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選手権得点王・飯島陸の心が折られた出来事。大学を経て、強さを増しプロになるまで

2022.06.13

第96回全国高校サッカー選手権大会で初優勝を果たした前橋育英高校から、大学経由を含めて9人がプロ入りを果たした。高校サッカーファンからは“伝説のメンバー”とも言われる中、その大会で得点王を獲得したのが飯島陸だ。

その当時を見たものは誰もが“高卒でのプロ”を想像したはずだが、それは叶わず法政大学へ進学することになった。加えて、そこでは思うように出場機会を得ることもできず「プライドがずたずたにされた」と本人は振り返る。しかし、3年の後期からその類まれなる得点力を発揮し、ヴァンフォーレ甲府内定を勝ち取った。

1年目の今季も9試合に出場し2得点を記録。J1昇格を目指す甲府の中で、存在感を示しつつある。高校時代に最高の栄誉を手にした飯島だが、前述のように苦難の時期もあった。決して順風満帆ではなかった大学生活で何があり、どう成長したのか。

上田綺世との出会いや甲府内定までの裏話など、飯島に大学4年間を振り返ってもらった。

大学で受けた上田綺世の衝撃

――プロデビューを果たし2ゴール。こまでの出来をどう評価していますか?

 「自分の良さが出せない時が続きましたが、結果を残して自分の中でプロとしてのスタートできたという感触があります。ただ、周りの選手たちのレベルも高いので、 得点という結果を出すだけではなく、もっと自分の良さを出していかないといけないなと。僕の性格的に、遠慮してしまうところがあって。キャンプでもそうでした。

 今、甲府ではシャドーでプレーしているのですが、本当はセンターフォワードが一番自分の良さを出せるポジションだと思っています。 シャドーで自身の良さを出せていないのが、コンスタントに試合出られない原因かなと。得点を取るだけではなくて『こいつがいたら助かる』と思えるプレーをしないといけないので。結果は出せているかと思いますが、もっとやらないといけないなと」

――やっぱりFWで勝負したい?

 「長谷川(元希)や(鳥飼)芳樹君と合う感触があって。そこの連携を考えるとFWでやった方が自分の得点力という良さを出せるし、今より結果を出せる自信はあります。ただ、 自分の可能性を広げる意味でもシャドーで求められることにもチャレンジしていて、頑張っているところです」

――具体的に甲府のシャドーはどういうところが求められていて、足りない部分は。

 「大学時代に間で受けるプレーをあまり意識していなかった訳ではないのですが、裏抜けを強く求められていたので。落ちてプレーすることがあまりなくて。そういうところは長谷川とか芳樹君は上手いし、(宮崎)純真は個人で剥がせる力がある。自分もシャドーをやった時はもっとチャレンジして、FWの時と同じぐらい、相手のゴールに向かっていけるようにしたいなと」

――飯島選手は選手権で得点王になり、プロに行くかと思っていたら大学進学ということで、驚いたファンも多かったのかなと。

 「高卒でプロに行きたかったのですが、山田(耕介)監督から『プロからは声がかかっていない』と言われたんです。実際にはあったかもしれないですが、山田監督は自分を大学に行かせたほうが良かったと思ったのかなと。そこで、どの大学へ行くかという中で法政大学を推薦してもらって、練習参加を経て入学しました」

――大学サッカーの印象はどうでしたか? 1つ上には上田綺世選手もいて。

  「体の強さや寄せ、カバーリングの早さは感じましたね。あと、綺世君の存在はめちゃくちゃ大きかったです。『そこでヘッドするの?』『そこで胸トラップで収めちゃうんだ』と何度も驚きましたし、あの圧倒的な身体能力は自分にはないものでした。凄さを見せつけられて、 悔しさもありました。自分は1年生からバリバリ出るつもりだったので。『結局、身体能力がある人が出るのか』と考えた時期もありましたし、同期でもスピードやフィジカルがある選手が重宝されていて。(出場機会が限られる)1~2年生の時はメンタル的にもしんどかったです」

今年、法政大学からヴァンフォーレ甲府に加入した飯島陸

「選手権得点王なのに……」プライドが折られた1年次

――1年生の時に、関東リーグの補助学生として試合会場のサポートもしていました。そこでも悔しい思いはしたのかなと。……

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J2リーグヴァンフォーレ甲府飯島陸

Profile

竹中 玲央奈

“現場主義”を貫く1989年生まれのロンドン世代。大学在学時に風間八宏率いる筑波大学に魅せられ取材活動を開始。2012年から2016年までサッカー専門誌『エル・ゴラッソ 』で湘南と川崎Fを担当し、以後は大学サッカーを中心に中学、高校、女子と幅広い現場に足を運ぶ。㈱Link Sports スポーツデジタルマーケティング部部長。複数の自社メディアや外部スポーツコンテンツ・広告の制作にも携わる。愛するクラブはヴェルダー・ブレーメン。

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