15日に行われた注目のノースロンドンダービーでは首位のアーセナルが敵地で快勝したが、その試合でサッカー以外のスポーツに注目が集まったという。
今季プレミアリーグで首位を快走するアーセナルは、トッテナムとの注目の大一番でも見事な強さを見せつけた。敵地でも序盤からペースを握ると、14分にFWブカヨ・サカが右サイドを仕掛けて敵GKのオウンゴールを誘発。さらに前半のうちにMFマルティン・ウーデゴーがミドルシュートを叩き込んで追加点を奪った。後半は少し押し込まれながらも無失点で乗り切り、今季リーグ戦15勝目。これでアーセナルは、前日に敗れていた2位マンチェスター・シティとの差を8ポイントまで広げており、19シーズンぶりのリーグ制覇に向けて邁進している。
そんな好調アーセナルの選手たちが、宿敵との一戦で見せたゴールパフォーマンスが話題になっている。トッテナムのGKウーゴ・ロリスがサカのクロスを弾いたオウンゴールで均衡が破れると、サカとウーデゴーが背中を合わせてジャンプして、バスケットボールのシュートを放つパフォーマンスを見せたのだ。
サッカー選手の中にはバスケットボール、とりわけアメリカの男子プロバスケットボールリーグ、NBAを愛して止まない者がいる。例えば、パリ・サンジェルマンに所属するフランス代表FWキリアン・ムバッペがそうだ。NBAのファンを公言しているムバッペは先日、チームメイトのモロッコ代表DFアシュラフ・ハキミとともにニューヨークでブルックリン・ネッツの試合を観戦。彼の場合は試合観戦だけ飽き足らず、昨年6月にはNBAのドラフト会場にも足を運んでいた。
「プロのバスケ選手になると思った」と恩師
NBAファンはプレミアリーグにもおり、中でも有名なのが今回の試合で綺麗なシュートフォームを披露したアーセナルのサカだ。イングランド代表の主軸としてカタールW杯でも活躍したサカは、学生時代にはサッカーだけでなくバスケットでもその才能を発揮していたという。学生時代の体育の教師が「サカは素晴らしいアスリートだった。彼はプロのバスケット選手になるかと思った」と、身長178㎝のアタッカーについて証言したことがあるのだ。
そんなサカは昨年5月、アーセナルでシーズン最終節を戦った直後にアメリカに飛んでボストン・セルティックス対マイアミ・ヒートによるNBAプレイオフ東地区決勝シリーズを観戦。ナイジェリアにルーツを持つ者同士という縁もあったからか、当時セルティックスに所属していたアーロン・ネスミス(現在インディアナ・ペイサーズ所属)とユニフォームを交換していた。
今回のノースロンドンダービーでサカがバスケのシュートを披露した理由は明かされていないが、今月19日にはNBAの海外興行となる「NBAグローバルゲームズ」(シカゴ・ブルズ対デトロイト・ピストンズ)がパリで開催される。2019年1月にロンドンで開催された際には多くのアーセナルの選手が観戦に訪れており、今回も多数のサッカー選手が目撃されることが予想される。
ちなみに3年前、当時まだ駆け出しの若手選手だったサカは、NBAの試合が自身のU-18チームの試合と重なってしまっていた。だからこそ、今回はパリでの開催とはいえ待ち切れない気持ちがあふれ出たのかもしれない。綺麗なフォームのジャンプシュートでNBA愛を表現したのだろう。
Photos: Getty Images
Profile
田島 大
埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。