セルクル・ブルッヘに所属する日本代表FW上田綺世が、5月6日に行われたベルギーリーグプレーオフ2のウェステルロー戦で2ゴールを決め、シーズン20得点を記録した。
日本人初の20ゴールを達成
セルクル・ブルッヘは、シーズン序盤から苦戦を強いられた。序盤に上位陣との対戦が続いたこともあり、上田は開幕5試合でノーゴールと期待に応えられなかった。第9節終了後に前任のドミニク・タールハマー(現オーステンデ)を解任し、ミロシュ・ムスリッチが就任してからチームの調子は向上したものの、上田自身はW杯の中断前まで7得点にとどまっていた。
2023年に入り、本来のCFからセカンドトップにポジションが変更になると、ゴールを量産し始める。12試合11得点とハイペースで得点を積み重ね、チームは上田のゴールラッシュもあってアンデルレヒトやシャルルロワを退け、プレーオフ2に進出した。残留争いの常連だったセルクル・ブルッヘにとっては快挙だ。
上田の20得点は、17得点を決めた鈴木優磨(シントトロイデン)を超える日本人最高記録であり、セルクル・ブルッヘでは1992-93シーズンに元ベルギー代表のヨジップ・ウェバーが決めた31得点以来、30年ぶりの記録となる。
得点王争いはカイペルスと一騎打ちに
20得点を挙げた上田は、日本人初の得点王の期待がかかっている。現在は21得点を挙げているヘントのベルギー人FWフーゴ・カイペルスがトップで、上田は1ゴール差の2位につけている。
ランキング3位のジャンニ・ブルーノ(シントトロイデン)は18得点を挙げているが、チームがレギュラーシーズンを11位で終了したため、プレーオフに進出できずシーズンが終了している。プレーオフ進出チームで有力なFWは、アントワープ所属のオランダ代表FWフィンチェント・ヤンセンが16得点を挙げているが、2カ月以上ゴールから遠ざかっているため、実質、カイペルスが唯一のライバルとなる。
カイペルスは今季、ベルギー中堅のメヘレンからヘントに移籍。シーズン当初は得点ランキング上位には入っていなかったが、今冬にナイジェリア人のギフト・オルバンが加入してからリーグ屈指の2トップとして量産体制に入った。また、UEFAヨーロッパリーグでも9得点を挙げてチームの8強入りに貢献している。
上田とカイペルスは、シーズン後半に入ってからゴールを量産したという点で共通点がある。また、ヘントとセルクル・ブルッヘは、今季はUEFAカンファレンスリーグの出場権をかけたプレーオフ2に進出している。両チームは5月13日と5月20日に直接対決を予定している。両チームとも得点王を争う2人にPKを蹴らせており、チームを挙げて彼らを得点王にしようと力を注いでいる。両チームの直接対決は、両者の得点王争いに直結した対決とも言える。日本人初の快挙に期待したい。
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シェフケンゴ
ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。