いられたからだ。冬にECLグループステージ第3節でノルウェーのボデ・グリムトに敵地で大敗(6-1)を喫すると、モウリーニョ監督はその試合でプレーした5選手をチームからから外し、そのうち4選手が冬のメルカートでイタリアの首都を去っている。ユベントス、インテル、ミラン、ナポリのような厚い選手層を持たず、売らなければ買うことができないローマの台所事情を考えれば、この懲罰的な措置はさすがにやり過ぎだった。

 翌年2023年2月にコッパ・イタリア準々決勝でインテルに敗れたモウリーニョ監督は、ECLを唯一獲得可能な目標であると明言した。リーグ戦でローテーションを組み、ヨーロッパタイトルに焦点を定める。これは「セリエA4位以内でシーズンを終える」というクラブのプロジェクトとは背反したはずだ。しかしECL優勝後、涙を流して喜び、シーズンオフには腕にトロフィーのタトゥーまで入れてしまったモウリーニョ監督にとって、指揮するチームでタイトルを手にすることは義務であり、強迫観念であり、使命でもあったのだろう。

史上初めてCL、EL、ECLの欧州カップ戦3大会を制覇したモウリーニョ監督。自身のタイトル獲得数を26に伸ばした

2022-23:ディバラ到来も…戦術変更でストライカーが不振に

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ジョゼ・モウリーニョパウロ・ディバラローマ

Profile

如月 たくみ

2004年から続くASローマ情報サイト『ASローマ速報』管理人で、2022年にローマ来日に合わせて設立された公認ファンクラブ「ROMA CLUB TOKYO」の会長を務める。現在はJリーグ入りを目指すサッカークラブ南葛SCで広報、運営として働いている。自著にトッティのラストシーズンを綴ったkindle電子書籍『ローマ速報オフライン』がある。【WEB】ASローマ速報〜ROMANISMO | 2004年からローマの魅力を伝えるロマニスタサイト(asromasokuhou.com) 【Twitter】如月【ASローマ速報⚡ROMANISMO official】(@roma_sokuhou)

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