プレミアリーグ第21節時点(1試合未消化)で3位と躍進を遂げている古豪ニューカッスル。前半戦を終えた今も勢いが止まらない理由を3つ、Twitterでは「Newcastle United Japan」、YouTubeでは「NUFC JAPAN TV」で愛するニューカッスルにまつわる情報を発信しているWassy氏に挙げてもらった。
開幕からアーセナルが快進撃を続けるプレミアリーグにおいて、注目を集めているクラブがもう1つある。10月以降トップ4を維持し、11季ぶりの欧州カップ戦出場権獲得も視野に入るニューカッスル・ユナイテッドだ。
ニューカッスルが2021年10月にサウジアラビア政府系のコンソーシアムに買収され、莫大な資金的バックグラウンドを持つクラブとなったことは、今やフットボールファンなら誰もが知るところだろう。昨夏にはクラブ史上最高額となる約6000万ポンドの大金を投じ「イブラヒモビッチ2世」とも称されたスウェーデン期待のFWアレクサンデル・イサクの争奪戦を制するなど、移籍ウィンドウでもすでにビッグクラブの脅威となっている。
もとはと言えばアラン・シアラー、アンディ・コールといった名プレーヤーも在籍し、黎明期のプレミアリーグを盛り上げた存在だったニューカッスルは、サポーターの熱狂ぶりでも広く知られている。試合を通じて声援を送り、時には相手選手へ大迫力のブーイングを浴びせるその様は、“Toon Army”(街の軍隊)と呼ばれ、5万人以上収容のホームスタジアムは毎週満員御礼だ。伝統とファンベースを兼ね備える“北の古豪”は、フットボール界随一の資金力を手にした今、世界有数のメガクラブに成長する可能性を大いに秘めている。
とはいえ、“第2のマンチェスター・シティ”誕生かと話題をさらった買収劇からわずか1年、ここまでの成長を見せると予想した者がどれだけいただろうか。クリスマスを3位で迎えたのは2001年以来、実に21年ぶりのことだという。チェルシーやリバプールといった優勝候補が躓く中、CL出場権獲得も絵空事とは言えなくなってきた。その躍進における3つの理由を探ってみよう。
理由①的確補強で“勝つため”の布陣が完成
シーズンを通して上位争いに絡んでいるニューカッスルだが、ここまでの総得点数は33であり、トップハーフの他クラブと比べて秀でているわけではない。それでも好成績をキープできる背景には、リーグ最小失点を誇る強固なディフェンスがある。
エディ・ハウ監督のチームはここまでのリーグ戦20試合でわずか11失点しか許しておらず、クリーンシートもリーグ最多の12回を記録。ディフェンディングチャンピオンと3-3の殴り合いを演じた第3節マンチェスター・シティ戦を除けば、ホーム9試合で2失点とセント・ジェームズ・パークは難攻不落の“城”と化している。
その要因は昨季20試合を終えた時点で43失点と崩壊していた泣きどころを、買収後最初のウィンドウとなった昨年1月にすぐさまテコ入れに取り掛かった新経営陣の手腕だろう。アトレティコ・マドリーでラ・リーガ優勝経験もあるキーラン・トリッピアーを獲得したほか、高身長で空中戦に強いダン・バーン、攻守に存在感を見せるマット・ターゲットと、プレミアリーグでの実績が十分なイングランド人選手と立て続けに契約。さらに夏には、昨季降格したバーンリーで孤軍奮闘のGKニック・ポープ、フランスで注目を集めていた将来性抜群のスベン・ボットマンを加えてメンバーを一新した。
実はこれまで後方を支えていたのは、チャンピオンシップから昇格した2017年前後からプレーする古参ばかり。高齢化も進んでいたため、以前から補強の必要性はファンの間でも常々言及されていた。当時からプレーしていた選手で現在もコンスタントに出場しているのはCBのファビアン・シェアのみで、ジャマル・ラッセルズ、マット・リッチーら2部時代を支えた功労者はスタメン争いに絡めていない。
現在は右サイドにトリッピアー、左サイドにバーンが起用されており、中でシェアとボットマンがコンビを組む4バックが基本陣形となっている。中央の2人はどちらも長短のパス精度に優れており、攻撃の起点となるシーンも多い。またトリッピアーは同サイドのミゲル・アルミロン、中央のブルーノ・ギマランイスとトライアングルを形成し、彼らの連携から多くの得点が生まれている。5バックを敷き、とにかくエリア内でボールを跳ね返すことに特化していた“残留するため”のディフェンスラインは、2度の移籍市場を経て“勝つため”の布陣へと生まれ変わった。
理由②受け身のフットボールからの脱却
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Profile
Wassy
1994年生まれ、埼玉県出身。ハテム・ベン・アルファのドリブルに衝撃を受けニューカッスルサポーターに。現在はNewcastle United Japanの中の人として、Twitterを中心に情報発信している。YouTubeチャンネル「NUFC JAPAN TV」には深堀り解説動画も投稿中。