ディディエ・ドログバ。攻撃、守備、献身性に“+α”を兼ね備えた現代型CF
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かつてはゴールを取ることこそが仕事だったが、現代ではそれだけでは務まらないどころか与えられるタスクによっては得点以外の役割の方が重要になることさえあるCFというポジション。そんな現代型CFの系譜に名を連ねる1人がディディエ・ドログバだ。高い得点能力と精力的な守備、チームへの献身性に加え、勝負強さも兼ね備えたアタッカーの足跡をたどる。
「いいから買え。何も言うな」
FCポルトでビッグイヤーを勝ち獲ったジョゼ・モウリーニョが意気揚々とチェルシーの監督に就任したシーズンに、ディディ・ドログバもやって来た。移籍金はクラブレコード(当時)の2400万ポンド(約38億4000万円)だった。
「ストライカーは誰が欲しい?」
オーナーのロマン・アブロモビッチに問われたモウリーニョ監督が「ドログバ」と答えると、「それは誰だ? どこでプレーしているんだ?」とアブラモビッチ。マルセイユでプレーしていたドログバは、まだそこまで知られた選手ではなかったのだ。
「いいから買いなさい、買え。何も言うな」
モウリーニョは億万長者のオーナーにそう言ったそうだ。
モウリーニョはFCポルトを率いて優勝した2003-04シーズンのCLのGSでマルセイユと対戦している。その時の印象があまりにも強烈だったのだ。ドログバがマルセイユでプレーしたのはその1シーズンだけ。運命的な出会いだったのかもしれない。
コートジボワールのアビジャン生まれ。裕福な家だったそうで、両親は勉学のために5歳の息子をフランスの叔父に預けた。勉強もできたそうだがフットボールにも夢中。叔父は元コートジボワール代表選手、その影響はあったかもしれない。ただ、クラブチームでプレーを始めるのは15歳からとやや遅かった。ルマンとプロ契約したのも21歳。負傷が多かったせいではあるが、当時2部だったルマンでの3シーズン半でも目立つ活躍はしていなかった。
2002-03シーズンにリーグ1のギャンガンへ移籍。このシーズンの活躍でマルセイユへとステップアップ。そしてまた1シーズンでチェルシーへと一気に駆け上がっている。
ギャンガン時代のドログバは、とにかくガムシャラな印象だった。相手のCBとのフィジカルコンタクトの凄まじさは恐いぐらいで、フィールドに紛れ込んだ手負いの猛獣のように見えたものだ。本人の話では「子供が生まれたのがターニングポイント」だったそうだ。
マルセイユでは屈強なエジプト人FWミドと2トップを組み、年間最優秀選手に選出される大活躍を見せる。ハイクロスにGKと競り合い、GKの腕より頭を上に出してのヘディングシュートを見た時は唖然としたものだ。驚異の跳躍力、走力、キックのパワーなど身体能力がずば抜けていた。しかし、おそらくモウリーニョを魅了した能力はこれだけではない。技術の高さ、チームのために戦う献身性も抜群だった。
内戦を止める英雄
スペシャル・ワンと名乗ったモウリーニョ監督に率いられたチェルシーは、いきなりプレミアリーグ優勝を果たす。実に50年ぶりのトップリーグ優勝。マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルの2強時代を終わらせる戴冠となった。
ドログバは[4-3-2-1]システムの1トップとして起用されている。屈強なCBを圧倒するほど頑強なドログバは、ターゲットマンとして新境地を拓いていた。続く2005-06シーズンもリーグ連覇。この2005年にはコートジボワール代表のエースとして2006年W杯出場権をもたらしているが、出場を決めた試合の直後のドログバの行動がコートジボワールの内戦を終わらせたと言われている。
2002年から続く内戦によって、コートジボワールでは南北対立が続いていた。ドログバはロッカールームにテレビカメラを招くと、テレビクルーのマイクを手に取って歴史的な演説を始める。
「北部の人も、南部も、西部も東部も、どの地域の選手もW杯出場という目標に向かって共存し、一緒にプレーできることを証明しました。この喜びは人々を繋ぐものだと信じています」
そして、「武器を置き、選挙をしましょう。すべては良い方向へ進むはずです」と訴えた。ドログバがひざまずき、全選手がそれに倣った。国民的な歓喜とともに送った停戦へのメッセージは奏功し、コートジボワールの内戦は終結へ向かっていった。
その後、ドログバは母国に病院を建て、国連のグッドウィル・アンバサダーや国際組織ピース&スポーツでも重要な役割を果たしている。フットボールの枠を超えた英雄と言っていいだろう。悲願のW杯出場を決めたタイミングで、全国民にメッセージを出したのもドログバらしい。10回の決勝戦で10ゴールを決め、10個のトロフィーを勝ち取った無類の勝負強さを持つストライカーなのだ。
ファイナルの男
大きい試合になると、ドログバも大きくなる。チェルシーのチームメイトだったフランク・ランパードは、決勝戦前のロッカールームでのドログバは特別だったと話している。「眼光の鋭さは獣のようだった」と。
重要な試合で重要なゴールを決め続けた。2006-07シーズンはゴールデンブーツを獲得し、アフリカ最優秀選手賞も受賞。年間33ゴールと得点力は倍増していた。
走れば速い、コンタクトには無類に強い。左右どちらの足でもパワフルなシュートを放ち、ヘディングもボレーも素晴らしい。細かなテクニックもあり、得点だけでなくアシストも多かった。強烈なフィジカルが目立つが、決してそれだけの選手ではない。FKの名手でもあり、独特の球筋はナックルボールと呼ばれた。ドログバのFKはインサイドキックである。ショートパスを出すようなコンパクトな動作なのだが、ほぼ無回転のスピードボールがポストへ一直線に向かっていく。あの蹴り方であれほど強いキックができる選手は見たことがない。正確さとパワーの合体という意味で、ドログバを象徴するFKだった。
2007-08シーズン、固い絆で結ばれていたモウリーニョがチェルシーを去る。「チームに家族のような雰囲気がなくなった」と嘆くドログバはレアル・マドリー、バルセロナ、ミランなどへの移籍も口にしたが、チェルシーに残留。2007-08にはCL決勝進出など活躍もしたが、そのCL決勝で退場処分となりマンチェスター・ユナイテッドにPK戦で敗れた。チェルシーは5人目に蹴ったキャプテンのジョン・テリーが失敗したのだが、ドログバがいれば5人目で蹴る予定だったという。
膝の手術など負傷に見舞われた時期もあったが、2009-10シーズンにはカルロ・アンチェロッティ監督の下で完全復活を果たして3度目のリーグ優勝に貢献。そしてチェルシーでの最後のシーズンとなった2011-12に、念願のCL優勝を成し遂げる。ファイナルの男らしく88分に同点ゴールをゲット、PK戦の最後のキッカーとしてシュートを決め、バイエルンを破った。このPKがチェルシーでの最後のプレーだった。
圧倒的な身体能力と高い技術、クレバーさと何より戦う姿勢はロンドンのファンから絶大な支持を受けた。コートジボワール人でフランス育ちだが、とにかく勝負強い闘うストライカーはイングランドの人々の理想像に合致してもいた。
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<商品情報>
商品名 :プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド
ジャンル:スポーツ育成シミュレーションゲーム
配信機種:iOS / Android
価 格 :基本無料(一部アイテム課金あり)
メーカー:セガ
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Edition: Yuichiro Kubo
Photos: Getty Images
Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。