社会全体で徐々に見直されてきているメンタルケアの重要性。サッカー界も例外ではなく、テクニカルスタッフへの登用やアドバイザー契約を結ぶ例が増えている。ブンデスリーガ10連覇へとバイエルンを導いたユリアン・ナーゲルスマンもその1人。RBライプツィヒ時代からスタッフに心理学者を迎え入れており、バイエルンにも連れてきている。若き名将にとって不可欠な存在、マキシミリアン・ペリカの仕事にスポットライトを当てる。
※『フットボリスタ第89号』より掲載
心が健康でなければ力を発揮できない。ナーゲルスマンもそう考える一人だ。選手のメンタルをサポートするために、RBライプツィヒでともに働いたチーム心理学者、マキシミリアン・ペルカ(33歳)をバイエルンに呼び寄せた。
ペルカはもともとドイツ5部リーグでプレーしていた元選手で、選手にかかる重圧に興味を持ち、フローニンゲン(オランダ)の大学で心理学を専攻。ボーフムのルール大学で博士号を取る傍ら、デュッセルドルフのアカデミーに所属して現場経験を積んだ。
博士号取得後の2017年夏にRBライプツィヒのアカデミーへ移籍すると、ラルフ・ラングニックに高く評価されて1年でトップチームに昇格。2019年夏にナーゲルスマンがやって来ると、気鋭の若手監督の下でも欠かせない存在になった。
RBライプツィヒ時代、練習場に毎日姿を現すものの、たまに選手と談笑するくらいで、メディアから「何をしているかわからない」と書かれた。バイエルンでも同じで、常にナーゲルスマンの背後にいることから「影の男」と名づけられた。……
Profile
木崎 伸也
1975年1月3日、東京都出身。 02年W杯後、オランダ・ドイツで活動し、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材した。現在は帰国し、Numberのほか、雑誌・新聞等に数多く寄稿している。