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オナイウ阿道の今。2月のリーグ1初ゴール後、パリSG戦後に口にした「エゴ」【フランス現地取材】

2023.02.19

昨季フランス・リーグ2(2部)で10ゴールを記録したストライカーが、今季は2月に初ゴール。リーグ1昇格を果たしたトゥールーズ(第23節時点で9勝5分9敗の11位)における2年目の現状を、オナイウ阿道はどう捉えているのか。年明け以降のリーグ戦7試合で4試合に先発し、5勝1分1敗と調子を上げるチームで出場機会を増やしている27歳を、現地で小川由紀子さんが取材した。

「スーパーサブ」としての信頼

 2021年夏、横浜F・マリノスからフランスのトゥールーズに移籍したストライカーのオナイウ阿道は、入団1年目に見事リーグ2優勝を果たし、今シーズンはリーグ1で日々研鑽している。

 昨シーズン、オナイウはリーグ全38試合に出場、うち27試合で先発した。前線でコンビを組んだのはイングランド人FWリース・ヒーリー。リーグ戦20得点でチームのトップスコアラーとなったヒーリーが生粋のCF型だったため、彼が欠場した試合以外は、オナイウは「自分の本来のポジションではない」というサイドでプレーしたが、それでも10得点2アシスト。フランスカップも合わせて、加入初年度にして12得点4アシストと見事な結果を残し、トップリーグ昇格に大きく貢献した。

 今季もヒーリーはフィリップ・モンタニエ監督にとって重要な戦力であったが、リーグ1に参戦するにあたり、クラブは夏のメルカートでオランダから22歳の成長株、タイス・ダリンハを獲得した。昨季所属したエールステ・ディビジ(オランダ2部)のエクセルシオールで、リーグ最多の32得点をマークして1部昇格の原動力となった気鋭の若手ストライカーだ。

 ダリンハは昨季の勢いそのままに先発起用された開幕戦からさっそくネットを揺らすと、以降もスタメンの座を勝ち取っている。

 よって開幕当初は、後半ダリンハに代えて投入されるのはヒーリー、そしてオナイウはサイドの選手と交代という采配だったが、第3節のロリアン戦でヒーリーが左膝前十字靭帯を断裂して長期欠場を強いられると、モンタニエ監督は「アドはサイドもこなすが、彼に最も適したポジションはCF。いくつかの選択肢がある中でアドが最優先だ」と会見の席で明言。オナイウがヒーリーに代わってダリンハと前線中央のポジションを務めることになった。

 第23節を終えた現時点でオナイウの先発出場は4試合だが、1月中旬にリーグが発表したスタッツによると、今季それまでに途中出場した全クラブの選手の中で、最もプレー時間が長いのがオナイウだった(13試合で305分)。途中出場でもすぐに試合に入ることができ、「チームにフィジカル面の強さと躍動感をもたらしてくれる」とモンタニエ監督も評価する彼を、地元メディアは敬意を込めて「スーパーサブ」と呼んでいる。

元日の初先発、そして待望の初得点へ

 とはいえ、ベンチスタートがオナイウの定位置というわけでは決してない。

 2023年元日の第17節アジャクシオ戦(○2-0)から3試合は、彼がCFとして先発起用された。その前のRCランス、モナコ、レンヌ、マルセイユとの強豪4連戦でトゥールーズは4連敗を食らい、風向きを変えたかったことに加え、モンタニエ監督は「最近アドがとてもいい。ハイプレスをかけるインテンシティを求める試合では彼が持つエネルギーが必要だ。それにダリンハはマルセイユ戦(昨年12月29日)でのプレータイムが長かったこともあり、アドの方がフレッシュな状態だった。彼はトレーニングでも非常によく頑張っているし、先発できる準備は整っている」と理由を語っていた。

 オナイウが先発したそこからの3試合、彼自身のゴールこそなかったが、トゥールーズは2勝1分と無敗でしのぎ、連敗の悪い流れを断ち切った。

 そして、オナイウにとって待望のリーグ1初ゴールはその後、2月1日の第21節トロワ戦(○4-1)で実現した。3-1でリードしていた終盤の71分、ダリンハに代わってピッチに上がると、試合終了直前に右からのCKにヘディングで飛びついた。

 オナイウはボールがネットに入った瞬間、ピッチにうつ伏せになったまま両拳でグラウンドを何度も叩いて初ゴールの喜びを爆発させたが、チームメイトたちの喜びようは、それに輪をかけて凄まじかった。

 「選手のみんなも僕の気持ちをわかってくれてますし……」とオナイウは仲間の祝福に感謝していたが、いかに彼がチームで愛されているかをあらためて実感する。

「自分の良さをわかってもらうために」

……

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オナイウ阿道トゥールーズパリ・サンジェルマンフランスリーグ1

Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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