5月29日、セリエAの昇格プレーオフ決勝2ndレグが行われ、セリエBのモンツァが延長戦の末にピサを下し、クラブ創立110年で初めてのセリエA昇格を決めた。
延長戦を制し昇格達成
5月26日、ホームの1stレグで2-1と先勝していたモンツァだが、アレーナ・ガリバルディで行われたアウェイの2ndレグでは立ち上がりからアグレッシブなプレスを掛けてきたピサに苦戦。セットプレーでのミスがらみで9分までに2点を失った。
しかし20分、カウンターで攻めた後にこぼれ球を拾ったホセ・マチンがミドルシュートをねじ込んで1点差に。その後、猛攻を耐えて迎えた79分、中盤で奪ったボールを素早く奪って前線に繋ぎ、クリスティアン・ギトケアのゴールで同点とした。
その後、試合終了寸前にミドルシュートから再びリードを許し、総合成績は1勝1敗に。アウェイゴールルールが廃止されたため、プレーオフ決勝では2006年のトリノvsマントバ戦以来となる延長戦に突入した。
モンツァはホームの声援を背に攻めてくるピサに対してカウンターで着実にチャンスを作ると、101分にルカ・マッローネがセットプレーからヘディングシュートを決めてリードに成功。その3分後には相手DFのパスミスを拾ったギトケアがシュートをねじ込み、延長戦でのリードを広げて勝負を決めた。
地元はお祭り騒ぎに
死闘を制したモンツァは、これで1912年のクラブ創立以来初となるセリエA昇格となった。市内のドゥオーモ広場などには大勢の地元ファンが繰り出し、発煙筒を焚いたり花火を上げたりとお祭り騒ぎに。昨季はプレーオフに進出したものの準決勝で敗退、今季は尻上がりに順位を上げ、第37節では2位に浮上するも、最終節でペルージャに敗れてプレーオフに回った。そして、プレーオフではブレシアに2勝して決勝に進出し、ピサを見事に破った。
経営権を握っているのは、ミランの元オーナーであるシルビオ・ベルルスコーニ氏。2018年9月にセリエCにいた同クラブのオーナーとなってから、4年でセリエA昇格を達成した。
アウェイにも観戦に訪れた同氏は試合終了後、衛星TV『スカイ・スポーツ』の取材に「選手におめでとうと言いたい。昨季も惜しいところまで行っていたし、やれると信じていた。投資家の多いモンツァ及びブリエンツァ州にとっても大きな喜びだ」と地元熱を引き合いにして喜び、欧州大会への進出を望むファンの声に「私は勝つことに慣れている。見てみようじゃないか」と語り、積極補強の可能性も示唆した。
ミラン時代に引き続きクラブ運営上の片腕となっているアドリアーノ・ガッリアーニADも「私はモンツァの出身だから、小さい頃からの夢が叶って特別な感動を覚えている」と喜びもひとしお。ジョバンニ・ストロッパ監督は「信じられないほど満足している。素晴らしい仕事をした。我われが戦ってきた相手はすべてセリエAに行く資格があると思っているが、その彼らに勝ったのも我われだ」と胸を張った。
Photo: Getty Images
Profile
神尾 光臣
1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。