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フルアムのミトロビッチ、チャンピオンシップ最多得点記録を大幅に更新

2022.05.05

 今季の欧州リーグも佳境を迎え、イングランド2部では来季のプレミアリーグに自動昇格する2チームが決定した。

 圧倒的な力を見せつけて4月19日に自動昇格となる2位以内を確定させていたフルアムが、5月2日のルートン戦に7-0で快勝し、1試合を残して2部優勝を決めた。一方で、2位につけていたボーンマスも、翌日のノッティンガム・フォレスト戦に勝利して2位以内を確定させ、最終節を待たずしてプレミアリーグへの自動昇格を決めた。

 昇格争いの残る1枠は、3位から6位の4チームによる昇格プレーオフで決定する。今のところ3位ノッティンガム・フォレスト、4位ハダースフィールドがプレーオフ進出を決めており、残り2枠は今週土曜日の最終節に決定する。

昨季の記録を大幅に更新!

 そんなクライマックスを迎えた2部リーグで、衝撃の記録が誕生した。1年でプレミアリーグ復帰を決めたフルアムのセルビア代表FWアレクサンダル・ミトロビッチ(27歳)が偉大なゴール記録を打ち立てたのである。

 ミトロビッチは7-0で大勝した前述のルートン戦でも2ゴールを決め、これで今季リーグ戦43試合に出場して43ゴール。2004年に発足された現在のチャンピオンシップ(2部リーグ)のシーズン最多ゴールを大幅に更新したのだ。これまでの記録が昨季のイバン・トニー(ブレントフォード)の31点だったため、12ゴールも更新したことになる。

 それどころか、1992-93シーズンにポーツマスのガイ・ウィッティンガムが打ち立てた42ゴールをも抜き去り、1988年に現在の46試合制となった2部リーグでの最多ゴール記録を更新したのだ。しかし、英紙『The Independent』によると、この記録はもっともっと偉大なものだという。

 イングランド・プロリーグ全4部において、最後に43ゴール以上を決めた選手が生まれたのは56年も前のこと。1965-66シーズンに当時4部のブラッドフォードに所属していたケビン・ヘクターが44ゴールを決めて以来、誰も43ゴールに到達できていなかったそうだ。

 さらに2部リーグに限れば、64年前の1957-58シーズンにトミー・ジョンソンが43ゴールを決めて以来の快挙なのだという。ちなみに、その前年の1956-57シーズンには当時2部のレスターに所属するアーサー・ロウリーが44ゴールを決めており、ミトロビッチが次に狙うのはそのゴール数となる。

 ちなみに、第二次世界大戦以降の2部リーグの最多ゴール記録は、1951-52シーズンにシェフィールド・ウェンズデーのデレク・ドーリーが達成した46ゴール。そして2部の歴代最多ゴール記録となると、1926-27シーズンにミドルズブラのジョージ・カムセルが達成した59ゴールとなっている。

 ちなみに、カムセルは37試合で59ゴールを叩き出した。また、2部に限らずイングランドの全プロリーグで見ると、1シーズンの最多ゴール記録は1927-28シーズンのエバートン(1部リーグ)のディクシー・ディーンが達成した39試合60ゴールとなっている。

プレミアでも結果を残せるか

 今季残り1試合となったミトロビッチが、カムセルの59点やディーンの60点に追いつくのは不可能だが、65年前のロウリーの44ゴールに追い付くことは可能だろう。そんな半世紀以上も前の記録に挑戦しているミトロビッチの得点力について、「Cheat code(ゲームの裏技)」と称えるファンも出てきている。

 とりわけボックス内では圧倒的な強さを誇っている。189cmの長身と圧巻のフィジカルを生かして、今季43ゴールのうち12ゴールをヘディングで叩き出している。そして全43ゴールをペナルティエリア内から決めているのだ(ゴールエリア内12点、ペナルティエリア内31点)。

 そんなミトロビッチだが、2部リーグではゴールを量産しているものの、プレミアリーグではあまり結果を残せていない。前回2部リーグに所属した2019-20シーズンも26ゴールで得点王に輝いて昇格に貢献したが、翌シーズンはプレミアリーグで27試合3ゴールに留まった。ニューカッスル時代を含め、これまで2部リーグでは通算125試合で85ゴールも叩き出しているのだが、プレミアリーグでは104試合で24ゴールに留まっている。

 自身5度目の挑戦となる来季のプレミアリーグでは、今度こそ結果を残してフルアムの残留に貢献したいところだ。


Photo: Getty Images

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アレクサンダル・ミトロビッチチャンピオンシップフルアム

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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