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並びは同じでも、アジア最終予選とは違う[4-3-3]の機能性を紐解く。日本対エルサルバドル戦分析

2023.06.17

6-0の大勝となった日本代表対エルサルバドル代表の親善試合。早々に退場者が出たことで試合としては一方的な展開と“なってしまった”が、3月の試合とは違った配置や人選からはどういった狙いが読み取れ、チームの機能性にはどういった特徴が見られたのか。森保JAPAN戦術レポート 大国撃破へのシナリオとベスト8の壁に挑んだ記録』の著者らいかーると氏が分析する。

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 2023年3月に行われたウルグアイ戦コロンビア戦について思い出してみましょう。W杯後初めて行われた国内での試合は、国立競技場をほぼ満員にする盛況ぶりを見せつけました。スタッフに目を向けると、名波浩、前田遼一と新たなコーチを迎え、W杯からどのような変化が日本代表に訪れるのか注目していました。

 両試合ともにベースは[4-2-3-1]。ウルグアイ戦ではSBをインサイドハーフの位置に移動させる可変を敢行し、コロンビア戦では固定的な役割となる本来の森保式となりました。時間の経過とともに固定的な役割が流動的な役割に変化していくことは日常的な光景となっています。選手起用に関してはベンチの選手を全員起用すること、実験色を強めていたことが新たな景色を感じさせたことも見逃せません。

[4-3-3]の復活

 エルサルバドル代表戦の最も大きなトピックが[4-3-3]の復活です。カタールW杯アジア最終予選では、[4-3-3]の採用とともに日本の快進撃が始まりました。安定的なボール保持が永遠の課題になっていた森保式でしたが、守田英正と田中碧の起用によって永遠の課題克服に成功します。ただ、ボールを保持して試合を展開していくことはアジアおける最適解かもしれませんが、本番でも[4-3-3]スタイルで臨むべきなのでしょうか。W杯本大会に向けた親善試合ではボール保持と引き換えに失った前線の迫力不足、狙われるアンカー問題と、解決すべき課題が次から次へと出てきました。その結果、[4-3-3]との決別、[4-2-3-1]への回帰と本番での[3-4-3]採用へと繋がっていきます。

 今回のエルサルバドル戦のスタメンで興味深い点は、堂安律と久保建英の五輪コンビと、三笘薫と旗手怜央の川崎フロンターレコンビの再結成でした。対戦相手との力量、呼ぶことのできた選手の適正ポジション、新しいオプションの入手といった様々な理由で[4-3-3]が再採用されたのでしょう。アジア最終予選での[4-3-3]と、エルサルバドル戦での[4-3-3]を比較しながら試合を振り返っていきたいと思います。

“トライアングルグル”

 エルサルバドルが早々に10人になってしまったことで、日本がビルドアップに苦労する場面はほとんどありませんでした。守田、田中コンビが得意としていたSBの位置に列を下げるプレーを行う必要はなく、インサイドハーフで起用された堂安と旗手がビルドアップの出口となるためにポジションを下げる場面は非常にまれでした。

 3月シリーズで見せたようなSBのインサイドハーフ化はほとんど行われませんでした。そもそもインサイドハーフが最初から配置されているので、行うとすれば守田の横への移動となります。もともと予定されていたのか、相手が10人になったからかは不明ですが、この試合のSBはインサイドハーフとウイングの位置を見て、自分の立ち位置を決める形で動いていました。……

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エルサルバドル代表日本代表

Profile

らいかーると

昭和生まれ平成育ちの浦和出身。サッカー戦術分析ブログ『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』の主宰で、そのユニークな語り口から指導者にもかかわらず『footballista』や『フットボール批評』など様々な媒体で記事を寄稿するようになった人気ブロガー。書くことは非常に勉強になるので、「他の監督やコーチも参加してくれないかな」と心のどこかで願っている。好きなバンドは、マンチェスター出身のNew Order。 著書に『アナリシス・アイ サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます』(小学館)。

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