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三竿健斗、元シントトロイデン監督が率いるOHルーベンへ

2023.07.27

 7月19日、三竿健斗がベルギー1部のOHルーベン(以下OHL)に完全移籍した。鹿島アントラーズで公式戦通算181試合に出場した日本有数のセントラルハーフは、ポルトガルのサンタ・クララを経て、初めてベルギーリーグでプレーすることになった。これまで多くのベルギーのクラブが日本人選手を獲得しているが、三竿はOHL初の日本人プレーヤーとなる。今回は、そんなOHLについて紹介する。

レスターのベルギー支部

 OHLが創設されたのは2002年。ベルギー中北部フラームス・ブラバンド州の州都で、国内屈指の大学都市であるルーベンを本拠とするアマチュアクラブのスタッド・ルーベン、デュベルズ・オード・ヘベルレー、ダーリング・クラブ・ルーベンの3クラブが合併して「オード・ヘベルレー・ルーベン」として創設された。チームカラーは前身3クラブの赤、緑、黒の3色の組み合わせ。ホームスタジアムは1万人収容の「デン・ドレーフ」を使用している。

 2011-12シーズンに1部リーグ初昇格を果たすと、昇降格を繰り返すエレベータークラブとして、1部下位〜2部上位を定位置としていた。有望な若手選手が多いアンデルレヒトやヘンクなどの若手の受け入れ先となることが多く、2015-16シーズンには当時21歳のレアンドロ・トロサールがプレーしている。

 2015−16シーズンの2部降格後、深刻な財政難に陥り、3部降格の危機に陥っていたOHL。この危機的な状況に、レスターのオーナーを務めていた『キング・パワー』のビチャイ・スリバッダプラダがクラブの買収を決めた。『キング・パワー』は不安定だった財政状況を改善させ、かつてレスターの監督を努めたナイジェル・ピアソンを招へい。さらに当時のタイ代表GKだったカーウィン・タンマサッチャーナンを獲得し、タイ人選手の育成も手掛けた。

元シントトロイデンのブライスが率いる

 2019-20シーズンにはベルギー2部の前期リーグで優勝したOHL。当時の2部では、前期と後期の優勝チームが対戦し、勝利したチームが昇格を果たすことになっていたが、新型コロナウイルスの流行によってリーグは中断。昇格決定戦が行われることはなく、特別措置によりOHLは5シーズンぶりの1部リーグ復帰を果たした。

 1部復帰を果たした2020-21シーズンからは、マルク・ブライス監督がチームを率い、これまで3シーズン、危なげなく1部残留を果たしてきている。現在リーグ最年長となる61歳のブライスは、98年から指導者の道を歩み、ベルギー、オランダ、サウジアラビアで監督業を務めた。

 ちなみに、ブライスは2018年、『DMM』に買収され、日本資本となったばかりのシントトロイデンの監督として、現在日本代表の主力として定着するDF冨安健洋MF鎌田大地MF遠藤航を指導した。フランクフルトで燻っていた鎌田をエース格として活躍させ、欧州初挑戦だった冨安と遠藤のキャリアの礎を作った。現在も多くの日本人がプレーするきっかけを作ったのは、このブライスの存在が大きいと言える。

 ブライス体制4年目を迎える今夏、チームの顔だったWBのルイス・パトリスがアンデルレヒトに移籍したのをはじめ、ヨルダン代表FWムサ・タマリ、ポルトガル人FWマリオ・ゴンザレスなど主力の流出が相次いでいる。オイペンの攻撃の中心だったコートジボワール人FWコナン・エンドリ、元オーストリア代表MFラファエル・ホルツハウザーの復帰などは決まっているが、現状では大きな補強の動きはない。移籍マーケット最終日までは全容が見えてこないだろう。

 セントラルハーフでプレーしてきたMFカスパー・デ・ノーレを今夏ミルウォールに放出しており、三竿はデ・ノーレの後釜として期待される。多くの日本人選手を手掛けてきた名伯楽ブライスの下、エネルギッシュな活躍を期待したい。


Photo: Getty Images

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シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

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