2021-22ブンデスリーガのタイトル争い最後の山場となった、バイエルンとドルトムントのデア・クラシカー。 頂上決戦で浮き彫りとなった、 両雄がシーズンを通して作り上げてきたチームの強みと課題を分析する。
ブンデスリーガ第31節。アリアンツ・アレナで行われたバイエルン対ドルトムントの1位2位直接対決は3-1でバイエルンに軍配が上がり、同時にブンデスリーガ10連覇が決定した。
CLでは苦杯をなめた両チームであるが、この試合では相手チームの弱みを突き、自らの強みを生かそうというハイレベルな試合が繰り広げられた。
今回はデア・クラシカーにおける勝敗のポイント、そしてこのゲームを通じて見られた今季のバイエルンとドルトムントの戦術および強みと課題を分析する。
両チームのプレッシング戦術
この試合はホームのバイエルンがボールを握る時間が長く続き、ボールポゼッション58%を記録した。試合の趨勢を示す大きな要素となるこの値は、両チームのビルドアップ構造というよりも守備戦術により決定づけられた部分が大きい。
[4-2-3-1]のバイエルンはドルトムントのビルドアップに対して前線から積極的にプレッシングをかける戦術を選択。最前線のロベルト・レバンドフスキがバックパスの選択肢を削り取るようパスコースを遮断し、キングスレイ・コマンもCBへのプレスに参加することでバイエルンの左サイドへボールを誘導する傾向が強く見られた。
ドルトムントの右SBマリウス・ボルフに対しては左SBアルフォンソ・デイビスが大きく前進。SHのユリアンブラントに対しては出足の良い左CBリュカ・エルナンデス、CFアーリング・ホーランドには右CBダヨ・ウパメカノがマークにつく形となる。左サイドに誘導し、全体を圧縮して奪い取るバイエルンのプレッシングは、ドルトムントのビルドアップを破壊することに成功した。
プレッシングは相手にボールを奪われた瞬間にも実行された。ボールに近い前線メンバーが即座にボールホルダーにプレスをかけ、ヨシュア・キミッヒとレオン・ゴレツカのCH陣も躊躇せずに前進することで即時奪還を図る。
対するドルトムントは基本的に[4-2-3-1]もしくは[4-2-2-2]でセットして守備を実行。バイエルンがバックパスを選択すれば全体を押し上げ、高い位置でのボール奪取を試みた。
ビハインドで迎えた後半の初めは相手のバックパスを合図としたプレッシングを強め、反撃の狼煙となるPKを奪取することに成功していた。
プレッシングへの対抗策
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Profile
とんとん
1993年生まれ、長野県在住。愛するクラブはボルシアMG。当時の監督ルシアン・ファブレのサッカーに魅了され戦術の奥深さの虜に。以降は海外の戦術文献を読み漁り知見を広げ、Twitter( @sabaku1132 )でアウトプット。最近開設した戦術分析ブログ~鳥の眼~では、ブンデスリーガや戦術的に強い特徴を持つチームを中心にマッチレビューや組織分析を行う、戦術分析ブロガー。