批判を浴びた昨季と打って変わり、評価を高めているのがマンチェスター・シティのジャック・グリーリッシュだ。フィル・フォデンに代わって左ウイングの1番手を任されている加入2年目の10番に今季何が起きたのか、サウスウェールズ大学に通う学生アナリストの白水優樹氏が解説する。
2021年夏、アストンビラから当時イングランド史上最高額でマンチェスター・シティへと加入したジャック・グリーリッシュに「目に見える結果」がついてきた。昨季はプレミアリーグ26試合3ゴール3アシストにとどまり、セルヒオ・アグエロの“10番”を引き継ぐだけでなく1億ポンドという移籍金によっても高まった期待に応えることはできなかった。
しかし、今季は残りリーグ戦13試合を残して3ゴール4アシストと、すでに昨季のスタッツを上回っている。とはいえ、二桁得点や二桁アシストに届くかと言われると厳しいだろう。キャリアハイも前所属アストンビラでの最後のシーズンに記録した6ゴール10アシスト。そもそもグリーリッシュの長所はそうした数字になかなか表れないからだ。
HE’S HERE!
We are delighted to announce the signing of @JackGrealish on a six-year deal.
Welcome to City, Jack! ?
? #ManCity | https://t.co/axa0klD5re pic.twitter.com/5Y3gMREmKL
— Manchester City (@ManCity) August 5, 2021
スピードで勝負しない1対1の攻略法
グリーリッシュ最大の特徴は、ゴールやアシストといった得点に関わる段階というよりも、ボールを前進させていく段階にある。今季のシティでは基本的に左ウイングとして幅を取り相手のディフェンスラインを高い位置で止めておく役割を担うが、特に相手がボールサイドで同数の状況を作り出した時、グリーリッシュの持ち味が発揮される。
背中に相手を置いている状況であっても、目の前にあるスペースを活用するために降りてきてボールを引き出し、そこからプレスを外すように横方向にドリブルを開始する。DFから遠い逆足である右足で中央へ運びだすことによって、相手を引きつけて逆サイドにスペースを生み出すことができ、全体を押し上げられる。このように自分のマーク以外を引きつけて味方にスペースを与えられるグリーリッシュは、まさに指揮官ペップ・グアルディオラの思想を体現できる選手の一人。また、このように中央に持ち出すことができない場合であっても、ボールを隠しながらキープできるのでファウルをもらい相手のプレスの流れを断ち切ることができる。……