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「2023ロアッソ熊本フェスティバル」開催に込められた理念と描く今後のビジョン

2023.04.16

4月4日から3日間に渡って、熊本県で「2023 ロアッソ熊本フェスティバル」が開催された。ロアッソ熊本が主催したこの初の試みの特色は、Bチームや新1年生を中心にしたチーム編成での参加が呼び掛けられていたこと。2種(高校年代)と3種(中学年代)を合わせて県内外から24のチームが集まり、貴重な実戦経験を積んだ。では、このフェスティバルはそもそもどんな理念の元に企画され、どういう経緯で開催に至り、今後はいかなるビジョンを描いているのか。大会を現地取材した井芹貴志がその詳細をリポートする。

16チームが集まった「2023 ロアッソ熊本フェスティバル」初開催

 新年度が始まる前の春休み期間は、2種年代のチームを対象とした交流大会、いわゆる「フェスティバル」が各地で行われる時期。ただ、そうしたフェスティバルやタイトルのかかる歴史ある招待大会の多くは、育成年代の最高峰にあたる高円宮杯 JFA U-18プレミアリーグをはじめ、各地域のプリンスリーグなど、重要度の高い公式戦の開幕直前というタイミングもあり、各チームの主力クラスやトップチームの選手たちによる前哨戦、という側面が強い。

 そうした中、4月4日から6日までの3日間、熊本県で行われた「2023ロアッソ熊本フェスティバル」は、従来の春のフェスティバルとは少し性格の異なるものになった。というのも、各チームのBチーム、あるいはこの春から加入する新1年生を中心にした編成での参加が呼び掛けられたからだ。

 もちろん、すでに主要なリーグ戦がスタートしていたこともあって、「結果としてそうなった」という実情はある。そのため、中にはおそらく、初めて同じチームのメンバーとしてピッチに立つ、というシチュエーションもあり、ゲームの質としては決してハイレベルなものではなかったろう。しかし入学直後、加入直後からトップチームでプレーできる機会の少ない多くの新1年生たちにとっては、25分ハーフのゲームを3日間で数多くこなし、これから挑むカテゴリーのスピードや強度を肌感覚で味わう貴重な機会にもなった。

 参加したのは、2種年代がロアッソ熊本、アビスパ福岡、V・ファーレン長崎、北海道コンサドーレ札幌と、大津、国見、日章学園、神村学園の高体連4校の8チーム。3種年代では、ロアッソ熊本ジュニアユース、同阿蘇、同人吉、ソレッソ熊本、ブレイズ熊本の県内クラブの他、アビスパ福岡、ギラヴァンツ北九州、サガン鳥栖、同唐津、大分トリニータ、V・ファーレン長崎、鹿児島ユナイテッドFC、レノファ山口FC、同ウエストなど、タウンクラブも含む九州内外の16チーム。初めての開催にしてはなかなかの規模である。

 大会名にその名前があるように、主催はロアッソ熊本。どういった経緯で企画が進められて実現に至り、今後どういう位置付けのフェスティバルとして発展させていくビジョンなのかを聞くため、大会最終日に主会場となった大津町運動公園に足を運んだ。

きっかけは指定管理者に選定された『大津つなぐプロジェクト』

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ロアッソ熊本育成

Profile

井芹 貴志

1971年、熊本県生まれ。大学卒業後、地元タウン誌の編集に携わったのち、2005年よりフリーとなり、同年発足したロアッソ熊本(当時はロッソ熊本)の取材を開始。以降、継続的にチームを取材し、専門誌・紙およびwebメディアに寄稿。2017年、母校でもある熊本県立大津高校サッカー部の歴史や総監督を務める平岡和徳氏の指導哲学をまとめた『凡事徹底〜九州の小さな町の公立高校からJリーガーが生まれ続ける理由』(内外出版社)を出版。

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