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ウェズレイ・スナイデル。トップ下に“ハマり過ぎていた”天才の記憶

2023.02.16

この記事は『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』の提供でお届けします。

ポジションの概念が変わり、多くのポジションでオールラウンドな能力が求められるようになった現代サッカーでは、1つフォーメーションやポジションに特化した名手は希少種となりつつある。そんな1人であり、トップ下として強烈なインパクトを残したのがウェズレイ・スナイデルだった。典型的な10番として名を馳せたオランダの至宝に思いを馳せる。

生まれながらの10

 典型的なナンバー10のプレーヤーであり、トップ下でプレーするために生まれてきたような選手である。

 ボールに寄る、コントロールする、ターンする、パスを出す、出して動く――ウェズレイ・スナイデルはこれらサッカーで常に行われる一連の動作を淀みなく、素早く、正確に行うことができた。170cmという身長も、そのために適していた。

 数々のスーパースターがプレーしてきたトップ下、あるいは攻撃的MFのポジションにおいて、170㎝前後のサイズの選手を挙げればキリがない。ディエゴ・マラドーナは165㎝、ペレは173㎝、ジーコもほぼ同じで172㎝、リオネル・メッシはスナイデルと同じ170㎝である。ヨハン・クライフは178㎝なので、このポジションとしてはやや大きめ。ジネディーヌ・ジダンやファン・ロマン・リケルメのような大柄なトップ下もいるが、狭いスペースの中で俊敏にプレーするという点で、170㎝前後がちょうどいいのだ。

 ジダン、リケルメはプレッシングに屈しない強さがあり、それがプレッシング全盛時代に特別な存在として相手に脅威を与えた。ただその反面プレーの流れを止めがちであり、ゲームを彼らのテンポで支配するという意味では偉大だったが、周囲との連係を損なわず、流れを止めないプレーという点では小柄な10番たちの方に優位性がある。

 小柄なスナイデルは効果的なピボットができた。相手を背負った形で味方からのパスを受け、ファーストタッチで逆を取ってハーフターンし、タックルが来る前にボールをさばく。特に複雑なことをするでもなく、単純に止めてターンして蹴るという一連のプレーが速いので捕まらない。足腰の強さも際立っていた。

 スナイデルへボールを預ければ、必ず有効な展開に持っていける。周囲のランニングも、流れを切らずに生かしてくれる。チームメイトは安心してパスを集約させることができ、だからこそどのチームでも10番として重宝された。

 10番らしくFKの名手で、両足でパワフルなミドルシュートも打てるし、セカンドトップとしての得点力もあった。

インテル時代のゴール集動画

 アヤックスで頭角を現すと、2006-07シーズンにレアル・マドリーへ移籍。ラ・リーガではわずか2シーズンしかプレーしていないが、最初の2006-07シーズンにリーグ優勝をもたらしている。2008-09は負傷に悩まされ、このシーズン限りでラモン・カルデロン会長が退任、フロレンティーノ・ペレスが新会長となったことで編成の大改造が断行されてインテルへ放出されたが、新天地では3冠獲得の原動力となった。

 2010年W杯ではオランダ代表の司令塔として活躍、チームを準優勝に導くとともに5得点でダビド・ビジャと並んで大会最多得点者となっている。この3シーズンがスナイデルの全盛期と言っていいだろう。2010年に関してはCL優勝とW杯準優勝の実績、その間のプレーぶりからしてバロンドール受賞に相応しかったが、受賞はできなかった。

2010年W杯のウルグアイ戦でシュートを放つスナイデル。タイトルにはあと一歩手が届かなかったものの、出色のパフォーマンスで大会を彩った

オール・オア・ナッシング

 ピークだったレアル・マドリー、インテルでのプレー後、負傷のためにパフォーマンスを落とし、ガラタサライ、ニース、アルガラファでのキャリアはほとんど余生といった趣になってしまった。しかし、全盛期のプレーぶりは間違いなく世界トップクラスの10番だった。

 ただ、あまりにも10番に適していたことが、逆にプレーの幅を狭めてしまったかもしれない。スナイデルはサイドでもアンカーでもプレーできるしFWもできるが、トップ下に“ハマり過ぎて”いた。この時代に2トップ+トップ下という構成はほぼなくなっていて、[4-2-3-1]のトップ下が定位置だったわけだが、そこに典型的な10番タイプを起用するケースはむしろ少なくなっていた。

 守備での貢献やストライカー的な突破力や得点力が求められている中で、味方からのパスが集まり、それをさばいてゴールへの道筋を切り開いていくスナイデルのタイプは、むしろ特殊な部類になっていたかもしれない。そこまで技術が高く、創造的なプレーができる選手は希少だった。つまり、スナイデルに攻撃のすべてが懸かってくるので、そこが機能しなければ攻撃が巧くいかなくなってしまう。対戦相手は当然のことながら厳しくマークしてくる。全盛期のスナイデルにはそれを上回る力量があったのだが、負傷を抱えてパフォーマンスが落ちてくると、トップ下に全権を委ねることのリスクが顕在化してしまう。さらにスナイデルの代役もいない。編成からいっても扱いにくい存在になってしまうのだ。

 かつてのスーパースターは、それほどピークが長くなかった。マラドーナでも全盛期は主にナポリでプレーしていた5年間ほどに過ぎないし、クライフも同じぐらい。メッシやルカ・モドリッチのように10年以上もトップフォームを維持できる選手はかつてほとんどいなかった。ペレやジーコなど、40歳近くまでプレーしたスーパースターはいても、全盛期のパフォーマンスを維持できていたわけではない。

 スナイデルはその点で古い選手だったと思う。負傷も含めて肉体的な衰えを誤魔化せるタイプではなかったのだろう。ベストの時期は、レアル・マドリーでもインテルでもタイトルを獲りまくり、ワールドカップでもあと一歩までいった。止める、蹴る、動く、止まるといったサッカーの基本動作のレベルがことごとく高く、戦術眼も素晴らしい。一方、完成され過ぎていて、しかもそれが極めてナチュラルな才能をベースにしているため、最高の状態であれば無敵だったが、それ以下の状態で誤魔化す、踏みとどまるのが難しかったのではないか。ある意味、オール・オア・ナッシングな天才型プレーヤー。

 トップ下以外でもプレーできるとはいえ、その時は完全な存在ではない。アンカーとしては守備力やサイズに問題があり、サイドに特化できるほどのスプリント回数をこなせるわけではない。すべてがピッタリはまるのはトップ下以外になく、スナイデルにすべてを懸ける覚悟のあるチームが必要だった。すべてのプレーを簡単そうに行い、またそんなスナイデルがいればチームにとってもすべては簡単だった。ただし、それはスナイデルが完全な状態でなければならない。そのため全盛期は長くなかったけれども、その間の輝きは素晴らしく、ブラジルで「サッカーのすべて」と言われる10番の、そのすべてを持っていた選手だった。

3冠を遂げたインテル時代、カップを掲げるスナイデル。ファビオ・カペッロ、ジョゼ・モウリーニョという守備に重きを置く指揮官が率いるチームで、攻撃に違いを生む存在であった

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小兵であるがゆえのモビリティの高さに卓越したスキルとビジョンを持ち合わせ、花形ポジションのトップ下に君臨したウェズレイ・スナイデルが、大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム「プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド」(サカつくRTW)に登場!

そのスナイデルに加え、同じくレアル・マドリーで活躍したフェルナンド・モリエンテスとミチェル・サルガドのレジェンド勢、さらにはトニ・クロース、ティボ・クルトゥワ、マルコ・アセンシオ、フェデリコ・バルベルデ、ダニ・セバージョス、ナチョといった現役のプレーヤーたちがラインナップされた「SAKATSUKU Anniversary LEGEND SCOUT」がスタートしている。

加えて、期間中に5日間ログインするだけで1日1選手、スナイデルをはじめSAKATSUKU Anniversary LEGEND SCOUTに登場する名手たちが計5選手獲得できるスペシャルログインボーナスのほか、記念ログインボーナスやパネルミッションなど特典が満載の「SAKATSUKU Anniversary記念キャンペーン」も開催中!

すでにゲームをプレイ中の方はもちろん、「サカつく」未経験の方もこの機会にぜひゲームにトライして、語り継がれるレジェンドたちの魅力を感じてほしい。

<商品情報>

商品名 :プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド
ジャンル:スポーツ育成シミュレーションゲーム
配信機種:iOS / Android
価 格 :基本無料(一部アイテム課金あり)
メーカー:セガ

さらに詳しい情報を知りたい方は公式HPへアクセス!
http://sakatsuku-rtw.sega.com/

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Edition: Yuichiro Kubo
Photos: Getty Images

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ウェズレイ・スナイデルサカつくRTW

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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