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南野拓実とモナコ、パリSG戦で見えた再構築への模索【現地取材】

2022.08.31

2年半在籍したリバプールを離れ、昨季リーグ1で3位のモナコと4年契約を結んだ南野拓実。8月28日時点でCL予選とリーグ1で出場4(先発3)試合、今夏のモナコでは移籍金最高額で獲得された新戦力として、27歳の日本人アタッカーに対する評価は? 週末のパリ・サンジェルマン(以下PSG)戦を現地パルク・デ・プランスで取材した小川由紀子さんに現状を伝えてもらった。

 8月28日に行われたリーグ1第4節のPSG対モナコは、1-1で引き分け、モナコがPSGの開幕からの連勝を食い止めた。序盤から気迫満点の守備で相手を苦しめたアウェイチームがカウンターから20分に先制。1点リードで前半を終えたが、後半70分、ネイマールが自らゲットしたPKを仕留めて同点に持ち込んだ。

 そしてこの夏モナコに加入した南野拓実は、64分から途中出場。左にウィサム・ベン・イェデル、右に同時投入されたブレール・エンボロが入り、南野は2人から少し下がり目の真ん中でプレーした。

相手に与えるインパクトの弱さ

 自分が出た後に追いつかれるというのは悔しかっただろうが、納得いくパフォーマンスとはほど遠かったと思う。南野のボールロストやパスミスから相手のチャンスに繋がった場面は手痛かったし、左のベン・イェデルから右のエンボロにボールが渡り、エンボロがゴール前に落とした格好のチャンス時に、思い切ってゴール前まで詰めていなかったのも残念だった。が、この試合の彼のパフォーマンスで一番に感じたのは、相手に与えるインパクトの弱さだ。

 プレスネル・キンペンベやマルキーニョス、マルコ・ベラッティらに何度も足下からボールを取られていたが、彼らからは“こいつなら奪える”と踏んでいるような感じが伝わってきた。 南野がゴール付近をあおろうとしても、相手が警戒して下がるようなこともない。

 PSGはリーグ1の20チームの中で最も“ガツガツいかない”チームだ。ガツガツいかなくてもボールを手にできるからだが、その他のチームは下位に行けば行くほど、力とスピードでボールホルダーに対してゴリゴリに迫ってくる。RCランスと対戦した前節のリーグ1デビュー戦でも、南野はそういう猛者たちに囲まれて苦戦していた。このPSG戦でのプレーを見たら、今後の対戦相手は“彼とならデュエルで勝てる”と思うのではないか。

 試合が終わって取材エリアに下りると、馴染みの記者がこちらの顔を見るなり「いや~悲惨だったね。まったく何もできていなかった」と言ってきた。その後「まあ、たまたまこの試合がそうだったのかもしれないけどね。ボール使いでいいテクニックも見せていたし」とフォローはしていたが、この日の南野の印象は誰に聞いてもだいたいそんな感じだろう。

 フィリップ・クレマン監督は会見で「前半の方がチームの出来としては良かった」と指摘した後、 後半は南野やエンボロら新加入の選手が出場していたことを示唆して「入団してからの時間も関係があるので、それは当然のこと。我われは全員でこの結果を手にしたのであり、これからの挑戦にも、ここにいる選手全員の力が必要になる」と話した。

PSG対モナコのハイライト動画

囲み取材で語ったこと

 一方、通常なら取材対応をしっかりこなす礼儀正しい南野は、「すいません」と軽く頭を下げながら取材エリアを通り過ぎた。 納得いかなかった(であろう)悪い試合の後に話したくない気持ちはよくわかる。そうでなくても、取材エリアで足を止めてくれる選手自体が希少なのだが、「この試合に関する質問2つだけ」という条件付きで、親切なモナコの広報担当者が彼を呼び戻してくれた。

 以下が、囲み取材でのやりとりだ。

Q:PSG戦は楽しみにしていた試合だったと思うが、実際ピッチに立ってみてどうだった?

 「前半は自分たちがすごく良い形でやりたいことをやれていて、後半も途中までは、守備はうまくいっていたんですけど、PKで引き分けに持っていかれたというのはすごく悔しいです」

Q:個人としては、PSGという相手にどれだけやれたと?……

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カタールW杯パリ・サンジェルマンモナコ南野拓実日本代表

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小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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