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日本に戻ってきた桜の“背番号8”。香川真司の帰還がセレッソ大阪にもたらす有形無形の影響

2023.05.24

「香川真司がセレッソ大阪に帰ってくる」。その事実は桜のサポーターのみならず、日本中のサッカーファンの心を躍らせた。実に12年半ぶりとなる古巣復帰を果たしたレジェンドは、リーグ戦初先発となったJ1第4節のサガン鳥栖戦でゴールを奪い、セレッソ大阪にシーズン初勝利をもたらすと、そこからチームの調子も上向き始め、第14節終了時点で6位と上々の成績を残している。では、小菊昭雄監督に率いられて初のリーグ制覇を目指すグループの中で、香川はどのような役割を担っているのか。チームを長年取材している小田尚史が、2度目のセレッソを謳歌する“背番号8”の今に迫る。

12年半ぶりにセレッソへ戻ってきたレジェンドの今

 2月5日、「YANMAR TOKYO」にて行われた加入会見から3ヶ月半が経過した。12年半ぶりに古巣・セレッソ大阪へ復帰した香川真司は、すっかり桜の戦士としてチームに溶け込み、Jリーグの舞台で奮闘を続けている。

 宮崎キャンプに帯同していなかったこと、さらには昨年11月に行った足の手術の影響もあり、開幕から3試合は途中出場が続いたが、第4節・サガン鳥栖戦で満を持して復帰後リーグ初先発を果たすと、自身の復帰後初ゴールを含む2-1で今季のリーグ戦初勝利に貢献。以降はリーグ戦11試合連続でスタメンを張り、第6節から第10節までは5試合連続で先発フル出場も果たすなど、コンディションはすっかり整った。

 日本代表97試合31得点。2度のW杯出場。ボルシア・ドルトムントやマンチェスター・ユナイテッドなど、欧州のビッグクラブでもプレーしてタイトル獲得に貢献。そうした経歴は華々しく、紛れもなく日本サッカー界が生んだトッププレーヤーである香川だが、Jリーグ復帰に伴い、彼の視線は現在、そして未来だけに向けられている。

 3月17日に34歳の誕生日を迎えたあとも、「年齢は関係ない。自分自身が成長し続けたい、という意欲がある限り、いいパフォーマンスを見せられる」とキッパリ語り、「結果を出すためには、日々、地道なハードワークを続けていくしかない」と求道者のような顔つきで真っ直ぐに前だけを見つめた。C大阪に復帰後、彼がチームにもたらしたものは何か。シーズンも前半戦の折り返しに近づく今、改めて検証したい。

チームメイトも舌を巻く技術の高さ

 トップ下など攻撃的なポジションの印象が強い香川だが、復帰後は一貫して中盤でプレー。[4-3-3]におけるインサイドハーフ、[4-4-2]におけるボランチ、攻守に貢献が求められるポジションで、毎試合のように奥埜博亮に次ぐ走行距離を記録しながら、主にゲームを作る役目を担っている。

 小菊昭雄監督自身、香川に求める役割について、「全員でハードワークしながら守備から攻撃に移る昨年の堅守速攻スタイルに加え、彼はボールを落ち着かせることができる。ゲームをしっかりコントロールすることを求めたい」と話すなど、昨年のチームが築いたスタイルにプラスαをもたらす存在として期待していることを明かす。

 実際、その技術の高さは健在で、チームメイトの誰もが認めるところ。ともに中盤でプレーする原川力は、「両足で狙ったところに正確に蹴れる。特に(利き足ではない)左でもしっかりコントロールできる技術は見習いたい」と話し、鈴木徳真も「タッチの質が高い。一回で自分の蹴れるところに置くトラップのクオリティーは凄い」と、ボールを自在に操るコントロールに舌を巻く。

J1第5節、川崎F戦でボールを持って前を向く香川(Photo: Takahiro Fujii)

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セレッソ大阪香川真司

Profile

小田 尚史

2009シーズンより、サッカー専門紙『EL GOLAZO』にてセレッソ大阪と徳島ヴォルティスを担当。2014シーズンより、セレッソ大阪専属となる。現在は、セレッソ大阪のオフィシャルライターとしてMDPなどでも執筆中。

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