W杯で見てほしい! 推しクラブのイチオシ選手#1_ボルシアMG編
いよいよ開幕が目前に迫るカタールW杯。4年に一度の祭典をどのように満喫するかは人それぞれだが、普段特定のクラブを応援している人にとって、所属選手たちの活躍は楽しみの1つであろう。そこで、自らの推しクラブを持つ方々にW杯で注目してほしい“イチオシ選手”をピックアップしてもらい、その魅力を綴ってもらう。
第1弾では、戦術分析ブログ”鳥の眼“を運営するとんとん氏がボルシアMGのイチオシを紹介。先日メンバーに選出された日本代表DF板倉滉のほか、GKヤン・ゾマーとDFニコ・エルベディ(ともにスイス代表)、DFジョー・スカリー(アメリカ代表)らの出場が有力視されるドイツの雄から、ドイツ代表MFヨナス・ホフマンを取り上げる。
カタールW杯を戦う日本代表メンバーに板倉滉が名を連ねた。左膝靭帯の部分断裂によりW杯への道が閉ざされたかに思えたものの、順調な回復を見せているという。きっと日本のゴールにカギをかけてくれることだろう。
板倉の所属するボルシアMGには、彼の他にも複数名W杯に出場することとなりそうな選手たちがいる。中でも優勝争いに加わることが予想され、日本代表とも対戦するドイツ代表のアタッカー、ヨナス・ホフマンには要注目だ。カイ・ハべルツ、レロイ・サネ、セルジュ・ニャブリ、トーマス・ミュラー、ジャマル・ムシアラといった錚々たるメンバーの中、ホフマンは知名度が落ちるように感じる人もいるかもしれない。しかし、ハンジ・フリック政権下では負傷離脱時を除き全試合に出場している信頼の厚いプレーヤーだ。
第12節時点で11位に沈むホフマン所属のボルシアMGだが、5位との勝ち点差はわずかに4。今後上位に食い込んでくる可能性を秘めたチームを代表する「W杯戦士」はいったいどのようなプレーを見せるのか?
得点に絡めるユーティリティプレーヤー
今年で30歳となったホフマンの本職はサイドアタッカーだ。しかし、ボルシアMGにおいてはセントラルハーフ(CH)、ドイツ代表ではウイングバック(WB)やSBをも担うユーティリティプレーヤーとして重宝されている。フリック政権となって以降、13試合(うち先発7試合)で4ゴールを記録。持ち味はユーティリティ性に加えて、運動量の豊富さと裏への抜け出しの巧さだ。大外を駆け上がる、DFの背後へ抜け出すといったプレーはドイツ代表の他メンバーにはあまり見られない動きであり、攻撃のオプションの1つとなっている。細かなパスワークにも長けており、日本の脅威となり得る存在だ。主に右サイドを担うが、ドイツの2列目は流動的に動くため同僚である板倉とのマッチアップが実現する可能性もある。2021-22はブンデスリーガで12ゴールを決め得点ランキング9位。チームは低調に終わる中、得点力に磨きをかけ一人気を吐いた。
2022-23は10試合に出場し3ゴール2アシスト。1試合当たりのキーパス数、クロス本数でリーグ1位、スプリント数で9位と高いスタッツを記録している。目に見えてアシスト系のスタッツが優れていることからうかがえるように、ゴール手前の段階での貢献度も高い選手だ。
ドイツ代表での役割
ドイツ代表でのホフマンの役割について記す前に、ドイツ代表がどういったチームなのかを見ていきたい。……
Profile
とんとん
1993年生まれ、長野県在住。愛するクラブはボルシアMG。当時の監督ルシアン・ファブレのサッカーに魅了され戦術の奥深さの虜に。以降は海外の戦術文献を読み漁り知見を広げ、Twitter( @sabaku1132 )でアウトプット。最近開設した戦術分析ブログ~鳥の眼~では、ブンデスリーガや戦術的に強い特徴を持つチームを中心にマッチレビューや組織分析を行う、戦術分析ブロガー。