21-22シーズンのブンデスリーガは、バイエルンの優勝で幕を閉じた。王者の連覇はついに2桁の10へと到達。もちろんそれ自体は偉業ではあるのだが、コンペティションとして魅力的かと言われれば疑問符を付けざるを得ないのもまた事実であろう。そこで持ち上がったのが、プレーオフ導入議論だ。どういったフォーマットが構想され、そしてどんなリアクションがあるのか。現地の様子を伝える。
※『フットボリスタ第90号』より掲載
近年「病的」「不公平」などと言われることが多いトップレベルのサッカーを、根本的に改革してほしいと願うユートピストたちがいる。国、投資家、不条理な報酬を得る代理人たちがサッカーに道徳的な意味で害を与えているという側面は確かにある。ただ多くの観客にとってそれより関心があるのは、スポーツ面へのダメージについてである。
各国リーグで、サプライズチームが王者になることはどんどん稀になっている。特にドイツではバイエルンが10連覇を飾り、彼らのファンさえもがもっと緊張感が欲しいと望んでいるくらいだ。そして、クラブ間で開き続ける経済的格差を縮めるような、抜本的な改革は難しい。
ゆえにドイツでは今、リーグ戦終了後のプレーオフ導入案が検討されている。「退屈が続くのは望ましくない。マーケティングにとってはなおさらで、最終的にはバイエルンの“定期預金”にとっても良くない」とミュンヘンの地元紙『アーベントツァイトゥンク』が指摘すれば、「プレーオフのような新しいモデルの導入を考えるのはエキサイティングだと思う」とバイエルンのオリバー・カーンCEOもこのアイディアに共感する。……
Profile
ダニエル テーベライト
1971年生まれ。大学でドイツ文学とスポーツ報道を学び、10年前からサッカージャーナリストに。『フランクフルター・ルントシャウ』、『ベルリナ・ツァイトゥンク』、『シュピーゲル』などで主に執筆。視点はピッチ内に限らず、サッカーの文化的・社会的・経済的な背景にも及ぶ。サッカー界の影を見ながらも、このスポーツへの情熱は変わらない。