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ボルシアMGの今季は「変革の年」。ゾマー退団を乗り越えた今、板倉滉が指摘する改善点とは?

2023.04.21

14-15シーズンには3位、19-20シーズンには4位とブンデスリーガで好成績を残してきたボルシアMGだが、近年は低迷中。今季も28節終了時点で10位に沈んでいる古豪の戦いぶりを振り返りながら、日本代表DF板倉滉が語ったヤン・ゾマー退団の打撃とチームの課題を中野吉之伴氏が伝える。

 20-21シーズンは8位、昨季は10位でブンデスリーガを終えたボルシアMG。CLどころか、EL出場も叶わない現実をファンは悲しんだ。だが、その結果以上に毎シーズンのように指揮官が代わり、方向性がブレてしまっていることの方が問題だった。

 だからこそ、ダニエル・ファルケ新監督はクラブのアイデンティティを取り戻すことを目標に掲げた。CLやELに出場することを熱望しているし、それを成し得るだけのチームクオリティは備わっている。でも、それよりもまずは自分たちらしさをどのように取り戻すかが重要なテーマだった。

ファルケが示すチームとプレーの指針

 ボルシアMGにとってクラブらしさとはなにか?

 選手、ファン、指導者、スタッフ、首脳陣それぞれがファミリーの一員として、このクラブに属することに居心地の良さを感じられるかが大事だった。そこでファルケは非公開練習を減らす決断をする。

 「グラッドバッハはファンと密接な関係の中で生きているクラブだ。それがクラブに強力な力をもたらしてくれる。だから練習でも可能な限りファンの存在を近くに感じていたいんだ」(ファルケ)

 シーズン開幕前にスイス代表GKヤン・ゾマー(現バイエルン)は「僕らはみんな彼の話し方や伝え方を気に入っているし、チームの選手みんなを大事にしようとしている。クラブにとても合っていると思う」と話していたことからも、チーム一丸となって戦う集団になろうとしていることがよくうかがえる。

 プレーの指針としては《組織だった守備で精力的にボールを奪い、ボールポゼッションから多くのチャンスを作り出すこと》を志向。クラブの経営状況からすると、選手補強を敢行して大幅なチーム改革をすることはできない。ただ、チームには確かな資質を備えた選手をそろえている。だから、彼らが実力を発揮できるサッカーを求めるべきだった。スキルレベルとゲームインテリジェンスの高さを生かしたサッカーの基盤を作り出すことを今季の目標としていた。

 今季は《将来に向けての変革の年》という位置づけなので、高過ぎる目標設定も控えていた。《確かなコンセプトのもとでシーズンを通して成長し、さらに若手を積極的に登用することで、来期以降に向けてポジティブな貯金ができるように》というのが意図するところだったと首脳陣は話している。

 実際に順位は28節終了時で勝ち点36の10位。満足のいく戦績とは言えない。昨季の同時期も10位だった。ただ今季は43得点45失点で得失点差は-2。昨季が39得点52失点で得失点差が-13だったことを考えると、かなり安定感は出てきているとはいえる。

 ドイツカップでは2部ダルムシュタットにジャイアントキリングを許したり、20節では下位に沈むヘルタ・ベルリンに4-1で完敗したりという試合があったのはいただけないが、7節でライプツィヒを3-0、15節ではドルトムントを4-2、さらには21節でバイエルンを3-2で下したりとブンデスリーガにおけるトップクラブ相手に素晴らしいパフォーマンスを披露していることもまた事実である。

 さらに25節ブレーメン戦から28節フランクフルト戦までは4戦負けなし。この4試合で勝ったのは1勝だが、失点は3と守備における安定感が出てきたのはシーズン終盤に向けて好材料と言える。

ドルトムントのリザーブチームを率いて以来となるドイツ復帰を果たしたダニエル・ファルケ

《ゾマーの影》と戦う新守護神が本領発揮へ

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ボルシアMG板倉滉

Profile

中野 吉之伴

1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。

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